命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1359 校内三分の計編 19

「生徒会長当選 おめでとうございます!」

 そういって先輩はビシッと見たことないくらいに直角な礼をしてた。自分的には驚いた事だ。なにせ先輩はそれこそアウトロー上等、廃部の危機にあったのも、誰もこの先輩について行けなかったって部分が大きい。その先輩、それこそ自分が一年で彼は三年。学生時代の一年と三年の壁はとても大きい。それこそ逆らうなんてことは絶対に出来なくて、このハチャメチャな先輩に自分は憧れもあったが、それは特殊な事だと自覚してた。何せ先輩との出会いは、この人が全身草を生やして植木に擬態してカメラをかまえてた所だったからだ。しかもやってる事は、女子テニス部の撮影だった。
 今にして思えばジャーナリズムなんてのはあれには無かった。でもあの後バレて何故か自分も巻き込まれて、そしてそのままなし崩し的に、なんか協力者にされてたら日の出ジャーナルの一員にされてたのだ。はっきり言って先輩は変な人だ。教師に怒られても全然懲りてないし、カメラをかまえると周りが見えなく成る。そして撮るのは大体可愛い女の子。でも先輩の写真は魅力的だった。

 撮られた生徒は写真見たらなんか怒り納めるから、警察のお世話にならずになんとかやってきたのも先輩の写真の魅力なんだろう。先輩は写真以外にはかなり無頓着な人だ。生徒会長選挙だって実績がないとその時の生徒会に『やっぱり廃部』とか脅されたから、先輩を先導して自分がやった。記事も自分で書いた。写真は勿論先輩だ。でもやっぱりそこまで乗り気ではなかった。なにせ別に美少女が出るわけじゃないからだ。

 これが漫画やアニメなら、生徒会長選挙はとても盛り上がり、立候補者も流石に二桁……なんて事にはならないが、美男美女がこぞって出てくる……なんて事になるだろう。けど現実はそんなことはない。何せ殆どの生徒なんて生徒会長選挙なんて興味なんて無いのだ。そもそもが入ってきたばかりの一年生なんて更にそうだろう。そもそも三年も二年も知らない。でも今年は一人の一年生が立候補した。それが今、この日の出ジャーナルへと入って来た女の子。

 実際、彼女はかなり有名人になってる。なにせ入学して直ぐに二年生を押しのけて生徒会長へとなったのだ。まあ二年生からは二人しか立候補して無くて、計三人での争いだった訳だが……それに皆地味な人達だった。目の前の彼女だってそうだ。大きな黒縁メガネに黒髪三つ編み……今時逆に珍しい、昭和か? という位の格好。まあ他の二人も似たような物で、体育会系は一人もいなくて、立候補者は全員がインドアな感じだった。
 これで先輩が興味を持つ訳なんてないんだが……めっちゃ直角に先輩がお辞儀してるのを見て自分は彼女、新生徒会長となった同級生に畏怖のような物を感じた。

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