命改変プログラム
手を引かれてもう一度
「こんな所じゃ終わらせないよ☆」
スマホのスピーカーから伝わったそんな声。一際大きく鼓動が鳴り、言いしれぬ何かが胸を叩く。僕は唾を一飲みして電話の向こうの相手に問いかける。
「お前……シクラだろ? 何の冗談言ってんだ? てか、突然消えやがって、なに言い出すんだよ」
「ふふふ、何ってそのままの言葉だよ。こんな所で終わらせない。終わっちゃ詰まらないじゃない☆」
「つまらないってお前……そういう問題じゃ……」
僕は電話越しに凄くハラハラしてる。嫌な事が起きた。そう思ってるからだ。
「そう言う問題よ。こんな所で常識的に閉幕しようだなんて、そんなの私の知ってるスオウらしくないもん。私はねスオウ……味方じゃないの。
もっともっと足掻き苦しむ様がみたいな。暇つぶしに☆」
語尾に絶対キラ!! って入っただろ今。味方じゃない……そんなの分かりきってる事だ。何度だって自分に言い聞かせてきた。
僕の足掻き苦しむ姿ね……本当に良い性格してるよコイツ。本性発揮してきたな。けど、もう遅い。
「残念だったなシクラ。お前の望む様には行かない。僕達はもうリタイアを宣言したんだよ。アキバから離れる訳じゃないけど、一歩引いて、僕達はショッピングでもするさ」
「そう、ショッピング……出来るといいね、そんな事が」
なんだその含みを持たせた言い方。無理矢理止める力はシクラにだって無い。僕はリアル、シクラはスマホの中で辛うじてその存在を表してるだけだからな。
僕達は誰に引き留められる事無く、このイベントから降りれる筈だ。元から参加もリタイヤも自由だろ。開始時間と終了時間が決まってるだけで、行動を起こすかはプレイヤー次第だったんだからな。
「ふふ、そうだね。強制権なんてない。今回は誰の命も人質に取れないし、何より私が無力だし。でもねスオウ……無力な私は、普段よりも一杯頭を使って、楽しい事を考えるだけだよ☆
スオウがいつも通りに出来ないからって、逃げ出す理由を考えてる間に、私は私の楽しみ方ってのを模索してたの」
相変わらずキラキラさせながらキツいことを言う奴だな。逃げ出す理由? それは違う。しょうがない事で、メカブを守る為の選択だ。
LROでは何だって出来るかも知れない。凄い武器があって、魔法があって……それこそ出来ない事なんか無いと思える。
だけどリアルは違うんだ。僕はただの高校生で、出来る事なんか殆どない。セラ・シルフィングもないし、魔法なんてもってのほかだろ。
限界なんだよ。チンピラとヤクザが徒党を組んで暴力を始めたら、一人でどうにか出来る問題じゃない。今の僕にはこの体一つしか無いんだから。
「随分立派な言い訳ね。リアルの限界なんて、私には知った事じゃない。私はそっち側の住人じゃないし、ぶっちゃけるとそう言うのはよく分かんない。
まあ、ここの不便さはヤキモキするけど、それでも私は変わらずに楽しみ続けるわ☆ 勇気と無謀は違うけど、その境界なんて知恵で越えようよ」
「無茶言うな……」
どれだけ勝手な事言ってるんだコイツ。そう思うけど、シクラは僕の言葉なんてマトモに聞いちゃいない。
「そんな事言わない。私はまだ満足出来てないんだもん。ここでこのまま終わったらどう考えても盛り上がりに掛けるじゃない☆
ここまで来てるの片手で数える位しかいないのよ。それにあのヤクザと対立ルートはスオウだけ。これ以上無い演出でしょ?
苦難の先にこそ手にするべき価値のある物があるんだよ!!」
一人で電話の向こうで盛り上がってるシクラ。なんだその少年マンガ的な焚き付け文句は。そんなのに騙されるか。
ようは僕にもっと四苦八苦して私を楽しませなさいよと言ってる様な物だろ。てか最初からそう言ってるし……そんな奴の言葉で何言われたって気が変わるか。
てかこれも、言葉だけじゃどうしようもない問題なんだよ。
「ふん、兵隊だって用意してあげたのに……まあ、私の策略から逃げれる物なら逃げてみなさい。でも必ずスオウは私に感謝する事になるわよ。
絶対ね☆ なんたってシクラちゃんは新たなるスキル『人身掌握と誘導』を会得したからね」
そう言って通話は切れた。プープープーと無機質な音が鼓膜をならす。何が絶対だ……そんな絶対あり得ない。僕はスマホを耳から離して画面を見つめた。
そこには非通知の通話終了の文字が浮かんでる。そう言えばこの電話はどういう仕組みで? ブリームスから電話回線に横やり入れたのか?
それともスカイプとか? まああいつならなんだって出来そうだけど、でも人の心はそう簡単に掌握出来る物じゃないと知れ。
最後の物騒なスキル。そんな物そうそう手に出来る分けないだろ。あいつはどっかの教祖様にでも成る気か。
(あれ?)
なんかこんな事、ついさっきも言ったような……そんな事を思ってると、メカブが心配そうに僕の顔を下からのぞき込んでくる。
「大丈夫? 誰からなの? 顔色悪くなってるわよ」
「ああえ~と……全然大丈夫。ただのイタズラ電話だよ」
僕は笑って誤魔化す。だってシクラからの挑発電話とは言えないしな。それにさっきのは十分イタズラレベルだろ。こっち側に干渉出来ないシクラに何が出来るって言うんだ。
知恵? 簡単に言ってくれる。お前の知恵を見せてみろっての。
「ふ~んイタズラね。非通知拒否してないからそう言うのがくるのよ」
非通知拒否ね。確かしてた筈だけど……もしかして中身イジられた? 僕はスマホの設定を確かめる。するとやっぱり非通知拒否は解除されてるな。
あの野郎、侵入したついでに勝手なことをヤってくれたな。もしかして僕の個人情報漁られたんじゃないか? その可能性がヤバい位に高いんだけど。
くっそ、アイツの侵入を許すって事はそう言うリスクを考えるべきだったんだ。けど、こっち側から何か出来る訳も無かったしな……僕は大きくため息を付く。
するとそれに反応するようにメカブが「え? ダメかな?」とか言った。どうやら何か喋ってた様だけど、考えごとしてたから聞いて無かったや。
「ゴメン、なんだっけ?」
「だから買い物のスケジュール。行くお店を決めて効率よく回らないとね」
そう言ってアキバの名だたるショップを指折り数えていくメカブ。おいおい、どんだけ回る気だよ。そんなに欲しいものあったわけ?
「別に欲しいって言うか、そこに行けば何かがあるのよ。私の心を打つ何か! そしたら買うの」
随分とブルジョワジーな思考だな。僕には理解出来ないショッピング体型だ。僕は基本、目的の物だけ目指すからね。他の物に目移りなんかしない。
「出会いは一度切りかも知れないのよ。その時に買っとかないと後悔するじゃない」
「だからそれが金持ちの考えなんだよ。普通は財布の中身と様相談だよ。まあ僕は買わないけど」
信じられない……って顔で見てくるメカブ。こっちからしたら、そんなお前が信じられないっての。なんでそんなにお金があるんだよ。年、そんなに変わらないだろ?
「私好きなだけ使えるカード与えられてるし」
素っ気なくそんな事言いやがるメカブ。信じられない。今なんて言ったよコイツ? カード? カードってまさかあの現金じゃなく「カードで(キリッ)」とか言うそのカードか!?
「そんなキリッとはしないけど、まあ普通のクレジットカードよ。てかそろそろこれも進化して良いと思わない? いつまでカード型で押し通す気よ」
そんな事をブツブツ漏らすメカブ。だけど言って野郎か? そんな不満はいらねぇよ!! このセレブ野郎。痛い格好と考えだけなら許せたけど、金持ちなんて嫉妬心しか芽生えなんわ!!
「ちょ……なんでそんなにやさぐれた目をしてるのよ」
「はん、貧乏ですから~。心まで貧相なんです~」
自分で言ってて悲しく成ってくるなこれ。てかコイツ、よくよく考えたらファーストフード店の支払いもこれでやってたじゃん。今更気付いた。
「あの時は何だって思ってたのよ」
ごもっともな質問だな。あの時は電子マネーだと思ったんだよ。今はどこでも使えるだろあれ。
「電子マネーなら、スマホで済むじゃない」
またも当然至極みたいに言われた。まあ確かに、最近はカード自体を持ってる人は少ないな。でもだって……同じ年位の奴がクレジットカードなんて持ってるとは思わないだろ。
「そうかしら? 私の学校じゃ普通よ」
どんな学校だよそれ。絶対お嬢様学校か何かだろ。全然イメージわかない。メカブがそんな学校の生徒なんて……絶対浮いてるだろ。
「ふっ、学生の姿なんて私にとっては仮初め。悠久の時を見つづける為のお遊び程度だから、クラスの人間なんかに興味は無いわ。
どう思われようと良いのよ」
なんか突然思い出した設定を引っ張ってきたな。言いにくい事なんだと予想。やっぱり上手くやってないんだろう。設定をノリノリじゃなく苦し紛れに使ってるのがバレバレなんだよ。
まあメカブのこの痛い性格に付いてこれる人が、お嬢様学校にいるとは思えないよな。設定は孤独な自分を守る為の物とかかな。
「ふ~ん、まっ金で友人は買えないからな」
「なんかその言い方、凄くムカつくわね」
鋭い視線が僕に刺さる。まあだけど、ムカつくように言ったんだよ。ふっふ、良い気味だぜブルジョワジーが。
「無限の蔵って案外性格ねちっこいわよね」
「痛くないからいいんだよ」
普通だろこの位。僕は至って平均的な男子なんだ。何度も言ってるけど、これが真実。僕はそもそも大きな運命とか、宿命とか、人の命とか、背負うべき人間じゃないよ。
夢は見てたけどさ、自分がそんな物に正面から立ち塞がれちゃ、嫌でも自分の普通さが身に染みるというか。
役不足感が半端無い訳だよ。それをこのイベントでも思い知ったな。ちょっと目がよくなった位じゃ、まだ誰も助けれない。
相対して体弱ってるし……これじゃあプラマイゼロだよ。
そんなほのぼの会話をしてこの場から離れ掛けてた。でもその時、後ろから近づいて来る足音が聞こえる。
「お二方!」
そんな呼びかけ方にちょっと驚きつつ、僕とメカブ振り返る。そこにはロン毛で執事っぽい良い人の姿が。その人はきちんと延びた背筋をそのまま折り曲げる。
まさにお手本のような頭の下げ方。やっぱり執事だろこの人。てか何? そんな綺麗なお辞儀で見送ってくれなくても……
「すみませんがまだ我らを見捨てないでください!!」
ええ~~~~~だよ。なにいきなり? 見捨てるって、よく分からないんだけど。
「えっと……」
「貴方達のどちらかはあの物騒な人たちと同じ所に居る。その筈です。私たちの中には居ないんです。そして今からじゃ間に合わない。
私たちじゃあの物騒な人達を出し抜くことは出来ないんです!」
そう言われても……てかなんで僕たちがあのチンピラ共と並んでるなんて分かったの?
「見てれば分かりますよ。書き込みがある限り、それを発見した人が居るはずです。スレ主が表す情報は正確ですし、それなら誰かがそこまで進んでる筈です。
あの奇妙な物体が現れて、君が来た事で、あの物騒な人達も君を狙って動いた。君がスマホを持ったらあの奇妙な物は壊れた。
このくらいは自分でも分かります」
なるほどね。確かに見てたら分かることか。僕は公衆の面前でボコられてたしな。でもそれなら分かるだろ。
「僕はこの通りボロボロなんですよ。僕を引き留めてもアイツ等には勝てない。それにどのみちこの中の誰かにアイテムが入ることはない。
それなのに、危険を冒してまでまだやるんですか?」
僕のそんな言葉に、ミンティアをガリガリ噛んでたオッサンが胆を飛ばしながらこう言った。
「当然だ! 俺たちにはもうアイテムは無理かも知れない。だがみすみすアイツ等に渡したくはない。その思いはこの場の全員が同じだ!」
そんな言葉と共に、周りの人達も頭を縦に振る。みんなあのチンピラ共にはやりたくない。そこは総意って訳か。
「でずが、私達だけではきっとダメでしょう。私達が出来るのはこちら側での事だけです。いくらこちらであの物騒な人達を妨害しても、ブリームス側にはどうやっても干渉出来ない。
それが出来るのは、貴方達だけなんです!」
「それは……そうだろうけど……」
太陽の日差しが、少しだけ俯いた僕のうなじを焼く。彼の言ってる事は分かるよ。確かにこの人達が出来るのは、さっきの様な事しかない。
このイベントの根幹であるブリームス側で干渉出来るのは、同じ位置に立ってる奴らだけ。
それがどれくらい居るか知らないけど、基本ハゲ共とぶつかりあうルートに居るのはきっと僕だけなんだろう。
てか、お互いに潰しあって手にするって事は、もしかしてアイテムは一つだけ? それならかなりの――というか、超ド級のレアアイテムって事になる。
三つのアイテムそれぞれが一個ずつって事なのかな?
(って、何考えてるんだ僕は)
僕は首を振って浅ましい考えを振り払う。決めたんだ、もうやらないと。そもそもここでこの人達に協力を仰いで再出発なんてダメなんだ。
それじゃシクラの言うとおりになるしな。それだけは勘に障る。てか悔しい。
「言っておきますけどこの人、全然役に立ちませんよ」
「おい!」
あっさりと傷つく事を言ってくるじゃないかメカブの奴。
「何よ、やっぱりイベントに戻りたい訳?」
「それは……無いけど」
僕はブツブツとそう呟く。なんだ傷つく言葉は、みんなに諦めて貰う為の方便か。そうと分かっても何故か心は痛いけどね。
やっぱり自分で役立たずって分かってるからかな。
「役立たずなんてそんな事ありません。人には色々な役割があるものですよ。私達を上手いこと使って頂ければ良いんです。
その体の変わりに、私達を」
「えっと……それはどういう?」
なんか頭に一瞬シクラの奴の言葉がよぎる。アイツ確か「折角兵隊も用意したのに」とか何とか言ってなかったか?
まさか……もしかしてこの人達がその兵隊だとでも?
「私達があの物騒な人達の相手をこちら側で引き受けましょう。お二方はイベントの方へ専念していただければよいのです」
「けど、それじゃあみなさんの方が危ないですよね? 何の見返りも私達には出せませんよ。それなのに、あんなヤバい連中と一戦交える気ですか?
言っておきますけど、ここはLROじゃない」
それをお前が言うか――とは流石に僕は言えないな。僕なんて既に数回戦ってるし、元々始めたの僕だからな。
まあまさか、イベント内でも戦わないといけなくなるとは思って無かった訳だけど。
「LROではない。それは十分に承知してるつもりです。でも私達は自分で賽を投げたんです。僅かばかりの勇気を持って。
まだまだ夢を見てたい時間なんですよ。自分達にはもう無理でも、あの物騒な犯罪者集団には渡したくない。それなら頑張ってる姿をこの目で見れたお二人が適任ですよ。
後悔をしないとは言えないですが、なんといってもヤクザやチンピラと敵対するわけですからね。
冷静になったらなんとバカな事を……と思うかも知れなません。だけどそれはここで解散しても同じ事ですよ。ここで終わればそれは中途半端な勇気でしょう。
私達の勇気を美談にするには、悪の野望を討ち倒した――という冠が欲しいじゃないですか」
そんなその人の言葉に、周りが「その通りだ!!」とか言って乗ってくる。でも、僕的にはもう十分格好良いと思うけどね。これ以上を求めても後悔するかも知れない。今ならチンピラ共に勝てたっていう事実があるけど、ここから先に進んで、最終的に勝てるかはまた別問題。
「それは豚の饅頭さんがみんなにそんな事を言ってるんですか?」
そうなんじゃないかなって思ったことを僕は言ってみた。だって余りにも大胆過ぎる提案だろ。この中の誰かが、そんなことを言って纏まる訳がない様な気がした。
なら誰か? この人達を言葉だけで駆り立てられるのはきっとあの掲示板の主だけ。現にあの人にかき立てられて、みなさん動いた訳だしな。
「あの人はこんな事を薦めたりはしないですよ。これはあの人の言葉を受け取った私達の意志です。まあここで貴方を引き留めたのはあの人の意見ですけどね。
自分達だけでは不完全だと教えてくれました」
そんな言葉を聞いて、もしかして豚の饅頭さんって……と考えれる疑いが沸いてくる。だって完全に誘導してないか? それに疑える事って結構あるんだよな。僕たちの知り得てた情報がまるまるあげられてたし……最初はハゲ共の下っ端でも裏切ったのかと思ってたけど、こっちにも裏切りそうな奴は元からいた。
そんな風に考えてると、メカブが進み出てこう言った。
「本当に、みなさんはそれで良いんですか? なんの見返りが無くても、怪我しちゃっても、それでも私達に協力してくれるんですか?」
なんだ? おい……その言い方じゃまるでやるみたいな感じじゃないか? 僕のそんな思いを無視して、メカブの言葉にみなさんが首を縦に振る。
「協力はこちらがして貰うんですよ。私達のワガママに後少しだけつきあってください」
「……ええ、やりましょう!」
光明が差し込んだみたいに沸き立つみなさん。おいおい、なに勝手なを言ってるんだよアイツは!
「ちょっと待て! 僕はやるなんて一言も言ってない!」
すぐさまそう言って水を差す。だってこれじゃ勢いで押し切られそうなんだもん。
「てか、なんでいきなり鞍替えしてんだお前は! ショッピングはいいのかよ」
「そんなのもう良いわ。条件が変わったのよ。安心しなさい、無限の蔵が役立たずでもこれならなんとかなりそうじゃない?」
そう言ってメカブはパカパカと皆さんの方へ駆ける。そしてなんかその一員みたいな感じで振り返った。どうにかなるって……そんな……それって他人を犠牲にするみたいな事じゃないか。
「犠牲じゃないですよ。私達は今までの自分を越える希望を欲してるんです。だから、君が負い目に感じる事など、何一つありません。
それにそんな君だから、私達はアイテムを譲れる」
そう言って、真っ直ぐな瞳を向けてくるその人。もう十分立派な人だと思うんだけどな。本当に。周りの他の人達だって……みんな同じ様な目を向けてくる。
僕はただの高校生なんだけどな。そしてメカブが僕を指さしてこう言い放つ。
「まだこれからよ! そうでしょ無限の蔵!!」
こいつの変わり身の早さと来たら、これはもう脱帽しちゃうよ。毎秒事にHPがもってかれてそうな日差しの下、濃い影が落ちている。本当の本当に、限界なのは確かなんだけど、それでもこういう光景を目の当たりにすると、行けるんじゃないかと思えてくる。
僕だって本当は終わりになんかしたくなかった。だけどリスクが高過ぎたんだ。けど、みんなが助けてくれるのなら、僕はまだ先に進めるのかも知れない。
これだって卑怯なやり方なのかも知れない。だけどそんな中傷は僕が引き受けよう。それが最初にアイツ等ともめだした責任。
最後まで戦えるのなら、戦っていいのなら、僕は誰かが用意した兵隊でもなんでも、自分の責任で使ってやっていいかもな。
「そうだな。まだ僕達はやれる。どうかよろしくお願いします!」
僕はロン毛の人を見習ったお辞儀をした。誠意と感謝を込めて頭を下げる。もう一度チャンスは巡ってきた。横槍からの試合再開と行こうじゃないか!
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