命改変プログラム

ファーストなサイコロ

772

「−−ウ! −−オウ! −−スオウ!!」


 目を覚ますとそこにはメカブの顔があった。眩しい蛍光装備のメカブは目がチカチカする。見たことある場所。どうやらここは町外れの孤児院のようだ。やっぱりあの戦いでサポートしてたのはメカブだったようだ。


「うるさい。それに目が痛い」


 まともな格好をしてくれと暗に言ったつもりだけど、メカブはただ心配するような目を向けるだけ。どうやら自分の格好のせいだとは気づいてくれないようだ。とりあえず周りを見ても他には誰もいない。オウラさんはどうしたんだろう?


「オウラは外の警戒してる」


 何かを察したのかメカブの奴はそう言った。まさかメカブがそんな気をつかうとは。驚きだ。


「あの後どうなったんだ?」
「あんたは気を失ってた。だからここまで運んだのよ。奴はどっか消えたわ」


 気を失う……実際はそんなことありえない。気を失った時点でLROから出される。それはそうだろう。だって意識を失うんだからLROと繋がったままではいられない。そのはずなんだけど……僕はどうやら繋がったままで居られるようだ。


「それにしてもあんなん反則でしょ? どうやって勝てっていうのよ。まあ私が本気出せばやれないこともないけどね。なんせ私は人を超越せし存在だし」
「あーそうだな」


 適当に相槌打ちながら奴のことを考える。てかそもそも何が目的で来たんだ? まさか僕いるから狙ってきたとかないよね? それはちょっと考えたくない……だけど他に理由が思いつかない。
 まあ僕とは実は全然関係ないことできたのかもしれない。それは僕にはわかりようもないことだ。結論は出ない。けど、この日からその結論を出すのにそんな時間はかからなかった。何せ奴は現れるんだ。悉く僕のところへ。
 一人でスキル稼ぎしてる時も一心に付き合ってエリアバトルしてる時も他のチームに入って助成してる時も奴は現れてその全てを蹂躙する。はっきり言って対策のしようがない。返り討ちにしようともしたけど……僕たちの実力ではどうしようない。
 蹂躙される……ただそれだけ。そしてそんな事が広まってあれから一週間であんな引き手数多だった僕に助成頼むチームはいなくなった。
 そしてまた今、奴は僕の目の前に現れた。けどそろそろこっちだってただやられるわけにはいかない。今いるのはアギトにアイリ,シルクちゃんにテッケンさん、セラにノウイ、メカブにオウラさん、そしてセツリ。
 この戦力ならもしらしたら……いや、今度こそ倒す! その思いを胸に戦いは始まった。そして決着はつく。頑張った……それはそれは頑張った。今までで多分絶対に一番善戦できた。けど……地面に倒れ伏したのはこちら側だった。
 星を瞬く夜空を見つめて僕だけがその場にまた取り残されてる。

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