命改変プログラム
1040
「レシア」
「レシア? 知ってるのか?」
マイオさんが私にそう尋ねて来る……けど私は彼の言葉に反応しない。出来ないよ。だって……私も疑問しかないんだから。私はずっと探してた。前の世界で私を守ってくれてたシステムの外の存在の子達を。彼女たちはその存在をシステムに組み込まれてこの世界のどこかにいる筈だからだ。でもそんな簡単に見つからなくて……なにせLROは広大だ。
だからゆっくりと行こうと思ってた。スオウはちゃんと彼女たちをこの世界に組み込んだって言ってたし、私は何の根拠もなく、私たちならきっと会える……と勝手におもってたから。
けどその思いはこの瞬間叶った事になる。私の勝手な思いは実現した。でも……なんで……
「セツリ、知ってるのですか? くっ、皆さんはどうですか?」
私が呆然としてて言葉を返せる状況じゃないと判断したオウラさんがシルクちゃんたちに聞いてる。うん、ごめんだけどそっちに丸投げするよ。
「えーと、なんだが見覚えがある気はするような……」
「セツリちゃんが知ってるのなら、多分あのシステム外の存在だと――」
テッケンさんとシルクちゃんは必死に記憶をたどってるみたい。あんまりレシアの印象はないのかな? 確かにレシアは他の三人に比べたら直接動く子じゃなかったから仕方ないかもしれない。でも私は忘れなんてしないよレシア。
「確率を操作できるとかいう奴でしたね。彼女だけは他の姉妹の犠牲になって消えたので組み込まれ方も異常になったのかもしれないです」
セラさんは静かにそういった。確かにそうなのかも……一番優しいのに……いちばん苦しい目にばっかりあっちゃう子だよ。それとも優しいから……なのかな?
「レシア! 私だよ! セツリだよ!」
私は少し飛び出してボーっと立ってるレシアに声をかける。でも反応はない。彼女は透けそうで透けてないワンピース一枚の姿だ。まあ実際、そのワンピースみたいなのがあるのかは疑わしい所ではある。なんだか違和感があるんだよね。確かにそういうふうに見える……けど、着てる様にみえないというか、その空間だけそういう風に見えてるというか……言葉にするのは難しい表現だ。
「せつ……り?」
僅かにレシアがそう口にした。反応してくれた! 私はうれしくなって更に近づこうとした。
「ダメだ!!」
けどその瞬間、私はマイオさんによって引き戻された。そして更にガゴン!! とかいう音が耳に届く。
「大丈夫ですかセツリ?」
「オウラさん……」
私とマイオさんの前に更にオウラさんが立ってる。マイオさんは私を庇う為に私を抱き込むようにして柊に背中を向けてたわけだけど、その更に前にオウラさんが出て何かを……いや、きっと攻撃を防いだんだろう。
「セツリ、忘れたんですか? 彼女たちにはもう前の記憶はないのよ」
セラさんが無慈悲な事をいう。確かにそうだった……ね。けど、おもいだすかもしれないじゃん。リセットされたけど、どこまでリセットされたのかはわからない。もしかしたら残ってるかも……しれないじゃん。
「でも……」
「少なくとも、あれはやる気満々ですよ。それにあの姿が、貴女が知ってるレシアなの?」
「つっ!?」
マイオさんに退いてもらって見えたレシアの姿はついさっきとは変わってた。さっきまでは普通の人型だった。なのに今は、その左腕が蛇の様になってた。あれをさっききっと向けたんだろう。そしてそれをオウラさんが防いだ。私はマイオさんをみる。
「あれが前領主の研究の賜物……あれがレシアという子なのかは分からないが、素体は前領主の奥さんでその体には何百という生き物が配合されてる筈だ。あれは……人工的に作られた……化け物なんだ」
「そんな……だって……あれはレシアなのに!」
私は問い詰める様にマイオさんにそういうよ。八つ当たりだ。……けど言わずにいられない。でもそれ以上の言葉は紡げなかった。なぜならオウラさんか厳しい声を発したからだ。
「きますよ!!」
レシアは空っぽの瞳でなんの感情もない様に飛び上がった。そして両腕が蛇になり、振り上げると、先端が象の足の様になった。しかもめっちゃでかい。私達のいる場所を丸ごと潰す事が出来る大きさだ。それが無慈悲にも振り下ろされる。
「レシア? 知ってるのか?」
マイオさんが私にそう尋ねて来る……けど私は彼の言葉に反応しない。出来ないよ。だって……私も疑問しかないんだから。私はずっと探してた。前の世界で私を守ってくれてたシステムの外の存在の子達を。彼女たちはその存在をシステムに組み込まれてこの世界のどこかにいる筈だからだ。でもそんな簡単に見つからなくて……なにせLROは広大だ。
だからゆっくりと行こうと思ってた。スオウはちゃんと彼女たちをこの世界に組み込んだって言ってたし、私は何の根拠もなく、私たちならきっと会える……と勝手におもってたから。
けどその思いはこの瞬間叶った事になる。私の勝手な思いは実現した。でも……なんで……
「セツリ、知ってるのですか? くっ、皆さんはどうですか?」
私が呆然としてて言葉を返せる状況じゃないと判断したオウラさんがシルクちゃんたちに聞いてる。うん、ごめんだけどそっちに丸投げするよ。
「えーと、なんだが見覚えがある気はするような……」
「セツリちゃんが知ってるのなら、多分あのシステム外の存在だと――」
テッケンさんとシルクちゃんは必死に記憶をたどってるみたい。あんまりレシアの印象はないのかな? 確かにレシアは他の三人に比べたら直接動く子じゃなかったから仕方ないかもしれない。でも私は忘れなんてしないよレシア。
「確率を操作できるとかいう奴でしたね。彼女だけは他の姉妹の犠牲になって消えたので組み込まれ方も異常になったのかもしれないです」
セラさんは静かにそういった。確かにそうなのかも……一番優しいのに……いちばん苦しい目にばっかりあっちゃう子だよ。それとも優しいから……なのかな?
「レシア! 私だよ! セツリだよ!」
私は少し飛び出してボーっと立ってるレシアに声をかける。でも反応はない。彼女は透けそうで透けてないワンピース一枚の姿だ。まあ実際、そのワンピースみたいなのがあるのかは疑わしい所ではある。なんだか違和感があるんだよね。確かにそういうふうに見える……けど、着てる様にみえないというか、その空間だけそういう風に見えてるというか……言葉にするのは難しい表現だ。
「せつ……り?」
僅かにレシアがそう口にした。反応してくれた! 私はうれしくなって更に近づこうとした。
「ダメだ!!」
けどその瞬間、私はマイオさんによって引き戻された。そして更にガゴン!! とかいう音が耳に届く。
「大丈夫ですかセツリ?」
「オウラさん……」
私とマイオさんの前に更にオウラさんが立ってる。マイオさんは私を庇う為に私を抱き込むようにして柊に背中を向けてたわけだけど、その更に前にオウラさんが出て何かを……いや、きっと攻撃を防いだんだろう。
「セツリ、忘れたんですか? 彼女たちにはもう前の記憶はないのよ」
セラさんが無慈悲な事をいう。確かにそうだった……ね。けど、おもいだすかもしれないじゃん。リセットされたけど、どこまでリセットされたのかはわからない。もしかしたら残ってるかも……しれないじゃん。
「でも……」
「少なくとも、あれはやる気満々ですよ。それにあの姿が、貴女が知ってるレシアなの?」
「つっ!?」
マイオさんに退いてもらって見えたレシアの姿はついさっきとは変わってた。さっきまでは普通の人型だった。なのに今は、その左腕が蛇の様になってた。あれをさっききっと向けたんだろう。そしてそれをオウラさんが防いだ。私はマイオさんをみる。
「あれが前領主の研究の賜物……あれがレシアという子なのかは分からないが、素体は前領主の奥さんでその体には何百という生き物が配合されてる筈だ。あれは……人工的に作られた……化け物なんだ」
「そんな……だって……あれはレシアなのに!」
私は問い詰める様にマイオさんにそういうよ。八つ当たりだ。……けど言わずにいられない。でもそれ以上の言葉は紡げなかった。なぜならオウラさんか厳しい声を発したからだ。
「きますよ!!」
レシアは空っぽの瞳でなんの感情もない様に飛び上がった。そして両腕が蛇になり、振り上げると、先端が象の足の様になった。しかもめっちゃでかい。私達のいる場所を丸ごと潰す事が出来る大きさだ。それが無慈悲にも振り下ろされる。
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