命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1543 校内三分の計編 193

 なんか僕はぽつんと生徒会室の端っこの席に座ってた。まあ実際、学校ではどこにいてもクリスに裏切られた……と思ってる男子生徒に狙われるからね。
 そいつらも流石に生徒会室までは踏み込んでこれない。それに生徒会室にいるのは日鞠派だけだ。いや実際、日鞠派だけど、クリスも好きって奴は居そうではあるけど、でも大胆な行動はとれないだろうし、二股してる奴は、ただもう一方に入れ込むだけだろうから、今襲ってきてる奴らのようになることはきっとない。

「会長、クリス派は崩壊してます。これで選挙は勝ったも当然ですね!」
「それはどうかな?」
「どういうことですか? 確かにまだもう一人候補者はいますが、はっきり言って容姿以外特徴はないです。彼女に人を導くことが出来るとは思えません。
 それが出来るのは会長かクリスさんくらいでした。その一角にもなれないのなら、会長の相手にはならないかと」

 なかなか辛辣な評価を摂理の奴はもらってるらしい。まあ大半の見方がそうだったからね。確かに摂理はかわいい。頭一つ……いや、三つくらいは抜けて可愛い。
 でもいうなれば摂理はそれだけ……と思われてる部分は大きい。クリスも日鞠もカリスマ的な魅力があるが、摂理はどこか自信なさげだからな。
 自分に自信がない奴には、誰も引っ張っていくことが出来ないものだ。摂理は可愛いから祭り上げるには都合がいいとは思うが、この学校でそれだけで戦うのは厳しいんだよね。

 もしも他の……そう他の普通の学校なら、摂理の容姿は絶対的なアドバンテージになっただろう。実際それだけで票が取れる……程のね。
 でも残念なことにこの学校ではそれだけでは厳しい。普通の学校なら、皆同じ土俵というか、同じ位置からスタートすると思うが、日鞠の場合は一年間すでに会長としてやってるからね。

 まあ日鞠が異例すぎただけなんだが……僕は日鞠の奴に『大好き』言われて落ち着いていた。さっきまであのキスシーンが悶々としてたけど、今なら日鞠の事信じられる。自分でもチョロいと思うけどね。

「摂理ちゃんは簡単じゃないよ。彼女はやれる子だと思うな」
「会長がそういうなら……評価を改めますけど……」

 日鞠の奴の言葉に、摂理のことをさんざん言ってた女生徒が折れた。日鞠の言葉は絶対だからね。日鞠が気にかかることは大体何かあるし、日鞠ってなんかその人の本質を見抜くことに長けてる気もする。

「それよりもいいんですか会長?」
「何が?」
「あれですよあれ? 会長の事裏切ってましたけど」

 なんかその子が日鞠の耳元で何やらいってる。こっちを見てるし、普通に声聞こえてるからね。そのこしょこしょやってる動作意味ないから。
 てか絶対に聞こえるように言ってると思う。まあ僕がクリスとその……キスをしたとか、すでにめっちゃ学校のSNSで広まってるからね。
 もちろん生徒会が知らないわけない。だから針の筵なんだよね。僕だって別にクリスとキス……したくてしたわけじゃない。絶対にあいつに利用されただけだ。あいつ外人だぞ? みんなそこ忘れてない? あいつにとってキス……なんてものは武器の一つでしかないんだよ? それを思い出してほしい。

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