命改変プログラム

ファーストなサイコロ

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 そもそもあいつら、テア・レス・テレスはどうやって時魔法を使ってるのか? 時魔法を使うにはメノウとの契約が必要だと聞いてた。まあ、まあLROなら実は他にも色々と方法があってもおかしくはない。だってLROってそういう所だしな。
 それに貴重なアイテムには強力な力を行使できるものも少なくない訳だし、時魔法を使えるアイテムがあってもおかしくはない。

 でも今回のそれはアイテムとかは見えなかったが……じゃあ魔法なのか? シンクロ魔法の様なコードは確認してるんだよな。その線が高い。でもメノウと契約を交わしてる存在はいないとローレは言ってる。どうやら、ローレの奴はそういう奴がわかるらしい。どういう感覚なのかはわからないし、信憑性も怪しいが、やけにアイツが自信満々だから、わかってるんだろう。

 僕が見たコードでも、メノウの時魔法とはかなり違ったコードをしてたと思う。なら、本当にメノウとの契約以外での時魔法なのかもしれない。そもそもが巻き戻して壊した鶴を元に戻してたしたしな……あんな事が出来るとは……本当に大丈夫だろうな? 

 強さ的な事で言えば、僕はローレの奴を信頼してる。色々と滅茶苦茶な奴だが、その強さは本物だ。ボッチの癖に伊達に四国を統一しただけはある。まあ今はちゃんとメンバーいるけどさ、どうやら聞いた所、四国を統一するまでのエリアバトルは全て一人でやってたらしい。

 もちろんローレの力は召喚だ。だから厳密には一人って訳じゃないが、一人の力であるのはかわりない。一人でその地域を統一とか、きっとローレ以外では出来ないだろう。その点は本当に信頼してる。けど……ね。ローレは性格がSだからな。
 他人が足掻くのを見て楽しむ奴だし、僕が足掻いてるのも楽しむ奴だ。今日までローレと沢山訓練したが、本当に容赦ないし、ぼろほろになる僕を恍惚とした表情で見下す奴だからね。一抹の不安がある。けどやるしかない。僕は今度はわざとテア・レス・テレスの時魔法につかまらないといけない。

 だから同じような動きをエアリーロでする。上手くいったから、もう一度というわけだ。そう見えるようにね。テア・レス・テレスはちょっと不振に思う? けど、一度だけでは同じことが二度起こるかはわからないから、確認するためだと思うかもだろう。

 だからそれをチャンスと取ってくれれば、同じ行動向こうも取る筈。もちろん、向こうは今度こそって気持ちでタイミングとかを変えてくるだろうが、こっちはそれを気にする必要はない。さっきと同じスピードで突っ込めば今度は確実に時魔法に捕らわれるだろう。

 問題はその時だ。コードを読み取ってこっちが用意してたコードをぶつけないといけない。ある程度記憶を頼りに準備はしてるといっても、細部を詰めるのはその時でないと出来ないし……はっきり言ってコードは苦手だ。なにせ頭が痛くなる。

 有効だし、便利だから使うが、何か思考を補助してくれるスキルとかないだろうか? って最近は思ってる。『思考補助』とか『思考加速』とかさ、結構定番じゃないか? けど実際、そういうのってLROには実は無いんだよね。

 あれかな? 脳に直接干渉する適な物は色々とやばいから自制してるんだろうか? そもそもどうやって思考加速させるのか――とかあるしな。小説とかなら、そういう物かって事で済む。きっと不思議な力がそれをなしてるんだろうなってさ。

 けど、LROではそんな曖昧な事は出来ないんだろう。思考を加速させるって事は脳の処理能力を上げるって事だし、それをシステムがどう実現するのか、僕にはよくわからない。

 まあ今はそんな事よりも上手く向こうがこっちの思惑通りに動いてくれることを願おう。一応会長の事は警戒してる。会長は実はみえない。なんか江戸時代とかの偉い奴が移動するための籠みたいなのがあってその中にいるんだとは思うが……アイツの事だからな。ブラフかもしれない。

 けどあの籠、目を凝らしてもコードも何も見えないんだよな。はっきり言って謎物体過ぎる。下手に手出しも出来ない代物だ。けどきっと会長は僕たちの行動を見てる筈。そして会長の支持を共有できるようにテア・レス・テレスはなってる筈。

 こっちの動きだって見てる筈で……僕たちの狙いをどこまで看破してるか……でもとりあえず同じ行動をとったおかげで、向こうの行動もタイミング以外はやる事は変わらなかった。エアリーロは予定通りに時魔法からは逃れたが、僕はその中にとらわれる。でもこれは必要な事だ。

 触れていれば、コードに干渉できる。時魔法はその有効範囲に作用する魔法だ。だからそのもの事態に触れる必要はない。起点があるのならそれに触れてやるのが一番だけどね。僕は用意してたコードを時魔法のコードに合わせて組み替えて走らせる。

 ローレが望んだ事は一つ。

「暴走させて」

 だった。だから別段複雑な事は必要ない。コードは繊細だ。異物一つでそのコードは危なくなる。危なくなるから普段はしないことだ。何が起こるか分からないって一番怖い事だからな。けど、今回はローレ曰く心配ないらしい。その言葉を信じて僕はそれをやった。もう出来る限り安全に暴走できるようにしたけどね。

 無駄に頭を使ったよ。けどおかげで、テア・レス・テレスの面々も時魔法の影響を受けてる。それに範囲がグニャグニャとうごめいてる様に見える。多分あと数秒で維持できなくなってこの時魔法事態が崩れるだろう。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し、あんた達には相応しくない。それをしていいのは私だけなの」

 そういうローレは杖をむける。そしてそれは起きた。

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