命改変プログラム

ファーストなサイコロ

異世界は逃げ場じゃない



「こんの野郎!!」


 画面内でエラーエラーエラーが続く。一体どれだけ近づかないといけないんだ。ちょっと離れてても会話が出来る利便性がなくなってるぞ。
 流れていく周りの景色。誰もがダルそうに歩いてる中、僕だけが必死に走ってる物だから目立つ目立つ。
 だけどそんな恥ずかしさを押し殺して僕はジェロワさんの背中を追う。これは実際、僕以外絶対に無理じゃね? って思える事なんだけど……僕にはLROの影響かどうかわからないけど、それなりに鍛え上げられた目があるから、行き交う人々の流れとか、動きを読んでそこを縫える訳だけど、実際はそれが出来なきゃ走る事なんて出来ない位だ。
 ちょっとダッシュすると前方の人にぶつかる、そんな人の多さの中で、追えてる事も結構奇跡。


「でも、どうやら追うだけじゃダメみたいだな」


 多分ある一定の距離まで詰めないとダメ何だろう。さっきから「もっと近づいて」って出てるしな。だけど実際追うだけで精一杯。
 ジェロワさんのいるブリームスと、アキバは建物や道路の配置はほぼ同じでも、そこに居る人の多さが圧倒的に違うんだよ。超不利。いや、マジで。


「ハァハァ……くっそ!!」


 弱音を吐いてる間にちょっとはなされた。駅から電気街の方へ行き、更にそこも通り過ぎてって今の僕の体には負担が大きい。
 ヤバい、足がガクガクしてきた。


(ガタツくの早いぞ僕の足! LROじゃどんなに苦しくても気合いで動けたぞ)


 それなのに、リアルじゃ気持ちに体がついてこない。これが現実という名の弊害か。生身である肉体の限界。ある意味LROは全部精神だからどうにかなってた部分も一杯あったって事だろう。
 向こうは気持ち至上主義だったんだな。だけどここは……全てがリアルだ。体と心は直結してても、そのサイクルは体調や気分や元々のスペックに依存してるというか……つまりは不自由なのだ。
 肺が爆発しそうに膨らんで、息が上手くできない気がする。足の骨と筋肉が硬質化してきそう。そろそろみっともなく道路に転がってもおかしくない。
 するとその時だ。辛うじて掲げてるスマホから聞き慣れた声がした。


「ほんと、情けない顔してるね☆ しょうがないからシクラちゃんが手伝ってあげようじゃない。だからもちょっとがんばり~」
「シ……クラ、お前……」


 どこ行ってたんだ、と思わず言いそうになった。だけど声が出る前にシクラの奴の背中は遠ざかる。どうやらスピード上げて、ジェロワさんを捕まえてくれるらしい。
 ズルいけど……ここはしょうがないよな。いやいや、だってあんなの追いつけない。体が万全ならいけると思うけど、今日はこれが限界です。
 まあだからって止まる訳には行かないから、走ってるけどね。


(でもミスったな。シクラの奴が現れた時、ちょっと安心してしまった。アイツは敵なのに)


 タイミングが良すぎたな。ホント一瞬もうダメだって思ったから、アイツの存在が大きく膨らんだ。僕は首を振ってそんな思いを振り落とす。忘れちゃいけない。アイツは敵で、絶対的に倒さないといけない存在だ。
 そんな奴に仲間意識なんて持ったらやりづらくなるだけ。だって絶対に避けられない戦いがこの先にはきっとあるんだ。
 もしかしたらその時の為にシクラは種を撒きに来たとも考えられる。色々と裏がある奴だし。アイツの言動だけは素直に受け取っちゃ駄目だと言い聞かせないと。
 そんな事を思ってると、画面内から威勢の良い声が聞こえる。


「よ~し、捕まえた――ってプギャ!!」


 変な声と共に、画面内で壁にめり込むシクラ。何やってんだこいつ。今時そんな表現ギャグでもやらないぞ。


「おい、追いついたのに遊んでんなよ。何しに出てきたんだよお前……」
「うっさい。別に遊んでる訳じゃないわよ。あのNPCが急に目の前から消えたから」
「消えた? 何言ってんだお前? NPCならそこに……」


 あれ? っと僕は思う。画面には建物の壁があるけど、その向こう側にNPCジェロワさんの姿がある。重なりあう様にだ。これって……


「まさか例の通路? 人を食うとかいうそれ?」
「そうっぽいな」


 通りから二・三本外れた路地。画面では建物になってるこの場所には、リアルでは確かに通路がある。流石に掲示板で攻略法が出回ったせいで無人って訳じゃないけど、そこは関係無いだろう。
 だってこれは、今の所僕だけのルートだろうから。


「お前は来れないんだから、どっかで暇でも潰してろ」


 僕は壁から出てきてるシクラにそう言ってやる。ブリームス側にいるシクラじゃ、迷わない限りこの通路には入る事は出来ないだろうし。


「ふっふ私を舐めないでよね。この程度の障害なんて私にとっては余裕なんだから☆ ちょっと待っててよ」


 そう言って画面内でウインドウを出すシクラ。ハッキングでも始める気かこいつ? まあシクラならやれそうだけど、けどジェロワさんを見るとそんな待っとく時間も無いんだよね。制限時間あるし、あと十秒だよ。


「まっ、急がなくていいさ。ここまでやってくれたから……まあその、助かった。失敗したけど、実はお前が出てきた時ちょっと安心した。不本意だけどな。
 お前は敵だけど、今だけは協力関係だから礼を言うんだぞ!」


 ちょっと恥ずかしく成りながら僕はそう言った。なんか超恥ずかしい。今だけは一応礼を言ってやろうと変な気を回したのが駄目だった。
 慣れないことはするものじゃないな。


「ふふ、それってツンデレ? かぁいいスオウ☆」
「うるせぇ」


 こうやってからかわれるだけ。僕は恥ずかしさを隠す様に、さっさと通路に進む。画面に出るエラーの文字。それを気にせず進み、残り三秒位の所で、立ち止まってるジェロワさんの至近距離でタッチ。
 するとようやくジェロワさんの声が聞けた。


『な……これってまさか……人食い通路? 嘘、何で私が!?』


 怯えた様な声と共に、フラリと倒れ込んでくるジェロワさん。するとドンとぶつかる様な音とスマホのバイブが発動して、ジェロワさんは僕の存在に気づいた様だった。


『あ……ああぁぁぁあああぁあぁあぁぁああああぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁ』


 もの凄い動揺っぷり。そんなに追いかけて来てくれた事が嬉しいのだろうか? それかやっぱり単純にこの状況で混乱してるだけ?


『どうして……貴方が?』


 そしてようやく絞り出した言葉。これに続くのはまたも選択肢だった。だけど今回は簡単だ。僕はすぐさま画面に表示された一つをタップする。
 それは『いきなり走り出すから』って奴だ。すると案の上予想通りの反応が返ってくる。


『何よそれ。三十路の女なんて興味ないでしょ? どうせ私は行き遅れた女(笑)よ!!』


 自分で(笑)を付けるあたり、かなり根に持ってるね。だからあの選択肢は止めた方が良かったんだ。けど、あそこであの選択肢を選んでないとここには来れてない? まあ確かめる術が無いわけだけど、これだけ走らされちゃ、素直に良かったと思えない。
 もっと楽なルートは無かったのかって考えてしまう。


『あははは、そうだ。もしかしたらこれって私にとってのチャンスなのかも。人食い通路は異次元のへの入り口。私の王子様は別の世界に居るって言う啓示じゃない?』


 お~い、なんか危ない想像を膨らませてるぞこの人。ヤバいな三十路って事が彼女を想像以上に追いつめてる。いや、三十路だけじゃなく幸せな未来が想像出来ないってのもあるんだろうな。
 僕たちは僕たちの都合で、この人の幻想の時間を打ち砕いた訳だしね。


『貴方は三十路嫌いな様だし、私は異世界に希望を見いだすわ』
「別に嫌いとは言ってないけど……この人、随分勝手に話を進めていくな」


 まあそれがイベントというもの。僕はこの人の乾ききった恋愛にいつまで付き合えばいいのやら。


『さぁ! 私をどことも知れない世界へ連れて行きなさい!! さぁ!!』


 そう言ってジェロワさんは通路の中央付近で大きく手を広げる。なんかやけくそ気味だね。さて一体どうなるのやら。僕はなんとは無しに上を見る。
 ここも例の通路なら、宝箱が浮いてるんだろうな~とか思ったからね。すると案の定、やっぱりあった。スマホをジェロワさんの上方へ向けると、宙に浮く宝箱がある。
 無言で佇むその箱。けど次の瞬間予想掛け無い事が起きる。なんと宝箱が軽快な音と共に、鍵を外す音が聞こえた。カチャって鳴ったよ。そして白い煙を下に垂れ流しながら開いてく。


「まさか……これでアイテムゲットか?」


 僕はちょっと拍子抜けしたようにそう呟く。その時、周りから「おお」ってな声が聞こえる。周りにちょっと居る同類の人たちにもこの光景は見えてる様だ。
 触っても開かなかった箱が遂に開いてるんだ。そりゃ声も出るよな。一体その中身は何? そんな期待に胸を膨らませる一同。


『宝箱……確かに報告通りね。これが異世界への扉なの?』


 そんな言葉を呟いたジェロワさん。すると不意にウインドウを出した彼女は何かをしたため始めた。僕は一度彼女をタッチしてみる。


『何してるかって? レポートよ。今自分に起きてる現象を綴っとこうかと思って』


 なるほどね。流石は研究者。こういう時でも色々と実は考えてるんだ。そんな事をしてる間に、宝箱は大きく口を開く。けど煙ばかり出てて中身はわかんないな。


『さて、ここからが本番ね。巻き込まれるかも知れないから、貴方は下がってた方が身のためですよ。ここまで追いかけて来たのは無駄でしたね。
 私は手の届かない行きます。こんな世界に未練なんて無いですから』


 ふふ、あははははははは!! と高笑いまでしだす始末。ヤバいなこの人相当病んでるよ。僕がそんな事を思ってると、いつの間にか画面内に「押し倒す」って項目がデカデカと出てた。
 いやいや、おかしいだろ。一体どこで欲情したの僕? そんな事を考えてると、五・四・三・二・一……と減っていく秒数が目に入る。僕は訳が分からないまま、秒数に急かされて画面をタップしてた。
 するとその瞬間、ジェロワさんが前方に押される。そして画面内に何かが落ちてきた――様な? ズンと言う音と、粉塵が僅かに漂ってる。


「何だ?」


 スマホの小さな画面じゃ何が起きてるか把握しづらい。とにかくジェロワさんを押し倒したのは正解って事で良いのかな?
 てか、この位置から落ちてくる物って一つしか無くないか?


『ちょ……何をするのよいきなり』


 そんな文句を言いながらジェロワさんは立ち上がる。彼女がさっきまで居た場所にはやっぱりだけど宝箱が落ちてる。どういう事なんだ? なんでいきなり落ちてきた?
 人を食う通路じゃなく、実際に人を食ってたのはこの宝箱って事か? 僕は地面にめりこんでる宝箱に近づいて覗き込む。するとその中身がちょっと見えるような……なんだか透明な球体状の物が見える。
 水晶玉? けど、その中に建物がある様にもみえる。これが手には入るアイテム? 僕は指を伸ばす。自分から開けてくれてるんだ、もしかしたら手には入るかも――そんな思いに駆り立てられても仕方ないよね。だけど触れた瞬間、拒否を示すかの様にバクンと蓋が閉じられた。そして奇妙な動きでジェロワさんの方へ迫る。
 画面内には、両端に、「右か!?」「左か!?」とまた五・四・三と減っていく数字。おいおいこんなのに正解なんてあるのかよ。
 取り合えず右を選択。するとジェロワさんを右側に引っ張った……みたいな感じだった。どうやら避けれたみたいだ。


『興味深い現象ね』


 そんな事言ってる場合か。何なんだ? 何なんだあれ? ただの宝箱じゃなかったのかよ。襲ってくるとか、前にちょっと想像した通りの状況じゃないか。
 こっちじゃどうやっても戦えないのに、どうするんだこれ? そんな事を考えてる間にも、画面内には秒数と共に、右・左が何度も出てくる。
 実際全て適当に選んでた。二・三回連続して避けれると、別にどっち選んでも同じなんじゃないか? とか思って、選び忘れてると、スマホが強くバイブする。どうやら直撃したようだ。
 するといつの間にか画面の下部に出てた細長い棒が半分くらいに成って点滅しだしてる。


「まさかこれってHPか?」


 このペースで減ったら後一回当たると死ぬっぽいぞ。難易度高くない? てか、実際リアルでも箱の動きに併せて回避行動を取ってるわけだから、もうなんか周りの目が痛い。
 ここに居る人たちは分かってくれてるだろうけど、何も知らない人が見たら路上で忍者ごっこでもしてるのかと思うわれる様な動きだよ。
 でもそうしないと、箱が画面外に行っちゃうんだ。そうしたら流石に不味いだろ。一応はちゃんと見て、どっちに避けるか決めてるんだしな。
 だけど次第に、ジェロワさんの運動神経のなさっぷりが露呈しだしてきた。しかもこの人、人の言うこと聞かない。
 右を選択したのに、一人で逆側行くし、転げるしつまずくし、あの足の速さは何だったんだと言いたい。実はこっちが人混みに手こずってただけかだったと言うことか?
 でもこれは仕様なんだろうな。僕たちは順調に追いつめられて行ってるよ。ある意味、逃げきれない様にするための工作と思えるもん。
 そして途中から気づいたけど、これは多分押すタイミングだな。右か左かなんてどっちでも多分良い。だってどっちか選んでれば、必ず避けれるし、一度僅かにカスった事があったのを考えると、きっとタイミングだろ。
 そんな事を考察してる間に、僕たちは壁際まで追いつめられた。するとジェロワさんが僕を庇うようにこう言った。


『私は、違う世界に行きたいんだから良いのよ! 貴方だけでも逃げなさい!』


 そしてここで再び選択肢が出てきた。それは今までで一番簡単な選択肢。逃げるか逃げないかの二択。こんなの決まりきってる事だろう。


『なんで……どうして……三十路は嫌い何でしょ?』
「別に嫌いなんて言った覚えはない」
『(笑)の癖……に!』


 涙を溜めてそう言ったジェロワさん。涙がキラキラと舞ってた。そして実際、別に会話に成ってる訳じゃないよ。何となく僕が言った言葉に、丁度良い言葉が続いただけです。
 回転しながら箱が迫る。目の前に来たとき、再びグワァバっと蓋が大きく開く。僕ごと飲み込む気――そんな感じの開き方。
 多い被さる様に迫る箱。だけどそこで突然ピタリと箱の動きが止まった。


『な、何? どうしたの?』


 そんな言葉が聞こえるけど、僕には答える術がない。別に選択肢も出てないし……けどその時、不意にスマホが振動した。メール? だけどなんかおかしいメールだ。なんか画面の端にメールの受信の告知が来てる訳だけど……今まで秋徒とかのメールを受信したときは、こんなの出なかったぞ。
 僕はいぶかしみながら、メールを開く。するとそこにはこんな文章が書いてあったよ。


【やったぜ! 第二研究所の奴らに一泡吹かせたぞ!】


 それはバカラさんからのメールらしい。そう言えば、第二研究所の実験を妨害するとか言ってたね。でも……このタイミングはもしかして何か関係が? 
 そんな思いが募る。確かバカラさんは研究所がアイテムを探す為にしてる実験が、アイテム自身に影響を与えてると考えてた。
 まさか本当にそうだったのか? そして次第にエラーの文字が画面一杯に広がっていく。画面内が曇ってくようなぼやけていくような……そんな感じ。


 白煙で真っ白になった画面。エラーの文字も落ち着いて
次第に鮮明に成っていく画面内のブリームス。そこにはさっきまで大口を開けてた宝箱はいなくなってる。
 そして直ぐ横に居たはずのジェロワさんまでも消えてた。まさか……食われた? あの煙の最中、それが起きてたら僕のやってたことは無駄じゃないか? 
 でも他に考えれる事が……そう思ってると、後ろからメカブの声が聞こえた。


「お~い、こっちに居るわよジェロワさん」


 な……に? いつのまにこの通りを出たんだ? いや、よく考えたら、ここに入れたのがおかしい筈なのか。ブリームスには存在してないんだし、彼女はこの通路から弾き出されたのかも知れない。
 僕も早速通りを出ることに。その際、一目宝箱を確認。どうやら静かに元の場所に戻ってるみたいだ。空中に静かに佇んでるよ。


『追い出された? そうだ! 大丈夫?』


 僕がタッチするとすぐさまそんな反応を示すジェロワさん。どうやら(笑)の事は忘れたようだね。まあ箱に襲われるという体験は、なかなかにショッキングだったからしょうがない。
 それにどうやら印象悪かっただけに、株は軒並み上がったようだ。分かりやすい様に、ジェロワさんのテンションの上がりようが顔で分かる。
 なんかわざわざキラキラさせてるもん。無駄な所で容量使ってるな。


「ねえ宝箱に襲われたって本当?」


 僕がジェロワさんにタッチして会話を進めてると、メカブがそんな事を聞いてくる。てか、なんで知ってるんだ?


「例の掲示板に書き込まれてたわよ。ご丁寧に逐一更新してくれてた」
「へぇ~、またあの掲示板か。ああだからここまでこれたわけかメカブは?」


 どこにどこまで走るかなんてわかんなかったのに、結構早く追いついてきてるもんな。だけどそんな僕の言葉を否定して、メカブは二台の内の一台のスマホを見せつける。


「違うわよ。スレが反応したのは二人があの通路に揃ってからのちょっと後。私はその前からちゃんとここを目指してたわ」
「どうやって?」
「あのね無限の蔵、GPSって分かる?」


 バカにしてるのかこいつ。GPS位、今を生きてれば知らないわけ無いだろ。なんか前にも同じ様な事でバカにされたような気が……つまりはそれで僕の位置を特定したって事か。


「そういうこと。フレンドの位置情報を表示する機能あるでしょ」


 そういえばあったかもねそんなもの。プライバシーが無くなりそうだな。


「で、この人が通路に食われなかったって事は、上手く行ったのよね?」
「上手く行ったかどうかはわかんないけど、まあやれることはやったな。だから僕はこれで良いと信じるしかない」


 取り合えず画面の中のジェロワさんは異世界に行かなくても機嫌良さそうだし、良かったんじゃないかなとは思う。
 色々とノロケが一通り終わると、不意にさっきの事を思い出す風に顎に手を乗せて、こういうジェロワさん。


『けど、どうしてあの箱は止まったのかしら?』


 そこで画面にはメールの事を伝える様な選択肢が出てくる。取り合えずポチリとな。


『そっか第二の奴ら、格下の癖に実験なんて図々しい。でもその人の意見は面白いかも。確かにうちも第二も最近は本気でアイテム探しの為の研究してるから……それの影響か。
 確かにそれなら、この人が実験を潰したと同時に、箱が止まったのも説明つくかも』


 やっぱり三十路でも研究者。興味があることは考えずにはいられない。でもここで気付いた様にジェロワさんはこんな事を言う。


『あっでも何でこんな事……それにこのメールの人との関係とか……あのこれは国家機密で』


 ここで再び選択肢が現れた。これはここで決めろと言うことか? メカブもそれを見て、同じ意見なのか何も言わずに親指を立てる。
 好感度を下げたり上げたり、それも全部このための複線だったらしいな。僕は彼女に向かってこう言った。


「本当の事言うよ。僕には必要なんだ、アイテムと……そして君が!!」


 ジェロワさんは二つ返事で「はい」と言ってくれた。

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