命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1451 校内三分の計編 111

「それじゃあそろそろ本題に入りましょう。スオウには迷惑かけてるね」
「まあ……わかってたからな。でも……普通にいれてくれて良かっのでは? 事情をしってるやつくらいいるだろ?」
「いないよ。まあ察してる子達はいるとは思う。生徒会の皆とかは、私がなんの理由もなく、スオウの事嫌いになるわけ無いってわかってるし。あっ、何かあっても私がスオウを嫌いになるなんてないけどね」

 会長はそんな事を笑顔で言ってくる。それに反応する気はない。そんなのわかってるし。でもローレの奴は反応する。

「でもテア・レス・テレスにも過激派はいるみたいだけどね」
「皆がわかり合えるなんてのは幻想だからね。でも……それも使って行くよ。多分、色々とスオウが追い詰められて行くと、向こうもスオウに接触してくるんじゃないかな? スオウの力は魅力的だしね」
「魅力的ってもう殆ど敵……というか、今回の黒幕がわかってる感じだな」

 僕がそう言うと、会長はおしゃれな陶磁器みたいな物に入ってた紅茶をそれなりに広いテーブルにぶちまけた。いや、ぶちまけたなんて表現をしてるが、ただ単にその容器を倒しただけだけどね。別にそれを振り回してぶちまけたわけじゃない。会長はそんなキャラじゃないし。まあけど驚くよね。

「ちょ!? 何やってるのよ?」
「まあ見ててよローレちゃん」

 そういう会長はテーブルの近くに指を一本おいた。するとテーブルの上に広がっていってたこぼれたお茶が光る。そしてなんと……映像を投影し始めた。なんだこれ。そう思ったのは僕だけじゃない。ローレのやつもそうだ。そして自分がさっきまで飲んでたお茶を静かにティーカップ置き場においた。

「ちょっとなんてもの飲ませるのよ」
「別にそれは飲んでも構わないよ。お茶に変わりはないし」

 そう言われたが、ローレは再び紅茶を飲もうとはしない。まあね……目の前で自分が飲んでたものがこんなふうに使われると、それはもう紅茶とは思えないというか……それはよく分かる。

「スオウとメリッサさんにヴァレル・ワンをあてがったのはこの人だよね?」
「そうだな、こいつだ」

 紅茶を媒介にした映像素子には確かにあの日、僕とメリッサが会ったあの女がいた。流石に今もテア・レス・テレスの制服を着てるなんてことはなく、結構際どい感じの鎧に身を包んでる。印象的に後衛かと思ったが、格好から見るにバリバリの前衛って感じだ。そして彼女は周りを警戒しながら、一つの建物へと入っていく。そこはボロボロの……まさに怪しさ満点の建物……と言いたいところだが、そんな建物はレスティアにはない。

 普通に白いきれいな民家だ。まあ実際、いかにも怪しい場所に集まるなんてのフィクションだろう。自分で怪しいですって言ってるようなものだしな。

「中まで見えるのかよ。個人の所有物じゃないのかこれ? プライベート空間とかになるだろ?」
「レスティアの建物は一応全部、賃貸だし。それには引っかからないよ。それにたとえプライベート空間でも覗く手段はある。流石に物理的に切り離されてるエリアは無理だけどね。それにここは私のエリアだし。権限を拡張すれば簡単だよ」

 絶対に簡単ではないよな? そもそも権限を拡張ってどうやるんだよ? 僕は知らないよそんなの。まあ大体、会長の奴が簡単という奴は信じちゃいけないと僕はしってる。てか……この映像に映ってる奴ら哀れすぎるな。何もかも筒抜けですよって言ってやりたい。既にこいつらも会長の手のひらの上……か。

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