命改変プログラム

ファーストなサイコロ

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 僕が必死にテア・レス・テレスから彼女を守って逃げてるというのに、サポートの一つもしないローレの奴が何をやってるのか……僕は抗議の目を向けて奴を探した。

 すると、ローレは空からゆっくりと降りつつ、掲げた杖の頭上に光を蓄えてそこから無数の光弾を発射してた。マップ兵器かあいつは。あながち間違ってもないが……でもそれが不思議な事にこっちは来ないんだよね。どうやらあの光弾全て、誘導弾みたいな? ものすごい軌道を描いて広いステージで戦ってる場所に光弾を集中させてるみたいだ。

 少しで良いから、こっちにも回してくれないかな? そんな思いで見てると、ニヤリと意地の悪そうな顔をするローレ。なんて言いたいのかその顔で察した。

『そんな雑魚、一人でどうにか出来るでしょ? 出来るわよね? 出来ないの?』

 くっそむかつく。いや、言ってない……言ってないけど、確実に聞こえてきたから。あいつの内心絶対に今のだから。

「凄い……」

 抱えてる彼女がローレの蹂躙を見てそう呟く。確かに凄い。でも被害がどのくらい出てるのか……それに空をゆっくりと降りてるローレはある意味格好の的だ。あいつは防御も堅い……堅いが、絶対じゃない。

「危ない!!」
 
 今度は彼女は後方を覗いてそういった。けど僕は危なげなく後ろから飛んできたスリングショットの玉を避ける。

「え? え? なんで……」

 彼女が目をぱちくりさせてこっちを見てくる。なんか、そんな純粋に見られると恥ずかしい。なんでと言われても……ね。だって今僕は風帝武装を纏ってる。風帝武装は風を支配してる者の証だ。風は周囲に常に吹いてる物じゃん。そもそも大気みたいなものだし。

 だからまあ、わかるよね。見なくても。確かになかなかに奴らのスリングショットは厄介だ。厄介だけど、気をつけてれば、当たるような物じゃない。
 それにそろそろ射程外にいける筈。確かに奴らも会長の紙を使って空を跳んでるが、その速度は風帝武装と比べるベクもない。

 スリングショットの玉はなんとか僕に届いてるが、奴ら本人は全く追いついてない。まあけど、射程外に逃れた位で仕掛けるか。実は既に仕込んでたんだけどね。奴らを倒すのは簡単だ。直接手を下さなくてもいいしね。

「なに!?」

 ふふ、驚いてる。僕はチラッと奴らが紙を踏み外したのを確認した。いきなり足場がなくなってびびっただろう。僕は遙か前方にいるのになんでって思ってるだろう。

 それは通るときに、風の刃を仕込んでたからだ。それで奴らの紙の足場を切り裂いただけ。まあそれでも足止めくらいにしかならないが、その足止めの数秒で僕には十分だ。僕はステージかある場所まで上ってきた。さて、どこに彼女を預けるか……やっぱり男色艦隊のおっさんの居るところが無難かな? そんな事を思っておっさんを探してると、戦場がざわめいた。何が起きたのかと思って周囲を見ると、皆上を見てる。

 それにつられて上をみる。空には光を背にしたローレが居るはず。眩しくてよく見えないが、ローレの体が曲がってる様に見える。僕はイヤな予感がして、目の質を変える。コードを見る目にすれば、光なんて関係ない。風情とか何もなくなるが、そんなの言ってる場合じゃない。

 すると確かにみえた。矢のコードがローレを貫いてる。そしてその矢から何やらコードがローレに流入してる。あれはただの矢じゃない。

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