命改変プログラム
見えてくる筋書き
マチョシスことシスターラオウの案内の元、僕は神田キリスト教会を歩きます。でも今の所収穫無し。ああ、それと、懺悔室はちゃんとした懺悔室でした。
決して拷問部屋では無かったよ。だけどどこから拳銃が出てくるかわからないのを考えると、気が気じゃないだろうけどね。
「ではここが礼拝堂になりますね。家の礼拝堂にはパイプオルガンがあって、その音色はなかなかに素敵なんですよ」
「へぇ~パイプオルガンですか。見たことないや」
教科書とかには載ってた気はするけど、実物は見たことない。それに礼拝堂は教会のメイン部分だろ。ちょっと気が引き締まるね。
なんてたって神の御前だ。そんな思いの中、シスターラオウがそのゴツい手で礼拝堂へ続く扉を開けた。
「おおー広い! それに天井高い」
一番奥の所にあるのがパイプオルガンかな? てか、このスペースに建物のほとんどを食ってる。まあメインだし、ここがないと流石に教会とは……ってな感じだからそれは当然と言えば当然か。
建物がとんがってるからか、ここの天井も上に向けてとんがってるな。そして穏やかな木の色を感じる様な内装。天井からは照明がいくつか垂れてて、ステンドグラスなんかもお約束的にある。
縦にズラリと並んでる横長のイスとか見ると教会って感じがするね。日光が綺麗に差し込んでいて、神聖って感じが強まるよ。
「ふふ、気に入って頂けましたか? 自慢の礼拝堂ですよ。時にはあのオルガンを使って演奏会をしたりもするんです」
「へ~なるほど。結構立派ですもんね」
僕はそう言って、礼拝堂の中を進んでいく。日本なのに土足でいいなんてなんか変な感じ。いや、いけない感じ。
建物の中に土足なんて、耐性があんまりないよね。僕は一番奥まで進んで、そこから携帯を翳してみる。たっぱり全体を見回せなきゃね。
「どうだ?」
「う~ん、見あたらないな。やっぱり正面からはやらないんじゃないかな?」
携帯の中のシクラの答えは芳しくない。正面ね……そう言えばここは第二研究所の正面口か。確かに一般人が何か仕掛けるにはハードルが高いのかも。てことは周りを見てるメカブに期待するしかないか。
「探し人はいませんでしたか?」
「ええ、残念ながら。すみません案内までしてもらったのに」
「いえいえ、こういう事もありますよ。神の導きを信じていれば道は開けますので、諦めないでください」
優しい言葉をかけてくれるラオウさん。その外見じゃなかったら、ほんと普通に接する事が出来るんだけど、まだちょっと気兼ね無くとは行かない。
いや、良い人だってのはわかってるんだけど、どこから銃が出てくるのかわからないのが、やっぱり恐怖って奴を残してる。
勿論レプリカ……レプリカだとは思うんだけど、あの手慣れた手つきを見てしまうとどうも……ね。
「あの……所でメールは送っても大丈夫ですか? イベント終わり位が良いでしょうか?」
「ああ、LROの事ですよね。まあそうですね。出来ればそうして貰えるとありがたいです」
ラオウさんはちょっと気恥ずかしげにそんな事を言う。まあこっちに気遣ってくれてるって事なんだろうな。ラオウさんもLROに興味持ち始めてるから、本当は色々と聞きたい事があるんだろうけど、今は都合が悪いからってメアドの交換で済ませたんだもん。
「まあだけど、今から始めるのはタイミング的にどうかと思うけどね☆」
「あっ、おまえ勝手に喋るな」
シクラの奴がスマホから唐突に口を挟んで来た。既にバレてるからって勝手に喋るなよな。一応ただのアプリって設定なのに……これじゃ本当に生きてるみたいと思われるだろまた。
だけどラオウさんはそんな心配を余所に、普通にシクラをなんだか受け入れてる? あれかな? 銃とかそっち方面の事には詳しいけど、ゲームとかのネットの部分には疎いのかな? まあ疎いとかとちょっと違う気もするけどね。
LROだって知らなかったし……日本住んでれば一度くらい聞いてる筈だけど。発売当初の盛り上がりなんて社会現象だったのに……しかもここアキバだよ。
嫌でも耳や目に入るだろ。まあでもだからこそ、このシクラが普通じゃない事に気づく事もないと。
「ど……どういう事ですか?」
「もうすぐLROはたった一人の為の世界になるの☆ だから今からじゃあんまり楽しめないかな~て」
「たった一人ですか?」
シクラの言葉に首を傾げるラオウさん。まあ分かる筈もないよね。
「はは、気にしないでください。機械の戯言ですよ。ちょっと調子が悪いのかも知れないです」
そう言って僕はスマホをバシバシ叩く。てかそんな重要な事ホイホイ喋っていいのかよコイツ。相変わらずふざけてるよなシクラって。
「何が戯言よ。これは私たちの真剣勝負じゃない☆ まあそこの人には関係なんて確かに無いけど、けど私は良かれと思って忠告したのよ。
本当に、今からLROに来ることないわ」
最後の方の言葉を言うシクラはなんだかちょっと違ってた。いつものふざけてるって感じがあんまりしなかった。まあ確かに僕だって今からLROに来ることはあんまり薦めないけどね。
だって何が起こるか分からない。そんな状況だよ。主にコイツ等のせいで。
「私は遠巻きに嫌がられてるのでしょうか?」
シクラのせいで再びラオウさんがちょっとシュンとうなだれた。この人もっと精神も鍛えた方がいいぞ。体と内面のギャップが激しすぎる。
「ええ~と別にそうじゃなくて、忠告ですよ。忠告。あの言葉はコイツの優しさっていうか……そんな感じなんですよ。
実際本当に今はLROゴタゴタしててですね。始めるのなら色々と調べてから……の方が良いと思います」
「そうですか……心配なんてして貰う事なかったら嬉しいです」
なんか変な所に食いついてるけど、まあいっか。結局どうするかはこの人次第。僕じゃ止められる分けないもんね。それにこの人なら案外大丈夫そう……とも思う。
「あの……そのゴタゴタなら私が纖滅しましょうか? そういうのは得意なので」
少し恥ずかし気にそう言ったラオウさんだけど……なんかすっごく物騒な想像が沸き上がるんだけど。確かに得意そうではあるけど、貴方の考えは物騒だ。
だけど僕がそんな考えを頭で巡らせてる間に、シクラの奴がまたも勝手にしゃしゃり出て来た。
「あらら、筋肉ゴリラさんは大層な自信があるようね。その筋骨隆々の肉体でどれだけの死線を潜ってきたの知らないけど、LROは貴方が知ってる世界とは違うのよ☆」
「おま!? それはちょっと口が過ぎ――」
僕はおそるおそるラオウさんの方へ視線を流す。だって筋肉ゴリラってあんまりだろ。今度こそスマホブッ壊されるかも知れない……そんな不安が募るじゃん。
だけど視線の先に居たラオウさんはなんか静かに佇んでる。さっきの様にシュンとしてる訳じゃなく、静かに闘志でも燃やしてるかのように……なんかちょっと雰囲気が違うんですけど。
「世界が違う……それはますます楽しみです。私が通用しない世界。そんな場所を探してたんです」
「ふ~ん、口だけじゃない事を期待しといてあげる☆」
なんだなんだ? 女同士でおかしな迫力のぶつけ合いをしてるぞコイツ等。てか、シクラの奴絶対に面白い事に成りそうだからって焚き付けてる感じがする。
てか、ラオウさん戦闘事になると、感じ変わるよな? 楽しそうって言うか、やらずにはおけないみたいな……そんな感じが見て取れる。
まあそれは外見と中身が一致してるとも言えるけどね。散々女らしい所を否定してたけど、一致したら一致したで、迫力倍増で怖い。
一般人には対面する事さえはばかれる迫力を帯びた生き物がそこに居る。やばいよ。本物のヤクザよりよっぽど怖いよ。
二人の女がなんだか敵対心を燃やしてると、そこでスマホがメールを知らせる音を「ピロリロリン」と鳴らした。
「メールか、ちょっとそこをどけシクラ」
僕はそう言ってアプリを一時的に閉じてメールを画面を見ようとする。けどそんな僕の行動を止める様に、シクラはこう言った。
「良いわよわざわざ閉じるのは面倒だから、こっちで出してあげる☆」
そう言ってシクラは画面の中で、新しいウインドウを出す。そしてこっちに向けた。
「これで良いでしょ? どうやらあの電波女からね」
電波女って……コイツメカブって呼ぶ気ないよな。自分で付けた癖に、どうやら電波女で通したいらしい。まあどうせメカブにはシクラの存在教える気ないし、どうでも良いこと何だけど……僕はこちらに向けられた画面の中のメールを見る。
「メカブの奴が見つけてくれたみたいだな。じゃあそっちに行くか」
「そうね。とんだ無駄足だったよここは☆」
またコイツは挑発するかの様に、無駄に声を張り上げやがって。もしもラオウさんが行動に出たら、実害を受けるのは僕なんだぞ。
そこら辺もっと考えてほしい。
「む……無駄……」
すると今度は、やっぱりだけど結構ショックを受けてる様なラオウさん。こういう普通の事ではホント打たれ弱いなこの人。
「えっと、無駄って事は無かったですよ。このアホの言う事なんて気にしないでください」
僕は気を使ってそう言う。だけど実際無駄足……いやいや、どっちに目的の奴がいるかわかんなかったし、結局これでいいんだと思う。
スカッたからって無駄って訳じゃないもんね。ここにはいないって分かった事が重要なんだ。無駄足に思えるのは、メカブのメールが良いタイミングだったからだ。
「アホだなんて心外☆」
「うるさい。もうちょっと気を使え」
ホント場をかき乱す事が大好きな奴だから困る。気を使うって事を覚えろよ。セツリ以外に。まあそれは無理なのかも知れないな。
こいつの優先順位って完全に決まってる感じだもん。セツリと姉妹以外は実際どうでもいい……そんな感じ。僕に興味を持ってるのもなんとなくの暇つぶしだろ。
そんな事で付きまとわれちゃすっごい迷惑なんだけど、こっちからじゃ手出し出来ないし、距離を測ってやりくりするしかないわけだ。
てかコイツ、僕の携帯の機能を勝手にいじってるよな? 大丈夫なのか不安なんだけど。
「あの……行ってしまわれるんですよね?」
心もとなさげにそんな事をいうラオウさん。なんでそんなに残念そうなの? そんなに仲良くなった気もしないけど……でもこればっかりはね。目的だから。
「そうですね。行かなきゃいけません。友達からNPCが見つかったって連絡来たし、結構メンドクサい奴だから急がないと」
「そうですか……私は大丈夫、あのくらいで傷つきません。神のご加護がありますから」
「それは良かった。じゃあ急ぎますね」
実際ただの強がり……だとバレバレだけど、僕に何が出来る訳でもない。友達って言える関係でもないし、まあいつかLROに来た時には、一緒にこのシクラをボコる程度の協力関係は築けそうだけど、今は何ともだよ。
てな訳で、僕は早速メカブの元へ走り出そうとした。すると日の射し込むドアを開けた所で、モアっとした空気と共に後ろから声を掛けられた。
「あの、こちらはいつでもメールをくれて構いませんから。悩み事の相談からスオウさんなら害虫駆除まで受け付けます」
害虫? 彼女のいう害虫がちょっと良く分からないけど、とりあえず頭の隅にでも彼女の存在を止めておく事にしよう。リアルでならとっても頼りになりそうだしね。
まあ忘れようと思っても忘れられないだろうとも思う。
「ありがとうございます。困ったときはメールしますね」
僕はそう返して、教会を後にする。どこからともなく聞こえる蝉の声と、うだりそうな暑さの地面を駆けてメカブの元に急ぐんだ。
そしてたどり着いたのは第二研究所の裏手側。まあ用は芳林公園だ。実際ここも第二研究所の敷地……の筈なんだけど、建物としての部分は公園の半分位で終わってて、後は裏門みたいになってる様だ。
そしてそこに『バカラ』と頭上に記されたNPCが確かに居た。あれって、公園の半分からの建物には入れないのかな? 良く分からないな。
「どう、私の天寿にかかればこんな物よ」
「別に天寿じゃなくても、見つけれるだろあれは」
やけにふんぞり返って言ってるメカブ。だけど逆にそんな大層な能力を使わないと発見も出来ないのかと言いたく成るぞ。そんな僕等は公園の入り口でそんな立ち話中です。
ここは公園だけあって、木々が多いから蝉の鳴き声も一層うるさく感じる。だけどアキバって言う混沌とした街の中でこういう場所があるって言うのは貴重だね。
やっぱり自然を見るとちょっとホッとする。なんだかんだでさっきは不思議な空間に居たからね。教会なのに魔王が居たみたいな。見た目だけね。
「もうちょっと感謝しなさいよ。この暑い中、こっちは外を回ってあげたんだからね」
「それはお前が選んだ結果だろ」
さっさと目の前から消えてた癖に。それにこっちだって建物の中に居たけど、あんまり涼しくは無かったんだ。そう言う意味ではお互い様。
「涼しくなかったって……ああ、アンタって結構不運だから、神様もお断りだったとか?」
「そんな神様ならこっちからお断りだけどな。そうじゃなくて、まあなんて言うかその……凄い生き物がいたんだよ」
そうとってもビックリする生き物が生息してただけ。するとメカブはそんな僕の言葉を聞いて、少し震えながらこう言った。
「まさかあの噂は本当だったって言うの? あの教会にはシスターの格好をした悪魔が居るって……」
悪魔って……僕はちょっと同情しちゃうな。確かに外見は悪魔みたいなんだけど、本当は優しいシスターさん何だよ。
それを知るのにもの凄い覚悟は必要だけど、その噂はちょっとヒドいぞ。せめて目の前のコイツだけにも訂正しといてやるか。
「悪魔って訳じゃない。確かに外見は結構ゴツいし、修道服もピチピチで変態に見えなくも無いけど、話してみると普通の人だよ」
危ない一面は確かにあるんだけど……けどそこに触れさえしなければ良い人だよきっと。だけど僕の言葉を聞いたメカブは変な想像を膨らませたっぽい。
「外見はゴツくて修道服がピチピチって一体どれだけ……それはHENTAIとしか想像出来ないわ」
「いっとくけど、ちゃんと女の人だぞ」
「そんな女居るわけないじゃない!」
何故か僕が怒鳴られたよ。分かるけど……その気持ちも分かるけど、居るんだからしょうがないだろ。じゃあ見て来いよと言いたい。
「同じ女として断言できるわね。きっとそれは女じゃないわ」
「お前酷すぎだぞ……お前だって……」
「私が何よ?」
僕はそこで口ごもる。だってお前だって同じ女として恥ずかしいレベルの女だろ――とは流石に言えない。電波な事は痛いし、その格好だって……言っとくけどラオウさんの事言えないぞ。
ベクトルが違うだけで、メカブだって相当痛いんだからな。そこら辺自覚しろ。なんだか遠くに聞こえる街の喧噪を背に、僕は隣の変な女にそう思う。
「まあようはそんな噂は噂だって事。良いからさっさとアイツに話しかけるぞ」
「ふん、まあいいわ。今はそれどころじゃないし、保留にしててあげる」
保留かよ。どうせならもう忘れてくれて良いんだけど。こいつも無駄に好奇心旺盛だよな。僕は二人が邂逅しないことを祈りつつバカラさんに声を掛ける。
『おう! なんだなんだ? ああ、アンタがオッサンが言ってた奴な。俺はバカラってそれは聞いてるか。アンタも戦士になりたい口のようだな』
ふむふむ……うざったいキャラ設定の様だなこのバカラって人は。
『まあまあ、その気持ちは分かるぜ。この国は俺達に何かを隠してる。そしてこの街はその中心だ。世界中から集めたアイテムを使って何をする気なのか……今の神隠し騒ぎだって国の仕業なのは間違いないんだよ。
俺達はそんな奴等のやり方に反旗を翻す戦士さ。そして今日この第二研究所である実験が行われると言う情報を俺は得ている』
ある情報ね。そろそろこのイベントの核心部分に触れれるのか? てかこれってただの独立したイベントじゃないのかな?
ストーリーがなんかあるっぽい。僕たちプレイヤーは第三者の位置からこいつらに関わってけばいいの? まあこっちはアイテムさえ手に入れることが出来ればそれで良いんだけどね。
てかテキストなげぇよ。一応喋ってくれてるけど、今までの奴らに比べてお喋りだなコイツ。しかも初対面の僕に対して……ってそれをいったらゲームとしておしまいか。
『お前も知ってると思うが、際重要な三つのアイテムってのを国は総力を挙げて探してる。それらは何でもこの街にずっと昔に隠されたらしいんだが、その行方は分からなくなったみたいなんだよ。
だから今、研究機関を総動員して色々とこの街を調べてる。怪しげな実験道具とかも使ってな。俺は多分、この神隠し事件はそんな実験道具とかのせいで、この街に隠されてるアイテムが誤差動してるんじゃないかと思うんだよ。
だから俺的には、更に変な機会を投入されたら不味いと考える。今は無害な神隠しだが、いつ戻ってこれなく成るとも知れないだろ。その三つのアイテムを見つけれたら早いんだろうけど、あいにく俺は頭を使うのは苦手でな』
そう言って悪ガキみたいにバカラは笑う。民族衣装みたいな柄の赤いターバンを頭に巻いて、服は無理矢理半袖にしたような破かれたシャツ。その笑みはとってもらしく見えた。
けどさ確か飲み屋に居た人が切れ者って言ってなかったっけ? コイツ自分で頭を使うの苦手って言ったぞ。謙遜かな? でもあんまり頭良さそうにはやっぱり見えないんだよね。どっちかって言われれば肉体派って感じだもん。
僕は携帯をかざしたまま、木々を鳴らす風にそよぐ。ここは都会のオアシスだからかイベントに疲れきった人たちや、単に買い物に訪れてる人たちが、そこかしこに見えてたりする。
だけど僕はまだあそこには加われない。確かに諦めたって誰も文句言わないだろうけど、ここまでやったら、最後の一秒までイベントを満喫しなくちゃだからね。
僕は画面の中で意気揚々と喋り続けるバカラに視線を戻す。
『俺は研究所の実験を潰す方向で行く。だけど全部はだめなんだよな。あのオッサンの息子はまだ戻って来てないからな。だけどこのまま悠長にしてても、また犠牲が増えるだけ。
そこでお前の出番だ。戦士ナンバー0018よ、お前はこの街に眠ってるアイテムを捜索をするんだ! 情報はきっと第一研究所にあるだろう! だが第一はセキュリティもメンツもこの国のお抱え共だ。そう易々と情報は拝めない。
なんせ機密だからな。だからここは一度第四研究所にいけ、あそこは期待もされてないし、実際国の機関は第三までであそこは民間だ。
そこには協力者が居る。そいつに戦士ナンバーを伝えれば力になってくれるだろう。表向きは国に協力体制をとって、国庫を貪ろうと考えてるが、裏では奴等に対抗する発明を目的としてる、偉大な研究者を頼れ。所長をしてるから直ぐに分かるだろう』
長い言葉を聞きながら、僕の頭には色々と浮かんだ。えっと……第四ってまたあそこに戻るのかよ……とか、あそこやけにボロいと思ってたけどやっぱり見捨てられてたのかよ……とか、国立って書いてあっただろ……とか、戦士ナンバーはやめてください……とか色々あるけど、言ってもどうにもならないから全て飲み込んだ。
こっちの声に応えてくれないもんな。そしてそうこうしてる内に、バカラが動き出した。
『おっ、あれがそうだな。こっちは任せとけ! お前はお前の出来ることを考えてやりな!』
画面には何も写ってない。だけどそこからバカラは消えた。それは動き出したってことなんだろう。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
1
-
-
140
-
-
1168
-
-
140
-
-
4
-
-
111
-
-
49989
-
-
3395
-
-
549
コメント