命改変プログラム

ファーストなサイコロ

秘密の研究所

 街から離れた森の中。地面にぶっ刺された杭みたいなのが様々な光を発して周囲を照らしてる。だけど不思議な事に光に集まってくる虫とかは居ないんだよな。マッドサイエンティストのおっさん曰く


「この光にはある特定の周波数を発する細工がしてあるのだ。これで虫だけでなくモンスターも寄り付かない。素晴らしい発明だろう。しかもこれは完全な単独発電を実現してる。地面のエネルギーを取り込み変換して光を発してるのだ。
 名付けて『パラダイムライト!』理由はどうして色が変わるのかは分からないパラダイム感があるからだ」


 とか言ってた。まずパラダイム感ってなんだよって感じだし、色変わる理由はわかってないのかよとも言いたいよな。でも光は綺麗だし、優しい感じがする。地面にぶっ刺すだけで勝手に光を発してくれるのもいいよな。お手軽だし。
 アウトドア好きには受けるかも。それにLROは案外外で寝ることも有ったりするから、そういう時には虫もモンスターも寄り付かせないってのはかなりいいよな。あれ? 結構いいもの作ってるぞ。産廃ばっかりじゃなかったのか?


「上の奴等は認めたくないだけだ。このマッドサイエンティストの力をな。俺を第一研究所に招いて居れば更にこの街は発展してたというのに。研究とは挑戦することをやめてたら、終わりだと思わんか少年?」
「いや、知らんけど……」


 しらんけども、流石に人道を外れる様な事はダメだと思うけどね。まあマッドサイエンティストに言ってもしょうがないか。僕はテラスの方から部屋の方を向く。なんだかここ別荘みたいな感じなんだよね。
 地面からわざわざ高く作られた木造のお洒落な家に僕達は居る。その周りに例の光源の杭がブスブスと刺さってて、開けた庭にはグリンフィードが鎮座してるんだ。


「なあ、この建物明らかに街にあるあの研究所よりも立派だよな? どこにこんな資金があったんだ?」


 あの研究所にこんな別荘を建てる資金があるなんて思えなかったんだけどな。てか森の研究所とか聞いたときは、どこのプーさん家に連れて行かれるのかと不安だったんだけど、着いてみてビックリ。逆にテンション上がったわ。
 もうこっちを第四研究所とした方が絶対にいいとさえ思えるんだけどな。だってここなら誰にも迷惑かけないだろうし、周りに被害も及ぼさないだろう。そうなればさっきの治安守ってそうな人達に目を付けられる必要も無くなるしで、誰にとってもいい事しか無い様な気がするけどな。


「資金なんて必要としてない。ここは昔からある、俺達の秘密基地だった場所だからな。それにここも向こうもどちらも重要なんだ。どちらかを捨てて移るなど出来るか。受け継いできた物なのだ。色んな物をな」


 そういうマッドサイエンティストはなんだかいつもと違って真面目に見えた。てかそのマッドサイエンティストってのも受け継いだものなのかな?


「ふふ、よく分かったな。第四研究所の所長は代々マッドサイエンティストが継ぐことに成ってるのだよ」


 なんという悪習を残したんだあの所長。自分だけじゃ飽きたらず、まさか世代を渡って巻き込むとはな……死ぬまでその恥ずかしさに気付かなかったのか? 


「ほんと、恥ずかしい奴……って言っても今更だからね。それに別に所長になるためにそいつはマッドサイエンティストやってたわけじゃないわ。なる前からそうで、だからこそ、この忌まわしい地位に付いたようなものよ」


 皿に盛った料理を口に運びながらフランさんがそんな事を言ってきた。忌まわしい? それってどういうことなんだろうか?


「結局大成を見ずに哀れに人生を終えるってことよ。変人としてね」
「ああ、なるほど」


 なんとなく納得できるな。でもさっき前からこのマッドサイエンティストはマッドサイエンティストだったらしいと言ってたって事は、二人は小さな時から知り合いなのか?


「腐れ縁と言うやつだ。ここには二人でよく遊びに来たな助手」
「そうね。あの頃は楽しかったわ」
「俺は今でも楽しいぞ?」
「アンタはね。こっちはアンタが好き勝手にやるから大変なのよ。全く……」


 そう言って肩に手を持って行きモミモミするフランさん。苦労してるのはわかるけど、なんだか別にそんな止める気も無さそうではあるよな。腐れ縁……つまりは幼馴染とかその部類だよな? 
 どうりで昔の所長と助手の関係とはなんか違うわけだ。この二人は所長と助手って感じじゃなく、普通に対等だもん。どっちも遠慮も気遣いもしてない感じ。心許してるって感じだな。


「まあだが俺のサポートがお前の仕事だ。そこはほら、しょうがないんじゃないか?」
「それなら給料渡しなさいよ」
「…………」


 沈黙したぞ。まさか給金払ってないの? そりゃあダメだろ。一応フランさんは第四研究所の職員だろ。それなら雇い主であるこのおっさんには給料を与える義務があるよな。労働基準法違反だな。
 まあLROにそんな物あるのかは疑問だけど。


「今に見てろ助手。俺が偉大なマッドサイエンティストとして世間に認めたれた暁には一生楽な暮らしをさせてやろう!」
「えっ……」


 ガシャンと盛ってた皿が盛大に床に落ちて音を立てた。周りに哀れにも散らばる料理。だけどフランさんはそれらに視線を落とす事はない。そんな事よりも今の事で頭が一杯のよう。まあ頭が一杯と言うよりも、なんだか思考停止してるように見えるけど……


「おい、どうした助手? 全く勿体無いではないか」


 フランさんとは違って全くいつも通りな所長。う〜ん、この人もしかしてだけど、ついさっき自分がとんでも発言したのに気付いてないんじゃ? そう思ってると、ようやく思考が回復してきたらしいフランさんがいつものクールな仮面をボロボロにしながらもじもじ話しだす。


「えっと……うん……ゴメン……だけど、今のは……そのなんていうか、やっぱりそういう事なの?」
「お前、神も言ってたろ。飯の一つ一つにも小神が宿ってると。粗末にするのは行けないことだ。罰が当たるぞ」


 罰って……それにこの錬金の街でそれはどうなんだ? 一応信仰心はあるって事なのか?


「一応な。神を超えることを俺達は目指してるが、何も神を卑下してる訳じゃない。神は神として尊敬してるさ。だからシスカ教を信仰はしてる。熱心とは言えないかもだがな。あのモブリの奴等にしてみれば邪教徒と言われても、まあこの街の奴等は仕方ない」
「ふ〜ん、まっそこまで気にすることもないと思うけどな。一応シスカ教を信仰してるってだけで十分だろ」


 そもそもシスカ教の二代宗派のトップの癖して、シスカ教を侵略しようとしてた奴も居たしな。アイツに比べれば、素っ気なくだけど信仰してるだけマシだろ。別にシスカ教自体をどうにかするわけでも無いんだしな。
 ローレの奴はシスカ教をローレ教にしてしまおうと目論んでたやつだからな。まあ失敗に終わったけど、アイツはまだ諦めてはないかもしれない。


「ちょっと……神なんて今はどうでもいいのよ」
「うん? 助手なんだか顔が赤いぞ。この暑さにヤラれたか?」


 このくそ熱い中長袖を捲りもしない奴に言われたくはないよな。わざわざなんで白衣を羽織ってるんだか……まあそんな事を言ったって返ってくる言葉はわかってるんだけど……きっとこうだろ。


『マッドサイエンティストだからな』


 とか、そんな感じに違いない。だから指摘するだけ無駄だ。


「そうじゃない……そうじゃないわよ。アンタ今なんて言ったか覚えてないの?」
「なんと……なるほど。俺が神を信仰してるのが気に入らないということだな。確かに俺はマッドサイエンティストだからな。神に縋るなどと思ってしまったわけか。だが安心しろ助手よ。
 俺は実は女神シスカよりも、邪神テトラをフューチャーしてる」


 グッと親指を立てた所長。なるほど〜所長は女神じゃなく邪神派だったか。そのフューチャーしてる邪神そこで寝てるけどな。でも彼女はそんな事を聞いてるんじゃないよな。まさかマジでわかってないのか?
 普通に仲間とか、それこそやっぱり所長と助手の関係としての延長線上って事で言っただけのかも知れないな。でもフランさんはそうは受け取ってない(見る限り)。


「アンタ今、その『一生楽な暮らし』って……それってそのつまりは……ずっと一緒にって……」


 モジモジしてるな。これはマジで照れてる感じだ。出会った時のギャップよりも、こっちの方が強烈だな。あれは「へ〜」って感じだったけど今は「うおおおお!」って感じだもん。分かるかな? 
 ようは今は完全に乙女を見せてるって事だよ。てかやっぱりフランさんがこの所長に付き合ってるのってそういう事なんだな。まあなんとなくそうなんじゃないか? とは思ってたけどね。
 そう思ってると所長が口を開いた。


「お前……まさかそんな事を心配してたのか?」
「そんな事って何よ! 別にそういう訳じゃないけど、、そういう事も大事って言うか……」
「ふっ、ふはははははははは! 安心しろ助手。お前を手放す気はない!」
「ふぇ!?」


 ボンっと吹き出す白い蒸気。いや、ほんとこのマッドサイエンティストは何を思ってんな事を言ってんだ? 恥ずかし気もなく堂々と……なんか端から見てるとズレてるんだよね。


「貴様の能力は貴重だからな。大丈夫だ。あの船の仕組みを解明できれば、魔鏡強経第零の扉の手がかりになるかもしれん。そこまで行けば、誰もこの俺を無視することなどぉぉぉぉ出来ん!!
 このマッドサイエンティストが世界を取る日も近いぞ助手! 貴様には俺の隣でその軌跡を見せてやる!!」
「………はい」


 それでいいのかフランさん––と思ったけど、なんだか満足そうだから良いんだろう。絶対に所長は恋愛感情とかで言ってないんだろうけどね。でもそれはある意味、気付いてないだけって気もする。
 二人のいい雰囲気も収まったし、僕はグリンフィードの方を眺めながら口を開く。


「それで、場所は移動した訳だけどさ。どうするんだ? エンジン部分だけ直せればどうにかなるのか?」


 確か自己修復機能があるとか言ってたよな。それさえ機能させれば三日くらいでも夢ではない……のかも。一年はこいつらがバトルシップを完コピするための時間だから純粋な修理はもっと短くていいんだ。


「魔鏡強経だからな。だがだからこそ、内部はブラックボックスだ。エンジンの正常動作だけを取り戻せればいいだけだが、正直それが一番難しいんだ」
「まあ私達なら出来るけどね。正直余裕で」


 どっちだよ。難しいけど自分達なら余裕と言うことか。どこから湧いてくるんだその自信。でもそれだけが取り柄の連中だと思ってるけどね。


「これからどうするんだ? 僕達も協力できる事はしたいんだけどな。そもそも僕達はもっと錬金術の事を知りたいんだ」
「錬金術の事を? 言っておくがその道は行くは険しく帰りは無し。踏み込めばそこは茨と雪華が咲き乱れる地獄と天国を表す混沌だ。その覚悟があるか?」
「えっとそれは……」


 流石にそこまのでの覚悟は無いんだけどな。てかその言葉なんだ? 錬金術の格言かなんかか? 


「錬金とは踏み込めば戻れなくなる魔力があるのよ。なんせ誰にでもその力を享受するために編み出されたのが錬金術だから。ヤル気さえあればその扉は無限大。だけどどんな風にその力を享受するかはその人次第。
 それによっては天国にも、そして地獄にもなりえるわ」
「なるほどな。でも別に錬金術を会得したい訳じゃないんだ。僕達は法の書や、バンドロームの箱、それに愚者の祭典の情報を知りたい。それだけだ」


 まあ錬金術の力は正直魅力的だけどね。でも錬金術のイメージって自身のレベルアップって感じじゃなく、補助ツールによる乗算って感じなんだよね。この鍵のアイテムもそうだけど、所長達のも見てた分だと錬金はアイテム使うのが普通っぽい。
 だからそのアイテムで超常の力を行使するって感じ。まあだからこそ、誰にでもって事なんだろうけど、僕が今欲しいのは自身の力の上昇。でも考えてみれば錬金のアイテムを取っ替え引っ替えの方が可能性は高いのかもしれない。
 そもそもLROでの成長って時間が必要なものなんだし、今から急激なレベルアップなんていくら望もうとどうしようもない事かも。それこそ乱舞がイクシードに変わったように、技自体が昇華されないと……でもきっとイクシードはまだまだ限界じゃない––と思う。
 でもこれ以上どうしていいのかも正直わからなんだよね。風の操作は少しずつだけど慣れてきたかも知れない。でも……風を主体としたイクシード3の限界は既に見えてしまってる。
 テトラにも及ばなかったしな。まあでもそれは自分の未熟さ故なのかも知れないけど……だけどずっと思ってた。イクシードの、いやセラ•シルフィングのもう一つの属性。それは雷。完全雷化まで一度は行ったんだ。
 あれはセラ•シルフィングのもう一つの可能性だろう。それを僕が開ければ、もっともっと強くなれる筈だ。でも……それこそどうすれば良いのか……


「その三つはこの街でも伝説級のアイテムよ。やけにこだわるわね?」
「それはそうだ。そもそもどんな物だったか位は知りたい。このブリームスを消しかけたアイテムだからな。持ってるだけで不安だろ?」
「「またまた〜〜」」


 なんだその反応。ムカツクなこの二人。いい年したおっさんと女性がなに同じポーズしてニヤニヤしてんだよ。いや、確かに証明できなかったけどさ。


「はいはい持ってるんだっけ? そうね〜もしも本当にその手に三種の神器をあるのなら、ヤバイなんて物じゃないわね」
「おい、それってどういう事だ?」


 何その不安しか煽らない言葉。安心って物を一度置けよ。直球ストライクの不安を投げつけてくるんじゃない。だけどそんな気遣いをする奴じゃないんだよね。


「三種の神器は魔鏡強経の最終項零を組み込んだアイテムだと言われてるわ。それはつまり、神と同等か、それ以上の力を有してるアイテムだと言うことよ。この街の学者の全てが魔鏡強経最終項零を目指してる。
 けどね、その方法はもう失われてるのよ。その三つのアイテムを作ったと言われてる錬金の祖はそれを伝える事なく死んでしまった。そしてここからが恐ろしい所だけど、三種の神器を手にしたものには不幸が訪れると言われてるわ」
「不幸?」


 フランさんは部屋の方の明かりを背にニヤリと舌なめずりをした。なんか聞きたく無くなってきたな。


「そう不幸。三種の神器を手にした物は必ず不幸に見舞われる。非業の死を遂げたり、突如失踪したり、錯乱状態で谷底に飛び込んだり、告白すれば振られ続け、トイレに行けば紙がないみたいな」
「最後の二つどう考えても取ってつけたよな?」


 スケールが一気に小さく成ったぞ。特にトイレにいけばってなんだよ。不幸のレベルが最初の方と比較にならないくらいに下がってるだろ。


「取ってつけたですって? 子孫を残せないことがどれだけ不幸かわからないの? それにトイレに紙がないなんて実際遭遇したら、笑える自体じゃないわよ!!」
「そうかも知れないけど、そんな事を熱弁されても……」
「……今直ぐ僕に不幸が訪れますように」
「何拝んでんだ!!」


 マジでやめろよ。トイレは笑い話になるけど、他のは正直ならないぞ。告白はあれだよ。自分から自慢することじゃない。しかも僕の場合有り得そうだし。笑い話では無くなる。


「大丈夫トイレの奴を頼んでおいたから」
「頼みを聞いてくれるのか?」
「お賽銭もしてあげるわよ––って持ち合わせがないな。あっ!」


 そう言って彼女は自分が落とした料理を拾い上げて「はい、お賽銭」と言っていい笑顔で僕の手に渡してきたよ。正直マジでその顔面に投げ返してやろうかと思った。でも一応女性だからな、隣の奴に僕は投げつけた。


「なんでだよ!?」
「ふんっ」


 僕は文句を言ってるマッドサイエンティストを無視する。助手のしつけが成ってないのが悪いんだ。ちょっとでもいいからこっちにもデレの部分を見せて欲しい物だよ。ツンツンばっかしやがって、そんなのはセラだけで十分なんだ。


「でもそんな噂とかよりももっとその三種の神器のしっかりとしたデータとか無いのかよ?  
それぞれのアイテムの特徴や、使用方法とかさ?」
「そんなのは流石に公表はされてないからな。曖昧には法の書は世界のシステム干渉でバンドロームの箱は空間想像、愚者の祭典は事象操作だった筈だが……どこまで本当かは誰も知らん」


 そう言いつつ所長は顔面を拭いてる。イベント時に得た情報よりは詳細だな。でもこれだけじゃ足りない。


「じゃあ中央図書館にでも行ってみればいいわ。あそこの禁書区間Zにはきっと三種の神器の資料もあるでしょう。まあたどり着けるかはわからないけどね。あそこ警備はされてないけど、それだけトラップがえげつないって事なのよね。
 正規の手順以外で侵入しようとして戻って来たものは居ないって噂。私達も何度か挑戦しようとしたんだけど……」
「だけど?」
「……そこのマッドサイエンティストが下手れるから」
「そ、それは違うぞ助手! 俺は別にビビったわけではない。そんな過去の先人達に頼らずとも俺ならやれると判断したまでのことだ!」
「はいはい」


 おっさんは馬鹿にされて遺憾の意を表明してるぞ。まあなんの意味もない行為だけどね。でも中央図書館か……そこにならこのアイテムの手掛かりが……


「ふん、侵入するのなら俺がいい案を授けてやらんこともないぞ」
「着いてくるのか? 怖いんだろ?」
「怖くないわ! それに貴様はここには疎いだろうが。しかも正面からは確実に死ぬぞ。俺はただビビって逃げたわけじゃない」
(今、ビビったって認めたよな?)
「俺はより確実に禁書区間に潜入できる方法を探っていたのだよ。そして見つけたんだ。その方法をな!」
(まあ、余計な事は言わないでおこう。ノリノリだしな)
「それで? その方法ってなんだ?」
「それは簡単な事よ。ようは正規の手順で入ればいいだけの事。それが許されてるのは第一研究所の奴等だ。そいつらを上手く出汁に使えば––うはははははっは!!」


 大笑いを始めたマッドサイエンティストな所長。う〜ん、それ誰しもが考えつきそうな事ではないか? そう思ってるとフランさんも言うよ。


「それって普通の発想でしょ? そもそも殆ど研究所に引きこもってる奴等をどうやって出汁に使うのよ?」
「それは……潜入……そう潜入だ! やりようがない訳ではない!」
「バレたら間違いなく牢獄行きね。もしかしたら記憶とか消されるかも」
「うっ……いや、まあなんだ……お願いしてみよっか?」


 おい、ヘタれたぞ。速攻でへたれやがったぞ! 根性って物がないのかこいつには。いや、まあわざわざこの二人にやって貰うことでも無いのかもしれないな。これは僕達の個人的な目的なんだし……自分達がやればいいだけの事。


「そうでもないわね。魔鏡強経を直すためには情報はいくらでもあったほうがいいわ。そして有力な物は全て第一研究所が握ってる」
「つまりは第一研究所の資料もグリンフィードを直すためには必要って事か」
「そういう事よ」


 って事は当分の目標は第一研究所の攻略か。目的は見えてきたな。でも聞く限りかなり難しそうだよな……一体どうすれば。この街の事をよくわかってない僕達には策の立てようも。するとフランさんが悪い笑みを浮かべてこういった。


「やり方はあるわ。知ってる? 敵の敵は味方って言うのよ?」


 森の木々がザワザワと揺れてる。まるで木々たちも聞き耳を立ててるようだった。



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