命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1538 校内三分の計編 188

「むむむむ……」

 生徒会室は何やらにぎやかだ。それはつまり、中に日鞠がいる可能性がとても高い。なにせ生徒会の連中は日鞠信者たちの集まりだからな。
 日鞠がやってくれば、必然、テンションアップするのだ。だから何やら騒がしいということは、日鞠がいる可能性は高い。でもだからこそ、なんかためらってる自分がいる。

 さっきまで邪魔する奴らは全部倒してきた僕だけど……生徒会の奴らは別に暴力を振るうようなことはしないだろう。まあてか純粋にあんまり好かれてないからね。だって生徒会の奴らが大好きな日鞠は僕のことが……その……好きだし。だからね。

(いや、今はその自信ないけど……)

 フラッシュバックするのはさっきの校門での光景だ。いつまでも相手が自分のことを好きでいる……なんていう考えは傲慢なのかもしれない。

 それに日鞠の世界は多分ここ数ヶ月でさらに広がったと思うんだ。前は僕にべったりだったけど、最近は僕が知らない日鞠の時間は増えている。それこそ一日会わない……なんてこともある。そんなことはこれまで考えたこともなかったことだ。

 日鞠はすごい奴だから、周りが放っておくことはない。そもそもが今の場所が日鞠に合ってる……なんて誰も思ってないしな。日鞠ならきっと、もっともっと優秀でふさわしい場所かある。

 もしかしたら、そういう場所を見つけて新たな交友関係の中で、実は僕なんて関心向ける程の存在じゃないって思われたってことも……

「むむむ……」
「なにやってるの?」
「うわあ!?」

 背後から声をかけてきたのは雨ノ森先輩だ。この人、達人か何かか? 僕に気配を悟られないとか……まあ気配は嘘だけど……とにかく僕の視界に入らずに背後を取るとは……

「なにか悩みがあるようだね。日鞠ちゃん来てるの?」

 雨ノ森先輩も生徒会室の盛り上がりを感じてか、それを悟ったみたい。そしてなにやら「ああ」とポンと手を打ってズイッと僕に顔を寄せてきてこういった。

「もしかして寂しくなって日鞠ちゃんに会いにきたとか?」
「んなっ……そんなんじゃないですよ」

 別に全然そんなんではない。もっと深刻な事だ。そう深刻な……そういえば雨ノ森先輩は実質生徒会のナンバーツーみたいなものだ。副会長は男子生徒がやってるが、あの狂信者よりは雨ノ森先輩の方が頼りがいある。
 それに同じ女子で、年齢的には年上だし、色々と日鞠も先輩には心許してる節がある。この人を味方につける意義はある!

「んっんんっ先輩。今日も綺麗ですね」
「うわっきも」

 なんかグサッときた。

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