命改変プログラム

ファーストなサイコロ

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 僕達がスカルドラゴンを討伐すると決めて早、一週間が経とうとしてた。何やってるんだ……と言いたい事だろうけど別にサボってた訳じゃない。ただスカルドラゴンと会えなかっただけだ。まるで僕達を避けてるかのようなんだ。目撃情報は毎日のように上がってる。僕達が有力なチームによって警告を発して貰った訳だけど、それでも完全にスカルドラゴンへと挑む奴らがいなく成ったわけじゃない。


 けど、そういう奴らはちゃんと会えてるんだよね。それなのに僕たちはサッパリだ。こっちはLROに入る前に情報を集めて、今日はこの場所に出没するんじゃないかって当たりをつけてるのに……だよ。しかも前のLROと違って街毎への移動はとても楽に成ってる。ゲートがあるからだ。だから僕たちはここ毎日、ギリギリまで粘って粘って奴の出現を待ってた。
 それなのに……だよ。ここ最近はゲートも無いような村に出たりしやがる。街から村に移動するとなると、やっぱりそれなりに時間がかかる。そうなると、着いたときには村は壊滅なんて事がある。


 偶々居たプレイヤーが追い払うって事がなかった訳でもないんだけどね。けど少数パーティーであのスカルドラゴンを追い払えのか? っても思う。尾ひれをつけて話してるのかも。エリアバトル全盛期の今、辺境の地にまでいってる人達は素材集めとかそんなので、大抵二・三人位しかいない。滅茶苦茶の凄腕なら、多分なんとかなるのかもしれないけど……それだけの奴が名前知られてない訳無いからね。


 追い払ったとか言ってる人達は見逃された……とかが真実何じゃないかと僕達は思ってた。けどそれじゃ、襲われる人達と見逃される奴らの違いは一体? ってことになる。スカルドラゴンは既に領主の意思は無くなってると思ってたが、そうじゃない? それとも何か本能的な所でそれを行ってるのか。


『今日こそは』


 そんな思いで毎日を無駄にしてきた。流石に一週間も会えないと、今のままでは駄目だと僕たちは思ったよ。最初はちゃんと来てたローレの奴とか、最近は『会えたら行くから〰』と言ってここ最近は参加してないし……けど文句は言えない。皆リアルの事もあるだろうしね。いくら夜にやってると言っても、明日に差し支えるようだと不味い。


「いつでもスカルドラゴンに挑めるように、大体みんなで一緒に居るのが不味いのかも」


 そういったのはシルクちゃんだった。そしてその後にテッケンさんが続く。


「僕達が得た情報にスカルドラゴンは一定数以上だと逃げ出すのかも……というのがあるんだよ」
「それはつまり、バトルに人数制限が決まったタイプのモンスターと言うことですか?」


 セラの言葉にテッケンさんは頷くよ。なるほど……それは……もしかしたらあるのかも? 流石にこうも会えないのは可笑しいからね。会えてる人達は確かに居るんだし、僕達だけが会えないのは理由があると思うべきだ。それが人数制限の可能性は大いに有り得る。


「けど、僕達以外でスカルドラゴンを狙ってる奴らは? 強敵にはそれなりの数で挑むのが普通じゃないか?」


 それも前のLROをやってた人達とかなら普通にそうすると思うんだけど? けどセラはこう言うよ。


「今はチームが定着してる。そしてチームの利益を考えるのが当然。まあ、それでもちゃんとアライアンスを組む人達はちゃんと居るだろうけど、その人達も私達と同じ状況なのかもしれないわ。皆が皆、情報を上げてる訳じゃない。会えなかったら上げる意味なんて無いんだし」
「確かに……」


 上がってる目撃情報とかも、何人で見ました――なんてのはわざわざ書かない訳で、会えない奴らが『会えませんでした』と上げる訳もない。


「具体的な人数はわかりますか?」


 オウラさん真剣な面持ちでそう問う。


「一つのパーティー以下はあり得ないと思う。けど2パーティーは多いのかも……それ未満かな」


 テッケンさんの言葉に僕は皆を見る。僕にアギト、それにアイリにセラ。シルクちゃんにテッケンさん。オウラさんにメカブにセツリ。そしてローレ。今はいないけど。僕たちは十人位いる。2パーティーと呼ぶには充分。それじゃあ多いのか。でもローレが居ない時は九人でそれでも駄目なら、上限は八人・七人くらいか? 六人でも1パーティーとは言えるしな。


 そんな時LROの掲示板を見てたメガブが言った。


「きた、目撃情報。レスティア付近」
「レスティア?」


 それはなんだか今話してた事を覆す事じゃないか? だってレスティアは今やプレイヤーが一番集まってる場所だ。数百人規模で居るよ。


「レスティアの街に現れた訳じゃない。あくまで近くよ。レスティアは流通も多いし、船とか狙ってるのかも」


 レスティアは一応海上に街だけが浮かんでる形でニューリードから見えるからな。門を通って行くと、レスティアの街の周りに海なんて無いんだけどね。けどその門もごった返してるから、LROの他の国との交易は海上からやってるらしい。どういう風に成ってるのかはわからない。多分それがわかるのはLROと直接繋がったチームだけなんだろう。


「どうする?」


 メカブのどうするになんと答えればいいのか……行くか……行かないか……その場合パーティー編成はどうするか……レスティアにはプレイヤーが沢山いる。もたもたしてたら、レスティアのプレイヤーが集まってスカルドラゴンは逃げるだろう。そんな迷いを振り払ってセラの奴が素早く答える。


「メカブは待機しててください。残りのメンバーで行きます」
「私だけー?」


 一応理由を知りたがるメカブ。どうでも良さげではある。


「本当ならオウラさんも残しときたいです。二人は鍵になりえるかもしれませんから。けど、九人での行動はしてたので八人でも確認しておきたい。そこで誰を残すかとなれば、貴女はそちらのリーダーなのですから当然でしょう」


 その言葉にメカブは納得したようだ。リーダーって言葉に靡いてた。バカで良かった。決まったのなら、急がないと。この実験を成功させるには僕達が一番にスカルドラゴンに出会う必要がある。

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