命改変プログラム
放っとけない
「「テメェエエエエエ!!」」
僕のゴミ溜の住人という言葉のせいか、金髪とモヒカンがハゲの制止を振り切ってこちらに駆けてきた。ご丁寧にその手にはメリケンサックをつけてるじゃないか。
流石クズは準備が違う。
「ちょっちょっと、かなり怒ってるみたいよ。暑いんだから、もっと穏便にすませなさないよ」
「うるせぇ、お前だって奴らの感情を煽るような事言ってたじゃん」
全てを僕のせいにするなよな。まあ、最後のはついつい口を滑らせたんだけど……落とし所を完全にミスったな。こんな所で余計な体力使いたくないのに。
「うらああ!!」「でああああ!!」
そんなかけ声と共に、メリケンサックを装備した拳が僕へと迫る。
「下がってろメカブ」
「勿論そうするわ」
言ったときには僕から既に距離を取ってやがんの。なんて薄情な! まあ、リアルで女の子には期待出来ないけどさ。
「女をかばう余裕があんのか! ああ!!?」
そういって腕を振り回すかの様な大振りを繰り返す二人。こいつらは、二人がかりで来てるけど、どうやら連携って概念がないらしい。
しかも大振り過ぎる。どれもこれも、一撃で倒そうとするから、体に余計な力が入りすぎ。僕は二人の攻撃を交わしつつ、一応メカブから距離を取るように、路地の中心部へ。
だって、イライラしたどっちかが、メカブに手を出さないとも限らないからね。もしもそれをこのバカ共が思い立ったとしても、防げる距離を取っとかないと。
「あの~、さっきのゴミ溜は訂正するんで、一回落ち着いてもらって良いですか?」
「ふざけんな!! たとえゲンさんが許したって、俺達はテメェを許す訳にはいかねぇんだよ!!」
「おうよ!!」
モヒカンも金髪も同じ意見の様で、更に勢いが増してしまった。まあこのまま避け続けてれば。この暑さで勝手に自滅してくれると思うけど……でもそれまで相手をし続けるのが、今の僕には辛いんだよね。
だからって、ここで倒してしまうのは、それはそれで不味い様な気もするし……でもだからって殴られてやる気には成らないもんな。
痛いのやだし。やっぱり体力の消耗を待つしかないかな。するとどっかから奇抜の女の声が聞こえた。
「いけー! ぶっ飛ばしちゃえー!」
たく、アイツだって暴言吐いたくせに、離れた所からの見物かよ。しかも僕が頭の中で否定した事を叫びやがって、うるさいんだけど。
「へっへ、彼女が応援してるぞ。逃げてばっかでいいのかよ? 格好悪いぜお前」
「マジ超~ダッセーよ。反撃の一つでもしてみろよ。言葉と違って、お前の拳はヘナチョコか?」
なんか早くも息切れしてきたチンピラ二人は、こっちを動かそうと必死に挑発してきた。まあよく、チンピラはやるよね。
無駄な挑発に、バカにしたような言葉。けど、それを聞くとバカが滲み出てる様な気がするよな。教養が足りてなさそうだもん。てかこれだけは一応否定しておいてやる。
「別にヘナチョコって訳でも無いけど……お前達には使う気にはなれないな。それに言っとくけど、アイツは彼女でも何でもないから。
変な事言うな」
「おうおう、余裕ぶっこいて本当は足がブルブルしてんじゃねーの?」
「いっとくけどな、彼女であろうと無かろうと、お前は知り合いの女の前で、格好悪い所しか見せてないのは事実だ。
超ダッセ――!」
取り囲む様にしながら、パンチを出し続けるキンモヒ組はどうにかして、僕の動揺を誘いたいらしい。二人係なのに、まだ一発も当たってないからね。
まあこっちから言わせてもらうと、悪態つくより、もっと連携とジャブの様な要素も取り入れて戦術練ってこいって感じ。
「なあ、そろそろやめない? この暑さの中で無駄な体力使いたくないんだよね」
「うるせぇ! 俺達はお前を一発殴らないと気が済まないんだよ!!」
「まだわかんないのか? 今のままじゃ、一生かかってもお前達の拳が僕に届く事はない。逃げてるんじゃない。逃げてやってるんだよ。
実力差くらい気付け。肌で感じろ。でないと、お前達の居る場所じゃあ、生きてけないんじゃねーの?」
僕はなまじちょっとは心配してそういってやった。だって裏社会こそ本当の実力社会だろ。バカはずっと淘汰され続けるだけ。
結局の所、どこでだってずる賢いやつが上に行くんだよ。こいつ等は絶対に、一生下っ端。メカブの天寿眼なんたらじゃないけど、僕のただの瞳にだって、それが見える。
だけど自分達よりも若いガキにそんな事を言われても、聞く耳を持つ年頃じゃない。てか、聞く耳を持たない事を誇りにしてる連中だから、意味なんてないか。
「テメェみたいな奴に、そんな心配される筋合いねーよ!!」
「そうだ! 俺達はゲンさんを信じてるんだ!!」
ゲンさんね……僕は二人の攻撃をかわしながら、ハゲをちらりと見た。派手な柄のシャツに二の腕からはみ出てる入れ墨……そしてサングラス。だけどあのサングラスの中の瞳は、笑える程につぶらな瞳。
この二人が暴走しだしてから、何も言わないと思ってたら、なんだか俯いてる様な。ドブ溜の住人は効いたのかな?
「信じてるね……それだけの価値があるの訳?」
同じ穴のムジナだろ。言っちゃ悪いけど、お前等よりも少しマトモってだけな感じだけど。
「テメェにゲンさんの何が分かる!? あの人はな、行き場を失ってた俺達に手を差し伸べてくれたんだ! 社会の爪弾きにされた俺達に、居場所をくれた!
信じる価値のある人だ!」
「うお!?」
なんだかパンチのキレが少しよく成ったような……さっきまでメリケンサックの重みでパンチが下に下がってた様な状況だったのに……気持ちが体を動かしてる状態にでもなったかな。
「そんなの都合のいいバカを捜してただけかも知れないじゃん。自分の手足に成りそうで、逆らわずに自分のやってる事に疑問を抱かない適度なバカをさ」
「バカバカうるせえ!!」
「おっと!」
二人とも体力はかなり消耗してる筈だけど、ここに来て踏ん張りだしたな。さっさと心を折らないと、めんどそう。それにはあのハゲに対する忠誠心壊すのが良いんだろうけど……こいつらバカだからな。
あんまり難しい事は言えないし、なんか簡単に不信を抱かせないだろうか? こいつらはきっと愚直なバカじゃなく、疑って疑って、信じれなくなった方のバカだろうから少しのきっかけがあれば、ハゲにも疑問を持つと思うんだよね。
「あの人はそこら辺のヤクザとは違うんだ! 下っ端の俺らの事まで大切に扱ってくれるそういう人なんだよ! 俺達を初めてクズじゃなく人間として見てくれた人だ。
テメェの様な目をしてる奴が居るから、俺達の様なクズは行き場を失うんだよ!!」
クズって自分で言ったよコイツ! 僕は懇親のパンチを避けながらそう思った。頬の数センチ横を横切るパンチを僕は、少しだけ手で軌道をズラす。
するともう一方のモヒカン野郎に、その拳が向かう事に。そして二人のメリケンサックがぶつかり合う。
「「ぐあ!?」」
思わずそんな声と共に足が止まる。その隙に僕は距離を取った。
「僕の様な目がなんだって?」
そういうと、二人は狂犬の様な目で僕を睨みつけてくるじゃないか。そっちも汚物を見るような目してるぞ。
「俺達を人として見てないその目……それが俺達の様な奴らを追いつめるんだよ! 気に入らねえ目だ!!」
「お互い様だと思うけど、そっちも僕の事を睨み殺す位に睨んでるじゃん」
「そういう目に晒されて来たからだ!」
そう言って再び僕へと向かってくる二人。ほんと、この暑い中良くやるよ。それだけ許せない事なんだろう。まあでも……こっちはこれ以上つきあうなんてない。
(一回位、マジで体を動かしても問題ないよな)
向かいくるバカ二人。集中が高まると、映画のフィルムの様に動きがコマの様に見える。これがLROで命を懸けてる副産物だとしたら、こっちでもある程度戦えるって事になる。
それはそれで、結構良いことではあるよ。命の代償は何をとってもでかいけどね。向かいくる二つの拳。それを直前まで引きつけておいて、片方の手首を取ってその勢いを利用して体を引きながら回転する。
その回転で受け止めなかったモヒカンの拳を交わして、勢いのままに引っ張られた金髪は体勢を崩してる。だから回転の力を利用して、拳を外されたモヒカンに後ろから、金髪をぶつけてやった。
そしてそのままその場に倒れ込む二人。まあこの位なら余裕だね。殆ど向こうの力を利用しただけだし。
「テメエ……」
「くっそ……」
負け犬が下から見上げてる。僕はそいつ等を見下ろしてる。力関係がよく分かる構図だな。まあこの程度で負けを認める様な奴らじゃないだろうけどね。
「もういいだろ、ちゃんと訂正するって言ってんだし。てか、おまえ等をどう見ようが僕の勝手だね。おまえ達は自分達がそういう目でしか見られないとか言うけど、そう見られる事しかしなかったからだろ」
「おまえに何が分かるんだよ! そんな簡単な事じゃねぇ!」
「そうだ、親のせいで白い目で見られ続けたりするんだよ! 自分じゃどうやったって拭えない物が、俺達にはあったんだ! お前にはわからない事だが!!」
「わからなくて別に良いよ。それも結局言い訳だし、あんたらが慕ってるゲンさんも、結局は同情なんだよ? いや、同情も怪しいけどね。吐いて捨てる程いるアンタ等なんだから、やっぱり使い勝手かな?」
「だからそんなわけねぇだろ!!」
ほんとハゲの事には直ぐに怒るね。でもいつまでもこいつらの相手をしてるわけには行かないんだ。
「ならハゲ――じゃなくゲンさんに聞いてみれば? 直接、何で俺達だったんですかって? ってさ。それが一番早く確実だろ」
するとそんな会話を聞いてたのか、ハゲがこっちを見てた。そして倒れ込んでる二人は顔を見合わせて、ハゲへと意を決してこう言った。
「ゲンさん……ゲンさんは俺達を認めてくれて……必要だから声を掛けてくれたんですよね?」
二人の言葉はどう受け止められるのか、僕とメカブは静かにハゲの言葉を待ってやった。だけどハゲはなかなか言葉を発さない。口を開かない。
そしてそんな間が、二人のバカを不安にさせる。
「ゲンさん! どうして何も言ってくれないんですか?」
「それはきっと、お前達が思ってるような出会いじゃないから……だろ?」
「テメェは黙ってろ!」
二人は体を起こしてハゲの方へと歩み寄る。ハゲはハゲでその場から動こうとはしない。てかもう、きっぱりずっぱり言ってあげればいいのに。
逆に躊躇う方が珍しいんじゃないのかな? ヤクザがその下位の存在であるチンピラを駒の様に使うのなんて当たり前の事だろう。
そこに何かを求めるのが間違いなんだ。
「「ゲンさん!!」」
二人がハゲの前まで言ってそう叫ぶ。もう聞かずにはいられないって感じだな。それだけハゲの事を信じたいのか……縋りたいのか……まあだけど、やっぱり二人が思う様な事じゃきっと無いとは、ハゲの態度でわかるよ。
けど、それを言いづらそうにしてる所に、ハゲの人格が現れてるとも思うけどね。ズバリ言わない分、ハゲは優しいと思うよ僕は。
「俺は……最初は誰でも良かったってのは……その通りだ。素直でヘコヘコしてて、使い勝手良さそうなチンピラがお前達だったってだけ。
俺は元々、駒にするためにお前達に近づいた。それは事実だ」
「そんな……俺たちを認めてくれたんじゃないんすか?」
「俺達をずっと……ただの使いがってのいい駒ってだけでしか、見てなかったって事ですか!?」
二人は肩を震わせてたよ。いろんな所から爪弾きにされたこの二人にとっては、初めて必要としてくれた事が嬉しかったんだろうね。
自分が一人の人間だと思えたか? でも結局は体の良い、無くしたらそれまでの駒扱いだったんだよ。てか、闇の部分に希望を持つのも僕的にはどうかと思うけど。
「「そんなのって……信じてたのに……」」
二人のそんな言葉が重なった。けど、そこでハゲの人が、言い繕うようにこう言った。
「違うんだ。確かに最初は使い捨ての駒ってだけだったが、次第にそうでも無くなっちまったんだよ。お前等がバカする度に、仕方ねえと思いつつ立ち上がる自分がいるじゃねぇか……けっ、たく、バカ過ぎるのも考え物じゃねえか」
「俺達はそんなバカなんすか!? バカだからなんも文句言えずに、使い回されるんすか!?」
「そんなの嫌だ……そんなの……そんなの……」
ハゲの言葉は少しだけでも、このチンピラ二人にとっての優しさってのがあった。でもとうの二人はバカだからこそ、そんな少し見えた希望に気づかない。
実はコイツ等は、このハゲに拾われた事が幸運だと今更になって思えなく成ってる。まあそうしたのは僕だけど。絶対にこのハゲ以外のヤクザに目を付けられてたら、こんなバカのままでもいられなかっただろう。
下手したら、殺されてもおかしくない世界……の筈だろう。それを考えたらハゲは随分甘く優しく、この二人に接してると思うけど……ただの駒だった事にショックを抱く二人は、その拳を握りしめた。
結局、コイツ等に出きる事って言ったら、これしかない訳だ。
「「う……うああああああああああああああ!!!」」
二人分の拳がハゲへと迫る。だけどハゲは避けようとはしなかった。二つの拳がハゲの顔面に入り、ハゲは後方へと飛んだ。
それと同時に、奴のサングラスが無惨に壊れて地面に落ちる。つぶらな瞳が再び露わに成ってしまった。けど、ハゲは倒れない。なんとか踏ん張って、その場に静止した。
つぶらな瞳の下の鼻からは、鼻血が流れ出てる。それを拭こうともせずに、ハゲは自分を殴った二人を見据える。
「なんだよ……アンタが悪いんだ! あんたが俺達を騙すから! 俺達はアンタを信じてたのに!!」
「殺すなら、殺せよ! アンタに手を出したんだから、俺達はもう……そもそもこんな世界にもう未練なんて――」
二人はもう人生に絶望したみたい。まあもっと早くから、自分たちの人生とかは諦めてた筈だろうけど、ここでもう一度、それを終わらせる気に成ったみたいだ。
だけどそんな言葉を聞いて、一番憤ったのはチンピラ二人じゃなく、ハゲのおっさんだった。
「バッカ野郎おおおおおおおおおおお!!」
「ぶはっ!」「ぐげっ!」
ハゲの人の拳が炸裂。二人のチンピラはその拳に吹っ飛ばされて地面に倒れた。
「「ゲンさん……」」
「テメェ等はもっと自分の頭で考えろ。自分の見てきた事をもっと信じやがれ。テメェ等には今日までの全てが、駒として扱ってきた日々だとでも……本気で感じてんのか?」
三人とも鼻血を垂れ流してる状態で、妙に真剣な話が続く。なんとも間抜けな光景だけど、流石にこれには水をさせないよ。
端から見てたら、完全におかしいけど……てか、こっちの存在が忘れられてそうだな。
「じゃあ……何だって言うんですか?」
「俺達は貴方にとっては幾らでもいる駒の一人でしかないんでしょう!」
「こんの、底辺のゴミクズ野郎共があああああ!!」
再びハゲの拳が炸裂した。てか、もの凄い事を言って殴ってたな。底辺のゴミクズって……ハゲも思い切ったみたいだ。
「ゴフッグフ……ゴミクズって……やっぱりアンタも俺達をそんな風に……」
「なんでこんな……俺達でもようやく……誰かに認められたと思ったのに……」
熱せられた地面に倒れ伏して涙を流すチンピラ二人。流石にその姿にはちょっと胸が痛むな。この地面の熱さは僕も体験してるからね。
超暑いんだよ。鉄板で焼かれてる位にあっつあっつ。はてさて、ハゲはどうするつもりなんだろう? そう思ってると、地面に膝をついてなるべく視線を二人に合わせる様にした。
そして殴られた時に壊れたサングラスを掛け直してこう言ったよ。
「だからそう易々と惑わされんな。確かに最初はそうだった……けどその分のケジメは付けただろ。今はもう、そんな風には思っちゃいねえ。
お前達がバカすぎて、素直すぎて……放っとけなくなっちまったんだよ」
「「ゲンさん……」」
つぶらな瞳が曲がったサングラスから覗いてるのに、なんだか格好良いと思っちゃった。そしてそんな言葉を聞いたチンピラ二人は、けどまだ信じれないみたいな顔してるよ。まあ奴らの今までを考えると、気安く「そうなんだ」とはもう思えないだろうな。
けど、ハゲの人は言うよ。
「そもそも、損得を考えたらテメェ等を側に置いとく理由なんてあるめぇよ。これでも俺を信じれねぇか?」
「お……俺達はただの駒じゃないんですね?」
「ああ、テメェ等は俺のれっきとした舎弟だ。駒なんて安い存在じゃねーよ」
その言葉を受けたチンピラは声を上げて鉄板みたいなアスファルトに顔を埋めた。
「ゲンさああん! すみませんっしたあああ!!」
とか言ってる。てか、僕たち一般人にしてみたら駒も舎弟も変わらない感覚なんだけど……それでいいの? 結局使われる事に変わりないし。
まあこのハゲの人は多少なりともマシっぽいけどね。落とし所はあったみたいだな。一件落着……って、こんな事をやってた訳じゃないじゃん僕ら。
なんか変な方向に流されてた事に、今更気づいたよ。そうそうイベントやってたんだ。僕は携帯を取り出してその場に翳してみる。
まあここには何も無かった訳だけど、思い出したからそんな行動を自然に取っちゃった訳だ。画面の中にはエラーの文字が相変わらず表示されてた。
「あれ?」
なんか前と違う所を見つけたかも。このチンピラ共を最初に携帯を通して見たときは、なんか赤い膜みたいな物が覆ってたのに、今はそれがない。いや、そもそもあれがなんだったのかわからないんだけど……やっぱり見間違いだったのかな?
今考えるとそう思えなくもない。てか結局何も得られてないよ。無駄な時間を浪費しただけ……
「ちょっと無限の蔵!」
「うん?」
僕が妙な疲労感にぐったりしてると、後ろからメカブの声が。振り向くと奴は何やら携帯を指さしてる。てか、何で声を出さない。
まあ取り合えずジェスチャーをくみ取って携帯を上へ翳した。丁度真上だね。するとそこには、四角い何かがあるじゃないか。
「!! これって――はっ!」
僕はとっさに口を押さえたよ。なるほど、メカブが声を出さなかったのはこういう訳か。なるべく他人に悟られない様にって事か。
この三人がイベント参加者かどうかの確信は無いけど、無関係って事はないだろう。だって三回ともイベント関連の場所で会ってるし、ここに居るのだって既に偶然とは思えない。
あれの存在がバレたら、争奪戦になりかねないよな。てか一体どうやってあの『宝箱』を手に入れればいいのだろうか? そこからして謎なんだけど。空中で浮いてる形じゃ、どうしようも……
「どうしたんだ? お前の事は許せんが、ここはひとまず見逃してやるから、消えてもいいぞ」
なんで上から目線? しかも消えろとか、受け入れがたいなそれは。
「アンタ等こそ消えてろよ。壊れ掛けた仲を修復してきた方がいいんじゃね?」
「その心配には及ばんな。この試練を越えて、俺達の絆は深まった。それに俺達にはやることがあってな」
「イベントか?」
僕がそういうと、チンピラ二人が携帯を取り出して僕の横を通り過ぎていく。
「退いてろガキ。このイベントの貴重なアイテムは、俺達がゲットするんだからな」
困った事に、やっぱりこいつ等もイベント参加者確定らしい。
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