命改変プログラム
784
懐かしの街、サン・ジェルクを見渡す。前に来た時と別にそこまで変わりはないように見えるな。大きな湖の上に連なるように浮いてる建物。その中央にひときわ大きな建物がある。あそこに教皇がいる。
今もあいつなのかな? でも会うことは叶わないだろう。なにせもう覚えてるわけないだろうし。そんなことを思ってると頭上を大きな何かが通った。そしてそれが水しぶきを上げて水面に着水する。
空飛ぶ船、飛空挺だ。あれもなかなかに懐かしい。けど、プレイヤーにとってはそこまで重要な乗り物でもなくなんちゃったよな。なんてったって、ゲートで移動できちゃうもんな。そのせいで飛空挺を使う必要性がない。前はこれでちゃんと移動してたのにね。
でもやっぱり飛空挺はロマンがあるよね。飛行機でもないでっかい船の形のものが空を飛んでるんだ。ファンタジィって感じだ。うんうんと一人で頷いてる僕を何か可哀想なものを見る目で見てくるローレ。
ロマンがわからん奴である。
「そういえばお前、リア・レーゼにはいったのか?」
「なんで?」
「何でってそれは……」
いや、僕が言わんとしてることわかるだろう。リア・レーゼは世界樹の麓にある街。そこはかつてのLROでお前が治めてた場所じゃないか。一度くらい行ったっていいと思う。現に確かアギトとアイリはアルテミナスに行ってたはずだぞ。
ずっと前から LROをやってた奴らならそれなりに思い出の場所とかきっとある。それが普通だろう。そしてローレにとってそれはリア・レーゼじゃないかなって僕は思ったわけだ。けど……違うのか?
「別に、行く必要もないでしょ。用がないんだし」
薄情なやつである。まあけど、人それぞれか……ローレのことはよくわかんないしな。
「で、雷の精霊の居場所はわかってるのか?」
「ここからでも結構かかるわね。精霊は辺境を好むし……田舎者なのよね」
言い方、言い方……それに田舎っていうかそういう存在は汚れてない場所を好むとかじゃないのか? 神聖な存在は神聖な場所を好むだろうし。
「お前は雷のやつだけでいいのか? 他のも手伝った方がいいとか? 自分の都合でこれだけ付き合うとかちょっと悪い気がするっていうか……」
「何? 私ともっと居たいの?」
その顔むかつく。ニマニマした顔しやがって、親切心から言ってやったのになんだそれ。
「別に私たちは利害が一致してるだけでしょ。だからこれ以上なんていらないわよ。私のポイント稼ぎたいのならいいけどね」
「誰が……」
「なら、余計なこと言わなくていいのよ」
そう言ってズンズンとサン・ジェルクを歩くローレ。その背はとても小さいはずだけど、凄く大きく感じる。むかつくけど、すごいやつではあるんだよな。
観光することもなく僕たちはサン・ジェルクを出る。周りは森だから既に結構不気味だ。ここから結構遠いらしいし、長丁場になりそうだな。明日に響かないか心配だ。そんなことを思ってると、ローレが服を引っ張ってきた。
「はいこれ、背負って」
「は?」
ごめんだけど、こいつが何を言ってるのかわかんない。いやマジで。ローレが背負えといってきたのは背中に背負う籠というかお母さんが赤ちゃんを背負うのの豪華版みたいなものだ。結構仰々しいそれに既にローレは座ってる。
それを背負えと?
「あんたクリエをこうやって背負ってたじゃない。まああれよりは大きいけど、私見た目以上に軽いから大丈夫」
「何が大丈夫なのか全然わかんねえよ。てか何で背負うんだ?」
僕の至極まっとうなはずの質問にローレのやつは「は?」って顔してきやがった。そしてやれやれと言わんばかりに首を振って説明してくる。
「私小さいじゃない。あんた大きいじゃない。合わせて移動するの私疲れるし」
「僕が疲れるんだが。寧ろ負担二倍何だが?」
「それは大丈夫。疲れても回復してあげる。タダでね」
恐ろしい奴だ。普段は金取るのかよ。
「それにあんた風使いでしょ? スピード自慢なんでしょ? ならこれが最善でしょ? いいからさっさと馬になりなさいよ」
「はあ……」
なんか言い合いしててもこっちが疲れるだけの気がしてきた。だからせっせと背負う。むむ……悔しいが確かに軽い。てか異常に軽い。これおかしいだろ−−と思う軽さ。きっとローレが魔法で何かしてるんだろう。
でもこれなら確かに速そうだ。僕は風を足に集めて走る出す。疾風の如く。
今もあいつなのかな? でも会うことは叶わないだろう。なにせもう覚えてるわけないだろうし。そんなことを思ってると頭上を大きな何かが通った。そしてそれが水しぶきを上げて水面に着水する。
空飛ぶ船、飛空挺だ。あれもなかなかに懐かしい。けど、プレイヤーにとってはそこまで重要な乗り物でもなくなんちゃったよな。なんてったって、ゲートで移動できちゃうもんな。そのせいで飛空挺を使う必要性がない。前はこれでちゃんと移動してたのにね。
でもやっぱり飛空挺はロマンがあるよね。飛行機でもないでっかい船の形のものが空を飛んでるんだ。ファンタジィって感じだ。うんうんと一人で頷いてる僕を何か可哀想なものを見る目で見てくるローレ。
ロマンがわからん奴である。
「そういえばお前、リア・レーゼにはいったのか?」
「なんで?」
「何でってそれは……」
いや、僕が言わんとしてることわかるだろう。リア・レーゼは世界樹の麓にある街。そこはかつてのLROでお前が治めてた場所じゃないか。一度くらい行ったっていいと思う。現に確かアギトとアイリはアルテミナスに行ってたはずだぞ。
ずっと前から LROをやってた奴らならそれなりに思い出の場所とかきっとある。それが普通だろう。そしてローレにとってそれはリア・レーゼじゃないかなって僕は思ったわけだ。けど……違うのか?
「別に、行く必要もないでしょ。用がないんだし」
薄情なやつである。まあけど、人それぞれか……ローレのことはよくわかんないしな。
「で、雷の精霊の居場所はわかってるのか?」
「ここからでも結構かかるわね。精霊は辺境を好むし……田舎者なのよね」
言い方、言い方……それに田舎っていうかそういう存在は汚れてない場所を好むとかじゃないのか? 神聖な存在は神聖な場所を好むだろうし。
「お前は雷のやつだけでいいのか? 他のも手伝った方がいいとか? 自分の都合でこれだけ付き合うとかちょっと悪い気がするっていうか……」
「何? 私ともっと居たいの?」
その顔むかつく。ニマニマした顔しやがって、親切心から言ってやったのになんだそれ。
「別に私たちは利害が一致してるだけでしょ。だからこれ以上なんていらないわよ。私のポイント稼ぎたいのならいいけどね」
「誰が……」
「なら、余計なこと言わなくていいのよ」
そう言ってズンズンとサン・ジェルクを歩くローレ。その背はとても小さいはずだけど、凄く大きく感じる。むかつくけど、すごいやつではあるんだよな。
観光することもなく僕たちはサン・ジェルクを出る。周りは森だから既に結構不気味だ。ここから結構遠いらしいし、長丁場になりそうだな。明日に響かないか心配だ。そんなことを思ってると、ローレが服を引っ張ってきた。
「はいこれ、背負って」
「は?」
ごめんだけど、こいつが何を言ってるのかわかんない。いやマジで。ローレが背負えといってきたのは背中に背負う籠というかお母さんが赤ちゃんを背負うのの豪華版みたいなものだ。結構仰々しいそれに既にローレは座ってる。
それを背負えと?
「あんたクリエをこうやって背負ってたじゃない。まああれよりは大きいけど、私見た目以上に軽いから大丈夫」
「何が大丈夫なのか全然わかんねえよ。てか何で背負うんだ?」
僕の至極まっとうなはずの質問にローレのやつは「は?」って顔してきやがった。そしてやれやれと言わんばかりに首を振って説明してくる。
「私小さいじゃない。あんた大きいじゃない。合わせて移動するの私疲れるし」
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でもこれなら確かに速そうだ。僕は風を足に集めて走る出す。疾風の如く。
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