命改変プログラム

ファーストなサイコロ

変態の執念の果て



 ズシャ――――と言う生々しい音が響き、腕に肉と骨を裂く感触が伝わる。仙人モブリはセラ・シルフィングの下でピクピクしてます。


「たく……全く何なんだこのモブリは?」
「はぁはぁ……今までのどんな敵より厄介ね」
「セラちゃん……」


 ギュッとセラの腕を掴むシルクちゃんは余りの恐怖に震えてるよ。なんて可哀想。だけど涙目でプルプルしてる様はやっぱり可愛いな。


「大丈夫ですよシルク様。今度来たら容赦なく聖典で迎え打ちます」


 そう言うと、さっき仙人モブリをぶっ殺した時の聖典がセラの周りにフラフラと飛んでくる。なんかまだ意識をちゃんと集中出来てないみたいだな。
 追いかけられてる時なんか、無造作に聖典床に転がってたし、シルクちゃんの手前強がってるけど、セラはセラであの変態を怖がってる。
 そんな事を思ってると、クリエがいち早く気づいてこう言った。


「あっ! また来たよ!」


 僕達の視線は一斉に変態へ。またピンピンしながら女子へと向かってる。なんて懲りない奴だ。だけどこの位置なら丁度立ちはだかる事が出来る。
 既に女子二人は変態の姿を見るだけで震えてるから、ここは男が出るべきだよな。てか、よくこの短時間でここまでの恐怖を与えた物だ。
 二人ともこの変態なんかよりもよっぽど見た目も大きさも桁違いの奴らを相手にしてきただろうに……それでもやっぱり変態は怖いんだね。


「止まれ変態!!」
「儂の生き甲斐は誰にも止められはしないのじゃ~!!」


 更に加速して突っ込んでくる変態。あのヨボヨボの体のどこにあんな力が? エロパワーとはなんとも恐ろしい物だ。またぶっ殺そうか? とか考えてたら、いきなり横からノウイが変態モブリに飛びつく。


「やめるっす!! これ以上セラ様に嫌らしい事をするのは自分が許さないっす!!」


 そんな言葉と共に、横にゴロゴロと転がって行き壁に二人してぶつかる。すると、その時の衝撃で拘束が弱まった隙に変態はノウイの腕から逃れて、再び女子を目指して走り出した。


「ウッヒョッヒョーー!! 儂のこの溢れ出すリビドーは誰にも止められはしなーーーーーい!!」


 前方に突き出した手をワシャワシャといやらしく動かす変態。既に胸を揉む態勢は整ってるとでも言いたいのか?
 なんて図々しい……僕だって出来ればシルクちゃんの胸を……っていやいやいやいや、何を考えてるんだ僕は。頭を振って邪念を追い払い、僕は対策を考える。
 実際さっきノウイがやったように取り押さえるのが一番だよな。どうせ殺しても復活するんだし、それにそもそもコイツに僕達用がある筈だしさ。殺す事には何の意味も無い。
 そうなるとここは武器を閉まって取り押さえるのが最前か。そう思ってると、今度は僕と変態の間に、鎖! そしてその鎖は変態を囲む様にこの通路に展開された。


「殺しても無駄なら、大人しくさせるだけだ」


 そんな台詞と共に、周りに展開した鎖が一斉に変態へと巻き付いていく。そしてあっと言う間に、変態は拘束された。これは凄い。どうあがいたって逃れられないだろう。


「鍛冶屋、お前凄いな。こんなスキルも持ってたんだな」


 僕がそう言うと鍛冶屋は首をフリフリする。


「これはスキルじゃない。このアイテムの機能だ。対象を一時的に拘束出来る。まあ実際はトラップアイテムなんだが、役に立ったな」


 そう言って鍛冶屋は筒みたいな物を見せびらかす。空洞になってるし、この中にあの鎖が入ってたって事か。アイテムとして持ち運び易そうにされてるな。


「ほっ……これで安心出来ます」
「甘くない? 八つ裂きにしても足りないくらいよ。毒を飲ませて死ぬまで苦しみが続く様にしましょう」


 おいおい、えげつなさ過ぎだろそれ。


「殺しても意味はないんだよセラ君」


 テッケンさんも苦笑いを漏らしながらそんな風に言ってくれる。


「だから死ぬか死なないかの所を泳がせるんです。女の敵にはふさわしい処罰でしょ」


 当たり前みたいに言ってるけど、ふさわしくはないだろ。どう考えても重いよ。死ぬか死なないかを泳がせるとか、世に言う死よりも辛い苦しみを与えようって事じゃん。
 罪人の方から「もう殺してくださせぇ!」とか懇願しちゃうクラスの刑だぞ。


「ふん、そもそも罪は罪なんだから重い罰を与えればいいのよ。辺に甘やかして罪に見合った罰を……とかやってるから犯罪者がのさばるのよ。
 何したって死刑にすれば万事解決。犯罪をしようなんて奴はいなくなるでしょ」
「毎日生きるのが怖くて仕方ねぇよそれじゃあ」


 せめて三段階位は設けておいてほしい。万引きとかの軽犯罪なら禁固刑で、命を脅かスピード違反とかイジメとかは終身刑で、残りの重犯罪は全て死刑でいいよ。それならまあ納得してやる。
 僕は法を犯す気はないから、実際この位厳しくていいよ。


「うぬぬぬ……貴様等儂の生き甲斐を……このリビドーを解放させんと言うのか!? なんと殺生な奴らじゃ!!」


 おいおい、目に掛かってる白い眉毛が濡れてるぞ。まさか泣いてるのかこの爺さん。どれだけセラ達を襲いたかったんだよ。


「年寄りには優しくせんかい!! 世間の常識じゃろが!」


 するとその時、地面に転がってる変態の目の前に黄色い光が炸裂したよ。地面に窪みが出来て煙が上がってる。変態の鼻先数センチ……良いテクニック持ってるなセラの奴。


「うるさい、変態が常識を語るんじゃないわよ」


 もの凄く冷たい目でセラの奴見下してる。だけどその冷たさの中に果てしなく深い怒りが見て取れるよ。声のトーンも低くしちゃって……怖い。怖すぎるよセラ。
 脅すことに手慣れすぎだろコイツ。なんだか僕の腹までキュ~と成ったよ。


「……ず……ずみませんじゃ」


 蒼白になった変態がようやく謝罪の言葉を口にした。だけどセラの視線が柔らかくなることはない。本当に死なないギリギリの程度まで痛めつける手段でも考えてそうだな。


「セラちゃん……もう良いんじゃないかな?」


 シルクちゃんがそんな提案をする。だけどセラはその言葉を受け入れない。


「良いんですか? シルク様はそれで……この変態反省してないですよ。ただで胸を揉まれたこと、この程度で許せますか?」


 そう言われて、シルクちゃんは胸を隠すように腕で覆って俯く。顔も若干赤く見えるな。思い出してしまったんだろう。あの時のことを。シルクちゃんはソッと後ろに身を引いた。


「まっちょくれ娘っこ! この哀れな爺を見捨てないでくれ!」


 変態モブリの哀れな声がこの場所に響く。だけど残念、変態の味方なんていないのだ。


「面白かったけど、あんな事したらダメだよ!!」


 ついにはクリエにまで説教を食らう変態。


「むっふふ……お嬢ちゃんも後十年……いや八年位したら」
「――ひっ!?」


 何か悪寒を感じたらしいクリエは、僕の所に駆けて戻ってきた。これはもうダメだな。救いようのない変態だ。まさかクリエにまで変態の目を向けるとは……情状酌量の余地はない。


「さて、満場一致で判決は下ったわね。半殺しにしてあげる!」


 そんなセラの言葉の後に、この神聖な場所であろう本殿で断末魔の悲鳴が響きわたる。今日という日はきっとこの本殿にとっても色々と特別な日に成ったに違いない。




 一通り半殺しにしおわった後、この通路には虫の息の老人が倒れてた。それはまさに陸に水揚げされた魚みたいな状態。


「ふん、今日はこの位にしといてあげるわ」


 そう言ってハンカチで手を拭き拭きするセラ。なんか一仕事終えた感じになってるな。セラは自分の手を拭いたハンカチをポイッと捨てる。
 汚い物を拭いたからもういらない、そんな感じだ。するとそのハンカチは地面で虫の息のモブリの頭へと落ちた。


「そんなに女に飢えてるのなら、それでも食っときなさい。アンタにはそれで十分よ」


 うお、流石セラ。他人を踏みつける術を熟知してらっしゃる。本物の女さえ、変態には勿体無いとは。てかそのハンカチって変態の汚れを変態に返しただけだよな。
 だけどどうやら僕達は変態をまだまだ甘く見ていたようだ。


「女の子の使用済みハンカチ……ハンカチ……ハンカチ……食べるじゃ!」


 譫言の様にそう言うと、顔を器用に動かしてハンカチの先を口元まで持っていき、その端から加えてムシャムシャと口へと入れていく。


「「「……………………」」」


 僕達全員ドン引きしてた。余りの出来事に思考回路停止中。自分のハンカチをマジで食べられたセラは回路がショートしたのか、一回ボンっと頭が弾けて、目をクルクルさせて倒れ出す。
 近くに居た僕が支えたけど、これはダメだ。完全に壊れてる。「食べた……たべた……」とブツブツ言ってる。なんか久々にLROの過剰な感情表現を見た気がする。
 顔が真っ赤に成るとか、湯気が出るとかは既に見慣れた訳だけど、頭が弾けるのは初めてだったからな。新鮮だったけど……そんな気持ちじゃ実際いられないよ。
 やっべぇよ……あの変態……マジモンのキチガイだ。


「んぐっ!? ぐー! んぐー! うううう~~~う……」


 僕たちがドン引きしてる間にもムシャムシャと女の子の使用済みハンカチを食べてた変態は、いきなり変な声をだして苦しみ出す。
 もしかしてこの変態……いや、まさかとは思うけど……飲み込もうとした? はは……そんなバカな事あるわけ無いか。
 僕たちは何も言わずとも、互いにそんな思いを共有してた。互いの顔を見合わせたりしてさ。だけどどうやら、変態の執念は僕達のそんな不安を軽々と突破するらしい事がわかったよ。
 だって変態はしばらくピクピクした後、遂には動かなくなった。変態の死体の口からは、ハンカチが少しだけ見えてたよ。
 流石変態……なんて間抜けな死に方。てか、何回死ぬんだよコイツ。そろそろもう付き合うのが億劫に成ってきたぞ。どうにかして本題に入りたい。
 だけどセラはこの通り「うーうー」唸って気を失ってるし、シルクちゃんも変態の復活に備えてガクブルだし……案外こっちのダメージは大きいぞ。
 戦闘能力事態は皆無っぽい変態に、ここまで追いつめられるとは……やっぱLRO。一筋縄ではいかないな。


「一回出ようか? 態勢を整え直した方が良いような気がしないかい?」
「……そうですね。それも一つの手だとは思います」


 テッケンさんのそんな言葉に僕はそう返す。確かになんかもう訳が分からなく成ってきてるし、一回態勢を整え直すのは大賛成。
 けど問題は、今の状況じゃここから出るのも一苦労だと言うことだ。シルクちゃんは怯えてるし、セラは気絶してる。リルフィンはさっきから変わってないし、クリエは落ち付きなく動いてる。なかなかにカオスな状況です。
 それに気付いたけど、何故かノウイまで落ち込んでるしな。一体こいつはどうしたんだ?


「ハンカチ……セラ様が手を拭いたハンカチ……自分だって……自分だって……」


 なんかそんな風な事を通路の端っこでボソボソ言ってる。よくわからないけど、ノウイがこんな状態じゃミラージュコロイドが利用出来ない。
 実際そんな距離がある訳じゃないけど、ミラージュコロイドなら鏡に次々にぶち込んで行けば、勝手にここから離脱出来るから便利だったのにな。


「あっ、おじいちゃんが消えたよ」


 現状を把握してると、クリエのそんな声が聞こえた。消えたって事はもう直ぐまた復活してくるのか。そう思ってるとあることに気付いたよ。
 この通路の先の封印された扉。その扉に無数に貼られてるお札が僅かに光ってる。いや、厳密に言うと、そのお札の文字部分が所々選ばれて光ってる様な……何か意味があるのかなアレは?
 そう思ってると、れいによって変態の声がこの薄暗い通路に響く。


「むひゃひゃひゃひゃー!! 今度はその黒タイツを希望するんじゃあああああ!!」


 どうやら変態はこの通路内のランダムな場所から復活出来る様だ。そしてまたしても変態的な事を言って迫ってくる。
 今度は後方、出口側からだよ。よりにも寄って出口の方からって……逃がす気がないな。てかこの変態、さっきハンカチ食って死んだくせに、今度は黒タイツを所望するなんて本物だな!
 わかってたけど、もう呆れすぎて何もいえない。それよりもコイツをもう一度捕らえるのがどう考えても厄介だな。僕はチラリと鍛冶屋をみるよ。


「残念だが、もう今のアイテムはないんだ。シルクがまともなら拘束魔法を期待できるんだが……」


 鍛冶屋の言葉が濁る。シルクちゃんは再び自由の変態が現れた事で怯えてるから期待できないもんな。こうなったらシルクちゃんの安心の為にも僕達で取り押さえるしか……と思ったら、僕もセラを支えてるから動けないんだった。


「スオウ君はセラ君を頼むよ。変態は僕達が止めよう!」
「たく、しょうがないが偶にはセラに協力してやろう」


 んん? どうしてセラに協力なのかわからないけど、テッケンさんと鍛冶屋は二人して変態に対峙する。


「今度はさっきみたいにはいかんぞおおおお!!」


 そう言って仙人変態モブリは眉毛に隠れてる瞳に熱を宿してる。奴の変態としての執念は本物――老いぼれた筈のその瞳にもこの時ばかりは光が宿る!!


「むっひゃあああああああああ!!」


 変な雄叫びをあげて迫りくる変態に対して、二人は生け捕る為に素手で向かってく。だけどそこは熟練な二人。武器がなくてもスキルを使って変態を取り押さえにかかる。
 テッケンさんは三人に分裂して変態に迫り、鍛冶屋は身体能力を高めてるのか、いつもよりも機敏に動き出す。
 これなら並外れた変態だけど体は老人のソレである奴を取り押さえられるだろう。だけど――


「ふっひゃひゃ! 儂を舐めるでないわあああああ!!」


 そんな言葉と共に、変態はまるでさっきのテトラみたいに煙の様に消えた。そして三人のテッケンさんの背後に現れるじゃないか!


「なに!?」


 どうやら奴はただの変態では無いらしい。だけどまだ、終わってない。テッケンさんの背後には鍛冶屋が控えてるんだ!


「貰った!!」
「ふふん、男に抱かれる趣味はないわ!!」


 そう言って、仙人変態は老人らしからぬ動きを見せる。伸ばされた鍛冶屋の腕を逆に利用して、トンタンっと体を上手く使って鍛冶屋の腕を走り抜ける。


「ぬあ!?」


 変態の執念おそるべし。立ちはだかる二人をかわしてこちらに迫ってくる。目当てはセラが履いてる黒タイツか。流石にそれは犯罪だぞ。
 だけど変態にそんな分別は存在しない。実際セラはどうでもいいや……とか言ってたけど、流石に変態に良いようにさせる訳にはいかないよ。


「くっ……」


 武器を抜かないでどこまでやれるかわかんないけどやるしかない。集中してしっかり見れば、今の僕なら反応できる筈。目は人一倍良いと自負してるんだ。
 だからしっかり見てかわされない様にする。取り合えずもたれ掛かってるセラは床に寝かせて、その前に立ちはだかるんだ。


「無駄じゃ無駄じゃあああ!! 儂のこのリビドーは誰にも止められはっつちゃぁう――がががががが!?」
「ええ!?」


 リビドーが溢れ過ぎたのか、突如足がもつれた様になって床を顔面で滑る変態。こんな神聖な場所で変態行為を行い続けた事への天からの報いかもしれないな。
 滑りきった変態は、丁度封印の扉の前で止まった。また死んだか? とか思ってると、辛うじてピクピクしてるのがわかる。すると唖然としてる僕達の中で、一つの人影が通路の中央を進んで変態へと近づいていく。
 それはローブにその身を包んだリルフィンだ。アイツ、いつの間に復活したんだ? さっきまでずっと自分の言動に悩んでたのに、どこかで吹っ切れたのかな?


「おい、大丈夫なのか?」


 僕は変態に近づくリルフィンに声をかける。だけど奴は無視してなんの反応も返さない。心配してやってるのになんて失礼な奴だ。


「いつつ……こりゃリルフィン! きさま儂の楽しみを奪う気か!!」


 復活した変態がリルフィンに向かって抗議の声を出してる。するとリルフィンは容赦なく仙人変態モブリを踏みつけるよ。


「むみょ! むみょ! 貴様やめれええええ!」


 ゲジゲジと踏みつけられる変態は足の下でジタバタしながらそういってる。


「なら、鍵を渡せ。五つの祠の鍵。今度は言い負かせられたりはしないぞ。この変態が」


 言い負かせられてたのかリルフィンの奴。こんな変態に負けたとか屈辱だな。全くなにやってるんだか……だよ。


「ふん、貴様の命令など聞きたくもない! 儂にお願い事を出来るのはめんこい女だけじゃ! ローレに出向いて来いと言え!」
「貴様の様な危ない変態に主を近づけさせるわけないだろ。墓守だからと言って調子に乗るなよ。貴様などこの通路でしか存在を保てない輩だろ」


 墓守? リルフィンのそんな言葉が引っかかった。墓守って、あの扉の向こうは墓地なのか? なんか想像と違ったな。てか、やっぱりこの変態をそんな役目に就かせてるのはどう考えても過ちだろ。
 誰もが気付いてそうな過ちを心で指摘してると、踏まれ続けてる変態が「クククク」とムカつく声を漏らす。踏まれたままの癖に……


「儂は別に墓守をやるためにこうやって存在してる訳ではない。儂は永遠にめんこい娘っ子を愛でたいからこうやっって存在してるのじゃ!!」
「はぁ……」


 思わずため息を漏らすリルフィン。残念だけど、今初めてリルフィンに共感するよ。残念過ぎる存在だなこいつ。なんでこんな奴が墓守になって、永遠に存在できる様になってるの? 何かの間違いだろ絶対。


「なんじゃそのため息は! 儂は偉いんじゃぞ! 凄いんじゃぞ! 自分だけのハーレムを作りたくて頑張ったんじゃ!」
「これ以上、リア・レーゼの恥を晒すな変態。いつまでもここに存在してないで、もう成仏してくれ」
 そういいながら足でグリグリと踏みつけるリルフィン。ハーレムを作りたくて……こいつを見るとその執念は本物だとわかるけど……実際どのくらい偉いんだこの変態? どこまで上り詰めたのか気になるよな。


「ふっふ、何を隠そう聖院から分離して星羅を築いたのはこの儂じゃ!!」
「「「「えっ……えええええぇぇぇぇぇええぇえ!!!???」」」」


 僕だけじゃなくみんな一斉にそんな声を上げたよ。だって……え? それってなんか半端無くない? だけど僕達の驚きはまだ終わりはしなかった。リルフィンがしょうがないという風にこんな言葉を付け足した。


「それだけじゃない、この変態がその時の教皇だ。こいつは自分でテトラ教を二分したんだ。しかもトップがその座を捨てて」
「「「「えええええええぇぇぇぇぇ!!!!」」」」


 衝撃の事実過ぎるんだけど!! どんだけ女の子好きなんだよこの変態。普通そこまでいけるか? てか、そんな邪な気持ちの奴の下に居た人達が可哀想だよ。


「だって~、聖院の体制じゃハーレムは無理っぽかったし、偉くなり過ぎるとしがらみが強くてイヤになったんじゃもん」


 おい、何可愛らしく頬を膨らませてとんでもない事言ってんだこの変態。やっぱり全てのシスカ教の人々に土下座して謝れや。一体どんな間違いが起きたらこんな変態が教皇になれるんだよ。


「だが、星羅がここまで潰されずに存在できたのはこの変態の人徳があったから……とも不本意ながらいえる。まあしかし、今の星羅には主が居るから貴様は既に存在価値すらないがな。
 主は貴様以来の召還士だ」


 ちょっと自慢気だな。なんか色々と衝撃的過ぎて、会話についてけないよ。

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