命改変プログラム
1186
「なんでお前いる訳?」
そんな事を言いたかったわけじゃないが、口から出るのはなぜかそっけない言葉。本当はもっと素直になりたいと思ってても、高校生という年頃は心と言葉が乖離してしまうんだ。だから声に出した瞬間、後悔してしまう。けど……
「今日はこの時間がどうしても必要だったんだよ。私達がただのスオウと日鞠でいられるこの時間が欲しかったの」
そういう日鞠は、どこまでも素直な奴だった。僕の様にひねくれた事なんか言わない。そしてその言葉にもなんとなく納得した。だって今日は合同チームと、今現在エリアバトルの覇者となってるテア・レス・テレスの対決の最終戦だ。
向こうの世界に行けば、今日は敵。前もそうだったけど、その時は明確には日鞠の奴を助けるのが目的だった。だから敵だったけど、味方だったんだ。でも今日は違う。今日は明確な敵同士だ。自分が日鞠に……日鞠が僕に敵対する。
そんな事を思ったことなんかない。それはきっとお互いに同じだろう。
「スオウなら、一番に来てくれるって思ってた」
そう言ってエプロン姿の日鞠が近づいてくる。めっちゃ近い。それこそ……互いにちょっと動くだけでふれあいそうな……そんな距離だ。
「スオウ、ドキドキしてる?」
「何が? 今更お前にそんな事――」
顔を背けてそんな事をいってたら、頬になんか触れた。柔らかい何か……それに日鞠のにおいが香った。僕はその事実を確かめたくて直ぐに日鞠の方を向いたが、既に日鞠は背を向けて料理に戻ってた。
いやいや、この人速すぎない? LROの僕もびっくりの速さだと思うんだが?
「今……」
日鞠の背中越しに、僕はそうつぶやく。けど、「キスした?」なんて気恥ずかしくて言葉にならない。てかもしもそれで違うとか言われたら、恥ずか死ぬじゃん。いや、確実にしたと思うよ。あの感触は間違いないと思う。確信がある。
日鞠は口紅とかしてないから、跡が残ってるなんて事はないだろう。けどきっとリップとかはしてるよね? ぷるるんとしてるし……あれが頬に当たったと思うと……下手に触れない。なんか消えそうで……
「スオウ早いからちょっと時間かかるかも」
「…………手伝う」
「うん」
結局それからは二人で朝食の準備をした。まあ僕は食器とかを並べるとかの役目だし、サラダの野菜を無造作に盛り付けたりするだけだ。料理と呼べる部分は全部日鞠がやった。
「やっぱりちょっとなまってるね」
「そうか? 手際いいけどな」
何だって出来る奴だから日鞠の最低限の基準が高すぎる。十分だぞ。十分な朝食だ。まあ朝食にしてはなんか両多いけどね。
「今日は長くなるかもだし、昼入れられないかもでしょ。だから朝にいっぱい食べないと」
「そうだな」
「うん、お互い頑張ろうね」
無邪気にそういう日鞠。けど、その言葉には自分たちが負けるなんて想像は一ミリも感じない。だからそんな日鞠に僕は言ってやるよ。
「負けないぞ」
「…………うん、私達も負けない」
そんな事をいう裏で、僕たちはその手を力強くつないでた。
そんな事を言いたかったわけじゃないが、口から出るのはなぜかそっけない言葉。本当はもっと素直になりたいと思ってても、高校生という年頃は心と言葉が乖離してしまうんだ。だから声に出した瞬間、後悔してしまう。けど……
「今日はこの時間がどうしても必要だったんだよ。私達がただのスオウと日鞠でいられるこの時間が欲しかったの」
そういう日鞠は、どこまでも素直な奴だった。僕の様にひねくれた事なんか言わない。そしてその言葉にもなんとなく納得した。だって今日は合同チームと、今現在エリアバトルの覇者となってるテア・レス・テレスの対決の最終戦だ。
向こうの世界に行けば、今日は敵。前もそうだったけど、その時は明確には日鞠の奴を助けるのが目的だった。だから敵だったけど、味方だったんだ。でも今日は違う。今日は明確な敵同士だ。自分が日鞠に……日鞠が僕に敵対する。
そんな事を思ったことなんかない。それはきっとお互いに同じだろう。
「スオウなら、一番に来てくれるって思ってた」
そう言ってエプロン姿の日鞠が近づいてくる。めっちゃ近い。それこそ……互いにちょっと動くだけでふれあいそうな……そんな距離だ。
「スオウ、ドキドキしてる?」
「何が? 今更お前にそんな事――」
顔を背けてそんな事をいってたら、頬になんか触れた。柔らかい何か……それに日鞠のにおいが香った。僕はその事実を確かめたくて直ぐに日鞠の方を向いたが、既に日鞠は背を向けて料理に戻ってた。
いやいや、この人速すぎない? LROの僕もびっくりの速さだと思うんだが?
「今……」
日鞠の背中越しに、僕はそうつぶやく。けど、「キスした?」なんて気恥ずかしくて言葉にならない。てかもしもそれで違うとか言われたら、恥ずか死ぬじゃん。いや、確実にしたと思うよ。あの感触は間違いないと思う。確信がある。
日鞠は口紅とかしてないから、跡が残ってるなんて事はないだろう。けどきっとリップとかはしてるよね? ぷるるんとしてるし……あれが頬に当たったと思うと……下手に触れない。なんか消えそうで……
「スオウ早いからちょっと時間かかるかも」
「…………手伝う」
「うん」
結局それからは二人で朝食の準備をした。まあ僕は食器とかを並べるとかの役目だし、サラダの野菜を無造作に盛り付けたりするだけだ。料理と呼べる部分は全部日鞠がやった。
「やっぱりちょっとなまってるね」
「そうか? 手際いいけどな」
何だって出来る奴だから日鞠の最低限の基準が高すぎる。十分だぞ。十分な朝食だ。まあ朝食にしてはなんか両多いけどね。
「今日は長くなるかもだし、昼入れられないかもでしょ。だから朝にいっぱい食べないと」
「そうだな」
「うん、お互い頑張ろうね」
無邪気にそういう日鞠。けど、その言葉には自分たちが負けるなんて想像は一ミリも感じない。だからそんな日鞠に僕は言ってやるよ。
「負けないぞ」
「…………うん、私達も負けない」
そんな事をいう裏で、僕たちはその手を力強くつないでた。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
2
-
-
2813
-
-
140
-
-
111
-
-
2
-
-
4
-
-
93
-
-
35
-
-
49989
コメント