命改変プログラム

ファーストなサイコロ

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「来た」

 僕は知らせが来る前にそれを知った。なんか来る気がしたんだ。それにそもそも、会長を……日鞠のやつをこのLROに縛り付けておくのも今日が限界なんだ。日鞠は元々普通の生徒と違って授業とか色々と免除されてるし、ちょっと一週間くらい顔を見せなくてもそういう事もあるだろうで済ませられるとか当初は思ってたが、既に生徒の間には日鞠禁断症状が出始めてる奴らがいる。

 日鞠禁断症状ってなんだって感じだが、事実日鞠が姿を見せないことに不安で震えが止まらなくなるもの、幻覚を見る者、そして学校に登校できなくなる奴とかいるらしい。アホじゃないかと思うが、生徒会には学校の情報が入ってくるからな。残念だが事実だ。

 だからこれ以上日鞠が学校に来なかったらヤバい事になる。だからここが限界。とりあえず大体の精霊から祝福は手に入った。特殊な奴ら以外は……ね。そして僕たちは祝福を通してコードに介入をする事も出来る様になった。まだ足らないと日鞠の奴はいってたが……怪しいものだ。

 まあログアウトをとり戻すのがどれだけの労力がいるのかはわかってないけどさ……ちなみに一応称号もとった。あの雪に閉ざされた村のあの魔法陣で得た祝福を通すと取れた。称号にも効果があるみたいだから、強化されてるはずだ。

 この日の為に色々と準備はしてきたからアイテムも申し分ない。まさかここまで長期にわたる戦いになるとは思ってなかったけどさ……僕の目的は会長こと日鞠をリアルに戻す事。ぶっちゃけ勝敗はどうでもいい。日鞠の奴はそうもいってられないだろうけどさ。

 てかあいつは絶対に知ってたよなこのルール。それでも何も言わずに期限は今日までといってた。なら……

「誰も思ってないだろうけど、会長は今日の戦場に絶対に出る」
「そうでしょうね。私的には問題はさっさと解決してもらって最終日に正々堂々とやりたいものだわ」
「正々堂々って思ってもない事いうなよ」

 ローレが正々堂々なんてバトルする訳ないじゃん。流石にそのくらいわかってる。こいつは勝つためなら何だってする奴だ。

「ルールに抵触しないなら全ては正々堂々じゃない」

 いい顔をしてそういうローレ。確かにこいつはルール違反をする事はないだろう。そこら辺には矜持があるっぽい。確かにルールに抵触しないなら、正々堂々なのか? まあローレは今日は出ないしどうでもいいか。

「それに今日会長が出るのなら、どの程度やるのかとか色々と見れそうだし……かなり厄介なんでしょ?」

 元々会長の奴は厄介だったが、祝福を得て更にやっかいになったのは確かだな。それに僕よりも会長の方が元々持ってた武器? の相性的にコードに介入しやすい。そんな時メッセージを届ける音が脳内に響く。それを見ると。

『今日は全力でぶつかってきてね。真剣勝負だよスオウ!』

 ってメッセージが来た。どうやらやる気満々みたいだな。実際会長はまだ何かを欲してる。それが最後のピースなのか何なのかは僕にはわからない。けど、会長が日鞠がそれを必要だと思って望むのなら、僕だって付き合うよ。だって助けるっていったからね。
 実際はあいつが自分自身で助かるだけのような気もするけど、求めてくれてるのなら手を貸す。僕はローレに言うよ。

「厄介だな。けど、簡単に負ける気はない」
「その通り、寧ろ負けたら許さないわよ。私の顔に泥を塗ったら罰だから」
「お前な、もっとやる気になる送りだし方しろよ」

 そんな事を言ってると、どうやら今日のバトルに参加する奴らの周囲が光りだす。多分バトルエリアに転送されるんだろう。その瞬間に始まるのかな? どうせならここのいる全員に会長がいるって事を伝えときたかったけど……すぐに気づくか? その選択が甘かったと僕は直ぐに思い知らされる羽目になった。

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