命改変プログラム

ファーストなサイコロ

痛い乙女

「うぅ~」


 変なうめき声が聞こえると思い、扉の外を見るとそこには全身真っ赤な異様な奴が!? と思ったら、それはトマトの寝間着に身を包んでたメカブの奴だった。全くビックリしたっての。全身血みどろにみえたわ。


「あれ? メカブちゃん起きたんだ? まだまだ起きないんだと思ってた」
「ダメですよメカブ。二度寝は悪習です。朝は素早く起きないと、体が目覚めず勝利できません」


 勝利? って何に? ほんとラオウさんは何と戦ってるんだろうか? 今日が特別ってわけじゃなく、この人の場合はほぼ毎日何かと戦ってるんだろう。二人からそんな事を言われたメカブは瞼を擦りながら大きな欠伸を一つ出して、そしてまだまだ半開きの目でこう言う。


「誰よ……あんなモンスターを寝かしたの」
「「「モンスター??」」」


 俺達は三者三様にそれぞれを見返す。モンスターなんか一緒に寝かせれる訳無いだろ。てか、それってあれか? 愛の事か? でも愛は天使だからな。違うな。モンスターに近い人なら今まさにここに居るが……


「なんですか?」
「いっいえ、なんでもありません」


 流石にそんな命知らずな事は言えない。突っ込み貰うだけで骨折れたりしそうだしな。洒落をかますにはリスクがデカすぎる相手だ。


「分からないなら教えてあげる。あのお嬢よ」


 目を細めて憎たらしげにそう言ったメカブ。全く、何があればあの天使相手にそんな顔が出来るんだよ。理解できない。そのソバカスゴシゴシ擦るぞ。


「なっ何よ?」
「別に……」


 なんか女って妙な所鋭いよな? それとも目だけで何を考えてるとか分かるのか? 伝えようとも思ってないことまで見抜くのは凄いことだな。嫌だけど。アイコンタクトはさ、こっちも伝える気で目を見るし、心構えが違うから伝わることはまあ分かる。
 なきにしもあらずって奴だ。でも女って普段から何かを感じてるよな? 感じてるというか、感付いてるというか……だ。


「まあアンタは一緒のベットになんか入ったこと無いから知らないんでしょうね。ププ」


 このトマト女ムカツクな。そのヘタとってただの全身血みどろ人間にしてやろうか? 俺だっていつかきっと愛と同じベットに寝る日は……来る……と思うんだ。その日を心待ちにしてる。


「それで? 一体何がどうしたら愛さんをモンスターなんて呼べるの?」
「それはね……あの人……実は!」


 溜めやがるな。さっさと言えよ。なんか頭に愛の寝相を想像したらドキドキしてきたぞ。よくよく考えたらお姫様抱っこしたんだよな……この腕で。あの温もりでまだまだ戦える気がする。
 するとメカブの奴がようやく貯めてた言葉を吐き出した。


「なんと、寝てる私に絡み付いて一杯触られました!」
「「「……………あっそ」」」


 なんだそれ。俺達三人、冷ややかな目でメカブを見る。


「ちょっ、何よその反応。すっごく大変だったんだからね! すっごい絡み付いて来るんだよ! 寝れた物じゃなんだから!」
「はいはい、どうせ二度寝だったんだしいいじゃ無い」
「そうだな」
「ですね」


 日鞠の言葉に俺達はウンウンと続いた。別に同情の余地はないよな。だけどそれじゃあメカブは納得出来ないらしい。自分の苦労を誰かに分かってもらわないとヤダヤダ言ってる。


「二度寝だけど! 二度寝の方が気持ちよかったりするじゃない。寧ろ私にとってはそっちの方が本命みたいな! だからあれは私の人権に対する侵害なのよ!」
「人権? メカブちゃんは人を超えた存在じゃなかったの?」
「そうよ。私はインフィニットアートをその身に宿す、人を超越した存在なの」


 えっへんと自慢気に胸を逸らすメカブ。やばいやばい、たわわに実った大きな実がぷるんと震えたぞ。相変わらずそこだけは破壊力抜群だな。どうせなら頭の天辺じゃなく、その二つのたわわな実の先端にヘタをつけとけば、実が二つって出来たのにな……って何考えてるんだろう俺。
 変態だな。でもあの実を見て、何も反応しない男はいないと思うんだ。


「流石メカブちゃん。じゃあ人権は要らないよね?」
「えっと……それはホラ、あれよ。人を超越した存在権の侵害をしたのよ」
「そんなの物はありません……」
「ひい! ごっ、ごめんなさい!」


 目の前にそびえ立ったラオウさんにすっげー怯えてるメカブ。友達に成ってるはずじゃなかったのかこの二人? まあ今のは完璧にラオウさんもメカブを脅しに行ってたけどな。てかメカブって前々から薄々思ってたが、やっぱアホなのか?
 アホなことしか言ってないよな……普段の言動も痛いことこの上ないし、ほんとそろそろ中二病は卒業したほうが良いと思う。お前がそんなんだから、胸にばっかり栄養行って頭のほうが疎かに巨乳は成ってるって言われるんだぞ。
 まあ……それでも大変素晴らしいけどな……思わずホント目が行く。怯えてごめんなさいする時もポヨヨンと揺れてたのが印象的だった。愛も勿論あるし、形の良さとかでは勝ってそうだが、大きいのはそれだけで魅力的なものだよな。
 俺はスオウみたいに無くてもいい派じゃ基本無いからな。大きいことは良いことだとは思ってるから、仕方ないんだ。


「でもでも……本当に大変だったんだからね。本当だよ」
「はいはい、よしよししてあげますから、今度はちゃんと起きましょうね」
「子供扱いしないでよ!」


 頭撫でられながら両手を振り回すメカブ。威厳も何もないな。まあ元からだが。タンちゃんは痛い中にも時々本当に凄いと思える箇所があるが、こいつはそういうのない。見ていて楽しい奴なのは確かだけどな。
 流石にタンちゃん位の男が仮面被って中二病発症してるのを見るのはこっちも結構痛いんだが、メカブのは引いてもまだ見てられる。胸あるしな。


「わ、私がその気になれば大気の全精霊を従えて操る位訳無いのよ。幾らラオウだってけちょんけちょんになると思いなさい」
「それは凄い……是非とも手合わせを願いたい位です。最近体が訛ってるもので」


 ラオウさんは片手の指の骨をポキポキと鳴らした。やばいよ。この人本当に暴れたいんだろうなって思った。別に相手はなんだっていいらしい。それを見たメカブは冷や汗垂らしながらごまかし出す。


「ああ~でも、そういえば今日は契約がうんたらかんたらだったかも。精霊を使役するのは契約が大切なのよね~」
「そうですか……人でない者との戦闘も心躍る物があると思ったのですが、残念です」
「ふふ、命拾いしたわね」


 どっちがだ。完全にお前だよそれ。なんかメカブってイジメたいオーラがあるな。イジメってか、いじり甲斐がある感じだけど。表情がコロコロ変わってしかもオーバーリアクションなおかげで胸が揺れるのが楽しい。
 必死に人外の自分を演じようとしてるんだけど、それがメッキ過ぎて簡単に剥がれるのがなんともな……しかもその都度リアクション大きいし……ホント面白い奴だ。そもそもやっぱなんでトマトだよ。
 なんかトマトがいやらしい物に見えてきた。


「も~アンタ達とじゃ調子が狂う! はいはい二度寝した私が悪かったのよ。こうなったらあのお嬢の眉を濃くしとくか……」
「やめろバカ」


 俺は思わずその天辺のヘタを引っ張ってた。


「ちょっ! やめっ取れる取れる! アホアホ!」


 どれだけ幼稚な語録しか無いんだお前は。小学生か。


「このヘタが取れるとエモーションパワーが吸収できないじゃない」
「なんだって?」


 また変な言葉を吐きやがったぞ。今度はどんな設定なんだよ。


「ふふ、私がなんの意味も無くトマトに扮してると思ってたの?」
「まあ……」
「ププ〜! これだから人間は! ––ちょわってだから引っ張るな!」


 なんかカチンと来た。なんか異様にイラッと来るんだよな。てかお前だからこそ、なんの意味もなくても納得できるんだけどな。自分という存在が周囲にどう見られてるかくらい分かってろ。他の誰がトマトに扮してるよりも違和感ないっての。


「っで、なんの意味があるんだよ? 一応聞いてやる」
「アンタ達には理解できないでしょうけど、一応、教えてやるわよ。いい、私達存在の証明はこの世界に存在し続けてるだけでエネルギーを消費してるのよ。でもそれはまあ普通の人間……つまりはアンタみたいなデカイだけの木偶の坊でも食事とかで他の生命を微量でも搾取するだけで事足りる訳だけど、私達の様なインフィニットアート保有者はそうじゃないの。
 私達の力は食事程度でバランス取れる存在じゃないのよ。でもだからってそこら中の生命を殺しまくる訳にも行かないでしょ? だからこそ回避策として、世界に漂ってるエモーションパワーを取り入れる事で存在の証明を維持してるのよ」
「そのエモーションパワーは勝手に取っていいものなの?」


 日鞠の奴がわざわざ余計な事を聞いた。別に「あーはいはいそうなのか、いや、そうなんだね」って流せば良い物を。エモーションパワー? きっと無いだろそんなの。まあそれをいうとインフィニットアートもなんだけど……聞かれたメカブの奴は、ドヤ顔でこう言う。


「問題無いわ。エモーションパワーは普通の人間には感知できないし、害も無ければ利もないものなの。私達は特殊な方法を使ってその力を自分達のインフィニットアートの存在証明に使ってるの」
「その特殊な方法ってのがメカブちゃんの場合はそのトマトなの?」
「まあね。私の場合は植物のエネルギー循環構造を参考にした方法を取ってるから」


 なんだろう……この無理矢理難しい言葉を使ってます感。無理するなよメカブって言いたい。


「エネルギー循環構造ね……」
「何よ? 文句でもあるわけ」


 この女、なんて顔で睨んで来てるんだ。チンピラみたいだぞ。ヘタを掴んでるのがそんなに気に入らないのか?


「まあアンタには難しすぎるかな? あんまり頭良さそうじゃないもんね」


 ニタニタしながらそういうメカブ。基本女性には優しく接するのが俺のもっとうなんだが、こいつだけは例外でいいよな。俺はもう一度そのヘタを引っ張ると今度は押し込んでやることに。


「ああそうか、確かに俺は頭良くないかも。だからこれでいいんだっけか? 抜くのはダメなんだろ? 頭頂部に植え込んでやるよ。これでいつでもエモーションパワーを取り入れられる様になるな」
「イタッ––痛いって––マジ痛いから! これだから低学歴は!」
「まだ言うか!」


 更に俺は押し込んでやる。良かった愛が寝てて。こんな事やってる所はみせられないからな。しかも言っとくけど低学歴って、俺と日鞠は高校一緒なんだから日鞠も学歴は低学歴になるぞ! 


「ふん、私が言ってるのは外身じゃなく、本質よ。中身が低学歴なのがあんたでしょ? 日鞠は入ってないわよ」
「俺から見たらお前も十分低学歴だけどな!」
「ただの人間には感じれないんでしょうね。可哀想!」


 うるさい。本当に不思議な力、インフィニットアートを持ってるのなら一度でいいから見せてみろ!


「見えない人間には一生みえませ〜ん」


 マジムカツクこいつ。埋まれ! 脳天にヘタ埋まれ!! ギリギリとヘタを押し込んで更にグリグリと回転だ!


「謝ったら許してやらんことも無いぞ」
「ふん、私が人間風情に礼をしろと? 虫唾が走るわ!!」


 こいつはだめだ。ここでこの中二病を直して置かないと、きっと痛いままになってしまう。これは俺にしか出来ない使命。そう勝手に大義名分を振りかざして暴力を振るう。まあヘタ押し付けてるだけだけど。
 にしても根性だけはなかなかある奴だな。歯を食いしばって涙目に成りながらも、俺にはたえず汚い言葉を吐いてくる。


「もう、秋徒もメカブちゃんもやめなさい。今はそんな不毛な争いしてる場合じゃないのよ」
「不毛じゃない! これは必要な事よ。この人間に格と存在の違いをわからせるね」
「出来る事ならやってみろこの中二病」


 俺達の火花散る中には日鞠さえも立ち入る事は出来ない。確かに不毛ではあるけどな。でもなんか既に引けないんだ。このヘタを引っこ抜くか植え付けるまではな!!


「まったく、どうしてこう私の周りって変なのしか居ないのかしら?」
「「おアンタが言うな!!」」


 あっ、なんか息あった。てか、なんでメカブの奴が日鞠に対してそんな感情持ってるんだよ。知り合ったばっかだろお前ら。


「私にはわかる」
「また根拠のない自信かよ」


 ほんとメカブは全てがそれだな。


「理解できなくて結構。してもらいたいなんて思ってないもの。でも私には日鞠が普通じゃないってのは初めて見た時から分かってた」
「はいはい。普通じゃない奴筆頭なのは確かだけど、お前の言葉は俺は信じない」
「なんでそんなに仲悪いのに、私の事だけ一致してるのよ? 私だって普通の女の子なのに……」


 一人今度は日鞠が不満そうにしてる、だけどお前が普通って……俺達を底辺にする気か。下を見ないで頂点にいろよ。それでバランス保ってるんだからな。


「お二人とも、喧嘩は罪ですよ。些細な事が戦争に繋がる事もあります。仲良き事は美しき哉です。仲良くしましょう」


 そういうのはラオウさん。彼女は俺のヘタを掴んでた腕を取って無理矢理持ち上げる。ちょっ!? えええええ!? だ。俺って男子の方でもデカイから、こんな経験ないんだが?  どんだけ簡単に持ち上げるんだよ。


「あはは、いい気味ね」
「アナタもですよメカブ」


 するとラオウさんはメカブの腕も取る。そしてぎりぎりと締めあげて無理矢理手を開かせた。メカブは超痛そうだ。てかマジで痛い。こっちも同じようにされてるから。ヤバイヤバイ、腕潰れる。
 そして無理矢理開かせた手同士をくっつける。


「さあ、これで仲直りしましょう」
「「……………」」


 俺達二人は痛みで何も言えない。ただこの苦痛から開放される為に必死に頭を何度も縦に振るうだけだ。それを見て満足そうに微笑むラオウさん。この人、やっぱりどこかネジ飛んでる。


「分かってくれて嬉しいです。皆さんがこうやって仲良く出来れば争いなど無くなるのでしょうにね」


 それは暗に暴力で全てを解決しましょうと言ってるように聞こえるんだが気のせいか? 俺達は実際心では全然許し合ってないぞ。折れたのは圧倒的な力が目の前に居るからだ。やっぱ全ては力かと思わざるえない。




 俺達は取り敢えずタンちゃんの部屋を後にして食堂の方へ戻ってきた。なんかメカブにも朝飯を食わせたいとかラオウさんが言ったからね。そして案の定その量を見て青ざめるメカブ。ざまあみろだな。


 そしてここで日鞠の運転手のおじさんから連絡が入った。下に居るらしいから上へ来てもらうともれなくSPの方達まで付いてきた。


「おはよう御座います。彼等は今回の為にお嬢様が借り入れた者達ですので、自由にお使え頂けます。どうかお役立ちください」


 そう言ってくれた。けど……SPって守るの専門では? 昨日囮には使ったけどな。なんか一気に空気が重くなった……と思ってると日鞠の奴がSPの一人にこう聞くよ。


「昨日はどうでした? 一戦くらい交えましたか?」
「いえ、そのような事は。至って楽しいドライブでした」
「ささ、皆さん。今日一日を頑張るためにも沢山食べてください!」


 ラオウさんが張り切って食事を次々と持ってくる。でも多分皆さん朝食くらい食べて……って誰もが何故か文句ひとつ言わずに箸を進めだす。なに……一体どんな駆け引きが? やっぱ本能か? 危険を察知したようだ。
 実は監視をしてるどこぞの誰かよりも、この人の方が大分恐ろしいんだ。そして沢山の大人が集まった中で、何故か堂々と何の違和感もなく仕切りだす日鞠。いつの間にかホワイトボードまで用意してやがる。


「ではお集まりの皆さん。ここに居る皆さんが、私達の現状の戦力です。これだけで調査委員会と言う機関を相手にしなければ行けません。でも直接叩き潰すとかではないのでご安心を。
 戦争をやる気はありません」


 その言葉に何故か一人だけ寂しそうにするラオウさん。おかしいだろその反応。


「私達は本当の意味でプレイヤーの解放を……まずはスオウの解放を目指してます。彼はLROにとって重要なプレイヤーであるので、その解放は何かしらの影響をLROにもたらすでしょう。
 それにこちら側がそれをなせるのであれば、牽制にもなり得る。これは重要な事です」


 ホワイトボードに書き込まれてく簡素な絵。スオウと書かれた棒人間の解放で、LROに囚われた人々の解放の可能性が数十%上昇? ってな感じの絵だ。だけどここでラオウさんが言うよ。


「スオウさんを開放するのは歓迎です。ですが彼は敵の手の内。その状態で意識をこちらに戻すのはいかがなものでしょうか? 私はやはり奪還作戦を提案します」
「確かにその懸念はあります。だけど私は見極めたい。彼等調査委員会の姿勢を」


 姿勢? どういう事だ? するとSPの一人が言った。


「あの組織が本気でプレイヤー解放をヤル気があるのかということですかな? お嬢さん」
「ええ、その通り。私達の行動でスオウが目を覚ましたとして、それを彼らがどう扱うか……それで見えてくる物があると思う。だから奪還作戦はそれから後でもいい。スオウが起きてる方が都合いいしね。
 まあだけど本当の問題は彼をこちらの世界に取り戻せるか……」
「方法は?」


 ザワザワとしてた空気が収まり、視線が日鞠へと集中する。日鞠はその視線を正面から受けてホワイトボードにその文字を書き込んでく。


「私達は『ジェスチャーコード』と呼ばれる物を探します。これは確かな筋から得た情報です。きっとLROに関する何かの筈。桜矢当夜、桜矢摂理に関する周辺を徹底的に洗ってください。
 ネット関連の専門系はタンちゃんに任せるしか無いので、私達はジェスチャーコードがもっと単純な物と想定して行動します」
「単純な物ってなんだ?」


 俺は扉の近くからそう聞いてみた。なんか案外日鞠は考えてたんだな。俺はまたとてつもなく難しい、天才の考えた代物だと思ってたんだが……なんか他にあるのか?


「それは二人だけの間の秘密の合図や言葉、そういう物よ。私達に伝えて、私達が見つけれると思える物がどれだけある? そしてそれがネットやLROにだけ依存してるのなら、それこそ敵の方がその道を潰すことは容易でしょう。
 LROなんて未来の世界を作った天才よ。どれだけの保険を掛けてるかわからない。どこまでを見据えてたのかもね。本物の天才は誰よりも予想の遥か上を飛んでいくから天才なのよ」


 日鞠の言葉は納得できる様な出来ないような……でも間違ってる気はしない。ジェスチャーコード自体、どんな物かわからないんだ。その言葉と、これまで説明した情報から日鞠が出した提案がそれなら、俺達は賭けてみても良いと思う。
 俺はこいつを知ってるからな。こういう時はとことん頼りになる奴だ。だけど他の人達にとってこいつはただの女子高生……そう思ってたが、他にどうするかも分からない今の状況で選択肢なんかなかった。
 誰も否定せずにそれは受け入れられた。ジェスチャーコード……それを見つける行動が開始される。でもまずは朝食を平らげる事からだけどな。

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