命改変プログラム

ファーストなサイコロ

993

 僕達は吹雪が吹きすさぶ白い大地を歩いてる。秋の次には冬に来たのだ。どうやら春と冬はけっこう仲が悪いらしく、こっちなら変な前情報とかに染まってない確率が高いそうだ。逆に夏と春はそれなりに仲がいいから、夏は春に変な吹き込みをされてる可能性が高いらしい。
 この次が結構厄介そうだ。まあ冬は冬で何があるかわからないが……

 吹雪の中しばらく進むと、小さな凍った池に立ち並ぶ氷の街が見えた。そして氷の城。この吹雪のなかよく無事だな~とか思ったが、どうやら結界で保護されてるみたいだ。僕たちはまずはちょっと離れた所で立ち止まった。まずはお姫様が事情を説明してくれるらしい。
 秋の所でも思ったけど、僕たちが姿を見せるのは不味いからね。しょうがない。吹雪の中待つことになった。そして少しすると、お姫様が別の鎧の騎士たちと共に戻ってきた。彼等は小さな鳥に乗ってる。ここでも外と同じにように木々も生物も育ってる。
 だから小人であるここの住人たちが乗れるもので一番丁度いいのが昆虫なんだろうなって思ってたわけだが、やっぱり取りにしては小さいよな? いや、別にこの世界の鳥を全て把握してる訳じゃないから、ああいう鳥がいてもおかしくはない。

 けどなんか普通の鳥ではなさそう。そんな事を思ってると、吹雪で見えずらかったのか、かなり近くまで来て冬の騎士たちは僕達を見て驚いてた。けどそこまで警戒してるようすじゃない。やはりお姫様が直接来たことが大きいみたいだ。

「ん?」

 なにやら向こうにも美少女がいる。しかも秋のお姫様とよく似てる気がする。秋のお姫様が紅葉の様な赤い髪をしてるのに対して彼女は白い。銀髪なのかな? まさに冬の化身みたいな姿。けど、やっぱりどこか秋のお姫様と似てる。

 そんな彼女は顎に手を当てて僕達を見回し、そして何やら頷いてる。そして何やら話し出す。

「どうやら私たちは認められたみたいだよ」

 そう会長が伝えてくれる。さっきのは見定められてたのか。つまり今はクエストの説明をしてくれてるのだろう。何言ってるがわからないが。それは会長に任せておけばいい。少しすると、冬のお姫様の口が止まってお上品にこちらを見上げてくる。

「なんだって?」
「うん、どうやら結界に注ぐ力がたりないみたいだから、私たちにはその力を補充してもらいたいって」

 なるほどね。確かにこの小ささなら、雪がこれだけ積もってたら大変だ。死活問題だろう。もしも結界がなくなれば、彼らは雪の中に埋もれる事になるのは確実だ。そうなったら当然生きてはいけないだろう。

「力ってMPとかですか?」

 セラのその言葉に会長は首を横に振るう。

「ううん、もっと精霊に近い……ようは祝福が必要みたい」
「祝福を何かに込めるって事か……」

 出来るのか? やったことないような……だいたい祝福って外にだす。そしてつなぎ合わせる感じだからね。いや、でもあの魔法陣に通したのは……近い? 結局このクエストをやらないと、祭壇への道はひらけないのなら、やるしかない。

 僕は会長に頷く。そして会長が冬のお姫様へと伝えるよ。僕たちは冬の騎士たちに誘導されて再び移動する。そこに秋の騎士とお姫様の姿はない。なにせ最重要な場所らしいから、流石に他の四季の姫とか騎士に場所を知られる訳にはいかないらしい。納得だね。

 僕達はちょっと歩いて氷の柱が立ち並ぶ場所へと連れてこられた。柱と言ってもどれも結構細くなってる。もしかしてこの柱は溶けてるのか? この吹雪の中で? おかしいよね。けどそういう物なんだろう。つまりはこの氷の柱を復活させればいいのかな? 

 僕はそう推測した。

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