命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1070

「なんだ!?」
「おい!!」

 前衛の奴らとかが魔法を使った奴に向かって声をあらげる。まあ普通は副次的効果以外は仲間には影響が出ないのがLROの魔法だ。フレンドリーファイアは基本無い。それなのになぜか魔法が牙を向いてきたとしたら……疑われるのは当然魔法を使った奴だろう。
 けど――

「ち、違う! 俺じゃない!!」

 ――そういうしか彼だってないだろう。だって彼はただ必死に魔法を使っただけだ。制御が怪しい魔法を。

「くっそ!」
「ぬおおおおおおおお!」

 なんとかこの魔法から逃れようと、自身に纏わりつく氷をぶっ壊そうとしだす相手側。まあ普通はただ凍らされるなんてまっぴら御免だから、そうなるよね。でもそれは悪手だ。

「やめろ! この魔法は動く方が――」

 術者は流石にわかってる。氷を砕こうとした奴らは更にどんどんと氷が逆に増えていってる。自身の氷を砕こうと動きそのせいで粒子に触れるからだ。まあ動かなくても最終的には行きつくところは同じだが。

「こうなったら! 皆すまん! ファイアーランス。ランページ!!」

 槍持ちの奴がその槍に炎を纏わせた。そういうスキルがきっとあるんだろう。そして更に続けざまに攻撃系スキルを地面に向かって放った。炎の柱が彼を中心に舞い上がる。けどこっちの氷が解ける事はない。けど……この技を使った槍持ちは別の様。天に伸びる炎から飛び出してきた槍持ちの氷はなくなってる。そしてこちらに勢いよく向かってくる。

「うおおおおおお!! ダンダストリィィィィィィム!!」

 まるで僕が風を使ってうねりを作り出したみたいに、槍持ちは回転して自身を一つの槍として向かってくる。威力的には向こうの方が断然ありそうだ。僕の体は既に半分くらい氷におおわれてる。既に動くことも出来ない。槍はまっすぐにこっちに向かってきてる。

「行けえええ!」やら「やれえええええ!!」という声が聞こえる。他の奴らはも既に皆僕と同じくらいには氷におおわれてる。だからここを切り抜ければそれでこっちの勝利だ。

「風帝葬花」

 僕はそう呟いて槍持ちの攻撃をその身に受けた。完全に体全体が凶器と化してる槍持ちは地面を抉り地中に潜り、更にもう一度突き抜けて空に上がってその勢いを止めた。

「よし! これで」
「これで、終わりだ!」
「なっ!? 何故!? がっ!!」

 突如後ろに現れた僕の攻撃で槍持ちは地面に落ちる。けどこの程度やられる彼じゃない。けど、さっき言った様にこれで終わり。決着だ。凄い勢いで彼の体には氷が生えていく。

「なっ! ぐっ……何を……何をしたああああああ!!」
「種明かしするほど、僕は親切じゃないですよ」

 だってまだ戦いは終わってない。ここで余裕を見せるバカにはなれない。程なくして彼も凍り付いた。まあやったことは単純だ。汚いコードはそれだけ脆いし、介入しやすい。でも僕にはまたまだ乗っ取るとかなんとかはハードルたかい。妨害くらいは出来たけど、それはやめた。利用する事にしたからだ。僕は自分の祝福の氷を使って奴の発生させた魔法の氷に紛れ込ませてルートを作って意図的に、その魔法を暴走させた。だから敵味方の区別なく魔法は影響を及ぼした。

 僕を捉える為にかなりの広範囲の魔法だ。誰も逃れる事なんかできない。今は既に僕しかこの周辺では動いてないだろう。今は風帝武装を纏い、粒子を風の流れで避ける事で逃れてる。

「さて……砕くかどうかだな」

 この魔法は凍らせてそして次にこの氷を砕く事で大ダメージを与える代物だ。実際凍ってる間はダメージない。動くことは出来ないから集団戦ならとても有効だが、僕の場合は困る。人数がいたら氷が砕けても畳みかけられるが、後衛の奴らならともかく、前衛の奴らを氷を砕いたときのボーナス分を入れたとしても一撃で倒すのは難しいと思うんだよね。

 そうなると、仲間の氷を砕かれると振り出しに戻ってしまう。これで決着として逃げたい所だけど……まだ広範囲の結界は健在だ。けどその時、パチパチと拍手をされた。この場面でんな事する奴はきっと……僕はそう思ってその音のする方を見る。

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