命改変プログラム
787
 村に着いた。村というだけあって小さい。人口百人もいないんじゃないかって感じ。まあ人数を確かめたわけじゃないけどさ……とりあえず見える建物が少ないし。実はこの村、全て家族と親戚しかいないとかいわれても納得できそうだぞ。なに、辺境の部族かなんかなの?
 
「まあ、そんなところね」
僕が勝手にそんな事を思ってると、ローレの奴が相槌してきやがった。ナチュラルに心を読むのやめてくれないかな? 心臓にわるいんだけど……でもそんなこと言ったってローレが聞くはずもないから言わないけどね。そもそも本当に心を読んだのかわかんないし。もしかしたらここに来たら誰もが思うことなのかもしれない。だからローレは僕の考えを言い当てられた――とも考えられる。
「こちらです」
そう言って助けた神官さんが先頭に立って案内してくれる。案内と言っても本当に小さな村だからものの数秒で目的の建物に付いた。周りの家は比較的小ぶりサイズだったけど、案内されたのはなかなかにデカイ建物だった。まあそれでも地上よりも数メートルの高さにある小屋なんだけどね。てか、この地方は大体モブリの生息地だからこの村もモブリが住んでるんだろう。そんなサイズだ。
案内された建物だけが人も入れるサイズってだけ。とりあえず折れそうな階段を上がって扉の中へ。中はおもったよりも快適な空間だった。こんな隙間風ばっか入ってきそうな家なのに快適な温度が保たれる。それに敷いてある綿みたいなのがフカフカで直に座っても尻が痛くならなさそうだった。中には髭と髪の境界線がわからない程にモジャってるモブリと揃いの服を着た神官さんが更に二人いた。でもかなり壮年な風の神官さん達は案内してくれた人たちよりも偉いんだろうなって事はわかる。
「そちらの方は?」
神官さんの一人がそう言ってきたので、窮地を救ってくれたという説明とともに、僕たちは軽く挨拶を交わした。そして自分たちの目的が精霊だと知ると、目の色を変えた。
「あなた達は二人で精霊に挑もうとしてるんですか?」
神官さんの言葉には暗に(こいつら馬鹿か?)みたいなニュアンスを感じた。いや、実は僕も薄々おもってたんだけどね。だって精霊だよ。二人でどうにかできるのかって? でもローレの奴は何も言わないから……それでほいほいここまで来た僕は確かに馬鹿だと思う。いや、ローレの事だからご自慢の下僕でもいるのかと……
「そうよ。私たちは別に倒したい訳じゃないしね。ただ、話しに行くだけ」
「精霊が聞く耳を持つと?」
「もちろん。むしろなんで無理だと思うのかしら? 彼らはとても賢いのよ」
そのローレの言葉に壮年の神官が応える。
「彼らは賢い。だからこそ我らのような矮小な存在と口を聞かないものなのだ。我らが彼らと話すには力を示さねばならぬ。それが精霊との対話だ」
確かに、普通はそうだろう。色んなゲームでも最初は力を示すもの。楽して強大な力なんて手に入らないってのが頭にあるからローレの言葉は僕だって疑ってるよ。話すだけでいいの? それなら二人だけでもなんとかなりそうな気はする。
「あなた達は精霊を何もわかってない」
そんなローレの言葉に眉根を一瞬しかめる神官たち。ローレのことを幾ら凄いやつと本能的にわかってても、見た目は子供だ。カチンと来るだろう。けどそんな中重く、けど染み渡る様な声がこの場に響く。
「なら、言葉だけであの荒々しい精霊を沈めてはくださらんか? 天から雷を自在に操る精霊【サラマンダー】を。我らは……いや、ここら一帯の村はいまやいつ焼かれるか、その恐怖に怯える毎日なのです。ですのでどうか……」
そんな村長なのか長老なのかわかんないモブリの言葉に、壮年の神官が苦言を呈す。「無理だ、出来るわけない」とか「必ずや本体を動かすのでそれまで辛抱を」とかそんなのだ。この人達は先遣隊みたいなものなのだろうか? 多分そうだろう。まあ確かに、こんな小娘の言うことを真に受けて精霊を刺激されたらたまらないのかもしれない。
でもこっちは元々そんな悠長にやる気はないんだよね。
「任されましょう」
ローレは自信満々で言い切った。
 
「まあ、そんなところね」
僕が勝手にそんな事を思ってると、ローレの奴が相槌してきやがった。ナチュラルに心を読むのやめてくれないかな? 心臓にわるいんだけど……でもそんなこと言ったってローレが聞くはずもないから言わないけどね。そもそも本当に心を読んだのかわかんないし。もしかしたらここに来たら誰もが思うことなのかもしれない。だからローレは僕の考えを言い当てられた――とも考えられる。
「こちらです」
そう言って助けた神官さんが先頭に立って案内してくれる。案内と言っても本当に小さな村だからものの数秒で目的の建物に付いた。周りの家は比較的小ぶりサイズだったけど、案内されたのはなかなかにデカイ建物だった。まあそれでも地上よりも数メートルの高さにある小屋なんだけどね。てか、この地方は大体モブリの生息地だからこの村もモブリが住んでるんだろう。そんなサイズだ。
案内された建物だけが人も入れるサイズってだけ。とりあえず折れそうな階段を上がって扉の中へ。中はおもったよりも快適な空間だった。こんな隙間風ばっか入ってきそうな家なのに快適な温度が保たれる。それに敷いてある綿みたいなのがフカフカで直に座っても尻が痛くならなさそうだった。中には髭と髪の境界線がわからない程にモジャってるモブリと揃いの服を着た神官さんが更に二人いた。でもかなり壮年な風の神官さん達は案内してくれた人たちよりも偉いんだろうなって事はわかる。
「そちらの方は?」
神官さんの一人がそう言ってきたので、窮地を救ってくれたという説明とともに、僕たちは軽く挨拶を交わした。そして自分たちの目的が精霊だと知ると、目の色を変えた。
「あなた達は二人で精霊に挑もうとしてるんですか?」
神官さんの言葉には暗に(こいつら馬鹿か?)みたいなニュアンスを感じた。いや、実は僕も薄々おもってたんだけどね。だって精霊だよ。二人でどうにかできるのかって? でもローレの奴は何も言わないから……それでほいほいここまで来た僕は確かに馬鹿だと思う。いや、ローレの事だからご自慢の下僕でもいるのかと……
「そうよ。私たちは別に倒したい訳じゃないしね。ただ、話しに行くだけ」
「精霊が聞く耳を持つと?」
「もちろん。むしろなんで無理だと思うのかしら? 彼らはとても賢いのよ」
そのローレの言葉に壮年の神官が応える。
「彼らは賢い。だからこそ我らのような矮小な存在と口を聞かないものなのだ。我らが彼らと話すには力を示さねばならぬ。それが精霊との対話だ」
確かに、普通はそうだろう。色んなゲームでも最初は力を示すもの。楽して強大な力なんて手に入らないってのが頭にあるからローレの言葉は僕だって疑ってるよ。話すだけでいいの? それなら二人だけでもなんとかなりそうな気はする。
「あなた達は精霊を何もわかってない」
そんなローレの言葉に眉根を一瞬しかめる神官たち。ローレのことを幾ら凄いやつと本能的にわかってても、見た目は子供だ。カチンと来るだろう。けどそんな中重く、けど染み渡る様な声がこの場に響く。
「なら、言葉だけであの荒々しい精霊を沈めてはくださらんか? 天から雷を自在に操る精霊【サラマンダー】を。我らは……いや、ここら一帯の村はいまやいつ焼かれるか、その恐怖に怯える毎日なのです。ですのでどうか……」
そんな村長なのか長老なのかわかんないモブリの言葉に、壮年の神官が苦言を呈す。「無理だ、出来るわけない」とか「必ずや本体を動かすのでそれまで辛抱を」とかそんなのだ。この人達は先遣隊みたいなものなのだろうか? 多分そうだろう。まあ確かに、こんな小娘の言うことを真に受けて精霊を刺激されたらたまらないのかもしれない。
でもこっちは元々そんな悠長にやる気はないんだよね。
「任されましょう」
ローレは自信満々で言い切った。
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