命改変プログラム
856
「ふう、こんなもんかな?」
そうローレが言うと、ようやくオルガトは魔法陣から解放されて浜辺に投げ捨てられた。そしてピクピクとしてるオルガトに打ち寄せる波が被る。その姿はなんか哀愁を誘うよ。かわいそうになってくる光景だ。精霊をこんな扱い出来るのはこいつだけだろう。
「さて、お待たせ。こんどはあんたの番よ」
そう言ってローレは僕の方を見てくる。僕の番だといわれてもね。あんなの見せられた後じゃ、なんか何もかもがショボく見えそうなんですけど……だってさっきのはなんかもう世界の仕組みを変えてそうな程の大魔法に見えたんだが? 何やってたのかは全然わかんなかったけど……たぶんそこまで的外れでもない気がする。エリアではあんなことも普通にできる? いやできないよね? ほぼエリア機能に触ってない僕にはわかりようがない。
でもあんなのは見たことも聞いたこともないけどね。
「新しい力、使ってみなさいよ」
ローレは大した事やってなさそうに普通にしてる。本当にこいつにとっては大したことではないのかも……とりあえず僕もオルガトとの契約で得た力は試してみたいものがある。ここはローレのエリア。こいつ以外に漏れる心配はないし、都合いい場所だしね。まあその為に連れてきたんだろうけど。それに思いっきり力を使っても大丈夫なようにビーチなわけだろうしね。僕はフラングランを抜いてみる。
そしてスキル一覧に追加されてるスキルを呟く。
「暗閻」
するとフラングランから黒い靄みたいなのが淡く出てきた。でもそれだけだな。多分フラングランに特殊な力が加わってるんだと思うけど……僕はとりあえず感触を確かめる様に素振りをしてみる。
「重さとか速さは別段変わった感じしないな」
「なにか切ればわかるんじゃない?」
そういってローレは自身の手に石ころを出す。それを切ってみろって事か。ローレは適当に石ころを投げてくる。やまなりなったそれを僕は素早くフラングランを振りぬいて切り裂く。綺麗に切れた石ころ。別段変化があるように見えない。だってこれくらいなら今まで普通にできたし……
「まあ、見た目かっこよくなったじゃない」
「それで満足しろと?」
結構なリスクを負って契約したはずだけどね!? それで見た目だけなんか格好良くなったって納得できないんだか?
「オルガト! これだけじゃないよな?」
僕はローレが召喚したオルガトの方をみる。するとあいつ、なんか海に向かって膝抱えてなんか砂浜に描いてては波に消されるって事を繰り返してた。
「はは……もうおれっちは抜け殻っすよ。はは」
とかなんとか呟いて消沈してしまってる。なんなのあれ? うざったいんですけど……それにこっちにかまってくれそうもないし……
「とりあえず一回じゃわからなくない? もっと切ってみなさいよ」
そう言ってローレは石を立て続けに投げてくる。それを一応切るけど……別段何かが変わる気配はないような?
「石ころじゃだめなのかもね。じゃあ次はこれよ」
ローレは石から魔法に変えてきた。迫る炎の玉。それをフラングランで切る。
「あれ?」
けど今度は切れなかった。けど魔法自体は消えてる。切ったというか……吸い取った? みたいな?
「もう一度頼む」
「そうね、規模が小さいのじゃわかりづらいし、ちょっと大きめで行くわよ。
「ちょっと?」
ローレが簡単に出した火球は優に直径五メートルはありそうなデカさなんだが? まあ確かにわかりやすいかもしれないけど……それをようしゃなく僕に向けてくるあたり流石ローレだよ。けどおかげて今度ははっきりと分かった。フラングランが魔法に触れる前に、黒い靄が魔法を飲み込んでる……というか、おなじような黒い靄にしてる。そして大きな火球だった分、黒い靄も増えて、それはフラングランだけじゃなく、僕全体を包んでる。
「なんだ……こ――あれ? なんか痛いぞ!?」
見るとHP が減ってる。これダメージ受けてる!? けど振り払おうにも黒い靄は僕にぴったりと張り付いてる。
「落ち着きなさい。何かその状態でできる事あるんじゃない?」
「この状態で何が出来るって……」
視界さえ悪いんですけど……戦闘中にこんな状態になったらむしろ邪魔で仕方ない。けど、何かあると思う気持ちもわかる。てかなかったらオルガトを蹴り飛ばそう。僕は改めてスキル欄をみる。するとさっきまでなかった文字が輝いてた。
「なんか……ある」
「それね。使ってみなさい」
「けど……なんかやな予感がするんだよな」
そもそも光ってる色も怪しい。濃い紫が不気味だし。
「でも使わないなんて選択肢ないでしょ?」
「まあ……けど、なにがおきても同意の上だからな」
「はいはい」
少しずつ黒い靄はすくなくなっていってる。多分これはこの靄の分だけ発動出来るんだろう。ローレの同意も取ったことだし、僕はそのスキルの名を紡ぐ。一回息を吐いて吸って……そして――
「オリジン」
――それは起きた。
そうローレが言うと、ようやくオルガトは魔法陣から解放されて浜辺に投げ捨てられた。そしてピクピクとしてるオルガトに打ち寄せる波が被る。その姿はなんか哀愁を誘うよ。かわいそうになってくる光景だ。精霊をこんな扱い出来るのはこいつだけだろう。
「さて、お待たせ。こんどはあんたの番よ」
そう言ってローレは僕の方を見てくる。僕の番だといわれてもね。あんなの見せられた後じゃ、なんか何もかもがショボく見えそうなんですけど……だってさっきのはなんかもう世界の仕組みを変えてそうな程の大魔法に見えたんだが? 何やってたのかは全然わかんなかったけど……たぶんそこまで的外れでもない気がする。エリアではあんなことも普通にできる? いやできないよね? ほぼエリア機能に触ってない僕にはわかりようがない。
でもあんなのは見たことも聞いたこともないけどね。
「新しい力、使ってみなさいよ」
ローレは大した事やってなさそうに普通にしてる。本当にこいつにとっては大したことではないのかも……とりあえず僕もオルガトとの契約で得た力は試してみたいものがある。ここはローレのエリア。こいつ以外に漏れる心配はないし、都合いい場所だしね。まあその為に連れてきたんだろうけど。それに思いっきり力を使っても大丈夫なようにビーチなわけだろうしね。僕はフラングランを抜いてみる。
そしてスキル一覧に追加されてるスキルを呟く。
「暗閻」
するとフラングランから黒い靄みたいなのが淡く出てきた。でもそれだけだな。多分フラングランに特殊な力が加わってるんだと思うけど……僕はとりあえず感触を確かめる様に素振りをしてみる。
「重さとか速さは別段変わった感じしないな」
「なにか切ればわかるんじゃない?」
そういってローレは自身の手に石ころを出す。それを切ってみろって事か。ローレは適当に石ころを投げてくる。やまなりなったそれを僕は素早くフラングランを振りぬいて切り裂く。綺麗に切れた石ころ。別段変化があるように見えない。だってこれくらいなら今まで普通にできたし……
「まあ、見た目かっこよくなったじゃない」
「それで満足しろと?」
結構なリスクを負って契約したはずだけどね!? それで見た目だけなんか格好良くなったって納得できないんだか?
「オルガト! これだけじゃないよな?」
僕はローレが召喚したオルガトの方をみる。するとあいつ、なんか海に向かって膝抱えてなんか砂浜に描いてては波に消されるって事を繰り返してた。
「はは……もうおれっちは抜け殻っすよ。はは」
とかなんとか呟いて消沈してしまってる。なんなのあれ? うざったいんですけど……それにこっちにかまってくれそうもないし……
「とりあえず一回じゃわからなくない? もっと切ってみなさいよ」
そう言ってローレは石を立て続けに投げてくる。それを一応切るけど……別段何かが変わる気配はないような?
「石ころじゃだめなのかもね。じゃあ次はこれよ」
ローレは石から魔法に変えてきた。迫る炎の玉。それをフラングランで切る。
「あれ?」
けど今度は切れなかった。けど魔法自体は消えてる。切ったというか……吸い取った? みたいな?
「もう一度頼む」
「そうね、規模が小さいのじゃわかりづらいし、ちょっと大きめで行くわよ。
「ちょっと?」
ローレが簡単に出した火球は優に直径五メートルはありそうなデカさなんだが? まあ確かにわかりやすいかもしれないけど……それをようしゃなく僕に向けてくるあたり流石ローレだよ。けどおかげて今度ははっきりと分かった。フラングランが魔法に触れる前に、黒い靄が魔法を飲み込んでる……というか、おなじような黒い靄にしてる。そして大きな火球だった分、黒い靄も増えて、それはフラングランだけじゃなく、僕全体を包んでる。
「なんだ……こ――あれ? なんか痛いぞ!?」
見るとHP が減ってる。これダメージ受けてる!? けど振り払おうにも黒い靄は僕にぴったりと張り付いてる。
「落ち着きなさい。何かその状態でできる事あるんじゃない?」
「この状態で何が出来るって……」
視界さえ悪いんですけど……戦闘中にこんな状態になったらむしろ邪魔で仕方ない。けど、何かあると思う気持ちもわかる。てかなかったらオルガトを蹴り飛ばそう。僕は改めてスキル欄をみる。するとさっきまでなかった文字が輝いてた。
「なんか……ある」
「それね。使ってみなさい」
「けど……なんかやな予感がするんだよな」
そもそも光ってる色も怪しい。濃い紫が不気味だし。
「でも使わないなんて選択肢ないでしょ?」
「まあ……けど、なにがおきても同意の上だからな」
「はいはい」
少しずつ黒い靄はすくなくなっていってる。多分これはこの靄の分だけ発動出来るんだろう。ローレの同意も取ったことだし、僕はそのスキルの名を紡ぐ。一回息を吐いて吸って……そして――
「オリジン」
――それは起きた。
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