命改変プログラム

ファーストなサイコロ

プライド



 どんどん詳細に成っていく地図上で、その人形は何故かノーヴィスから離れてる……と言うか、凄いスピードで移動してるような。
 そのせいか、ノーヴィス内に絞られてた地図がどんどん倍率を下げていく。多分この人形がクリューエルと呼ばれる人を指してるんだろうから、この地図を見る限り既にその街から出てる。


「あ~あ、元老院のバカども。港を封鎖してないからこんな事に成るんだよ。まあだけどこれなら……」


 自身が映し出した地図を見ながら、そんなことを呟くミセス・アンダーソン。これならなんだろう?
 すると尺が大きくなった地図には何だかもう一つ青い印が矢印みたいに出てるじゃないか。それも同じ様なスピードで移動してる。そしてその人形と矢印はこのままじゃ接触しそうな感じ・・ああそうか、だから「これなら」って事か。


「このままじゃこのままじゃ物の十分って所ね。急いで操舵室へ向かうわよ」
「「はっ!」」


 魔法を解いて、護衛二人と共に部屋を後にするミセス・アンダーソン。その背中を見つめて強制イベントは終了した。




 気づくと僕達は豪奢な部屋で佇んだまま。当然さっき出ていったミセス・アンダーソンはいない。


「なんだか順調に進んでるっぽいじゃない。とにかくあのおばさんを追いかけた方が良さそうね」
「操舵室って行ってましたね。それなら一度甲板に出ましょう」


 そう言ってみんな次々と部屋を後にする。僕も最後に後へ続き部屋を出る。順調か……確かに、まだどうするか分かりやすいからそうなんだけど、色々とわからない事は多いよな。
 それもまあ、後々見える様に成るんだろうけど。ん? そう言えば。


「なあノウイ。お前も見えたのさっきのイベント?」


 甲板を目指す途中でちょっと気になったから聞いてみた。するとノウイは苦笑いでこう言った。


「いや~さっぱりっすよ。自分にはなんで操舵室を目指してるのかわかんないっす。みんないきなり止まるからイベントなのはわかりましたけど……その後、モブリも出て行っちゃいましたから」


 なるほど、イベント中は関係ない人にはただ佇んでる様に見えるのか。でもそこに居るNPCはイベントと連動して動く。


「てか、それなら聞けよ。わからないままだなんてイヤだろ?」
「そうっすか? セラ様があんなに生き生きしてるなら問題ないっすよ。自分はあの人信じて……って何言わせるんすか! あはははは」


 何なんだ一体? いきなり笑い出しやがって、その胡麻みたいな目じゃ笑えないっての。あれかな? セラにこき使われすぎて、その感覚が染み着いちゃってるのかな? 
 哀れな奴だ。


「で、どうなってるんすか?」
「結局聞くのかよ。信じてるんじゃ無かったのか?」
「信じてまっす。だけどやっぱり知りたい気持ちはあるっすよ。ただセラ様は教えてくれないだけっす」


 それは胡麻の様な目を細めて言うことだろうか? 嬉しそうに何故か語ってるけど、聞いてるこっちは悲しいぞ。
まあ、そんな悲しいノウイにはちゃんと教えてやるけどさ。


「とりあえず状況説明だけな」
「うっす」


 それ以上しようがないし。僕は操舵室を目指す間にさっきのイベントの事を教えてやる。


「なるほど、それで操舵室っすか」
「ああ、多分そのクリューエルって人も飛空挺に乗ったんだろう。でないとあのスピードはあり得ないし。通信でも使わせて貰う気なんじゃないの?」


 それで向こうの船と連絡を取って、あわよくば確保とかね。ある意味ここは逃げ場なんてないし。なんてたって空の上だからね。
 連携が出来れば袋の鼠も同然だ。このまま行くと、そのクリューエルって人と会えそうだけど……一体どんな人なんだろう。ここまで必死に成って追う重要人物ってさ。
 気になる……このイベントでも重要人物っぽいし。


「知ってますかテッケンさん?」


 僕は沈黙を続けてたテッケンさんへ話を振った。やっぱりモブリの事はモブリであるテッケンさんへ聞くのが一番だからね。


「クリューエルかい? まあ名前だけなら知らないモブリはいないかも知れないね。なんてたって国のミッションがあるくらいだし、ちゃんと冒険をしてれば何度か聞く事に成る名前だよ。
 でも……誰も見たことはない。イベントでも言ってたけど『箱庭』と呼ばれる場所にずっと隠されてたからね。でも今回は、遂にその姿を拝めそうだ」


 わくわくした顔に成ってるテッケンさん。確かに、これは重要だよね。誰よりも一足先にってのは誇らしげになれるし、関係が深い場所の事なら尚更だ。
 まあでも、最近は僕の周りで名前だけってのが多いんだけど……テトラもそうだったし、今度はクリューエル。その内もう一人の神のシスカも現れそうじゃないか?


 僕の読み的には、このクエストの最後等辺にそういうのがあってもおかしくないと睨んでるんだけどね。だってそうだろ?
 テトラとシスカは対になる存在。いがみあってたとしても、求めるのかも知れない。それに邪神が誰かの為って言ったら、そのくらいしか……テトラとシスカ……案外僕的にはその響きは優しく響くんだよな。
 ドガンと蹴り破る様な勢いで甲板に出る扉を開いたセラ。するとそこでもう一度イベントが入った。




「ちょっとどう言うこと!? 向こうの船に連絡出来ないって、そんな事ある分けないでしょう? しっかりやりなさよ!」
「そ、そうは言われましても、こちらから何度も呼び出しているのですが何故か反応せず……」


 ミセス・アンダーソンの剣幕に押されている機長であろうエルフ。なんだかシュールな光景だな。自分よりもずっと小さなモブリに頭を下げてるでっかいエルフってのがさ、とってもおかしく見える。
 その時、若い船員が計器を見てる手を止めて報告する。


「機長! 向こうの船、高度が下がりつつあります。このままでは墜落する可能性が!」
「な、何だと!? 一体何が……どうしたと言うんだ?」


 震える機長の声。するとそこに別の計器の前に座ってる船員が報告する。


「向こうの船の周りに、大量の熱源を関知できます! これは……まさかモンスターでは?」
「なっ、そんなバカな! このルートは安全が保証されてる道の筈だぞ」


 更に慌てふためく船内。でも安全が保証されてるってどういう意味なんだろう? 何度も検証したって事なんだろうか?
 でもLROには空を飛ぶモンスターだって無数にいる。今回は運悪く、そんな奴らに見つかったとか? でも……きっと偶然じゃないだろうな。
 そもそもイベントだし。苦渋の顔をしてる機長。そして全員に指示を出す。


「全員に次ぐ、船を直ちに反転させろ! この船はノックスへと帰還する!」
「ちょっとお待ちなさい! 見捨てると言うのですか!? そんな事は許しません!!」


 帰還を決めた機長へと詰め寄るミセス・アンダーソン。だけど今度の機長は譲らなかった。


「おわかりくださいミセス・アンダーソン。このまま行くとこの船も敵と接触する事になります。そうなれば奴らにとってはみすみす飛び込んできた餌なんですよ。
 私だって助けれる物なら助けたい。ですが、この船にはろくな武器は搭載されていません!
 それにその武器は意味がないと、今まさに襲われてる船が証明してますよ」
「そ、それでも行きなさい! あの船には亡くしてはならないお方が乗ってるのよ! それがどういう事かわかりなさい!」


 どちらも力の限り怒鳴ってる。譲れない物がそこにはあった。ミセス・アンダーソンはクリューエルという大事な存在。そして機長はプロ意識って奴だろう。


「なんと言われようとも、このまま進む訳には行きません。なぜならこの船にお乗り頂いてる皆様を無事に送り届ける事が自分の使命だからです。
 お客様を誰一人として危険に晒す訳には参りません。私共にとっては、御乗船頂いた皆様の命、全てが大切なのです」


 機長の言葉に、言葉を飲み込むミセス・アンダーソン。弱々しく見えてた機長が、今は格好いい。渋いダンディーなオッサンに変わってるようだ。


「大丈夫です。既に二カ国に連絡しています。直ちにも武装船団が出発するはずです」
「それで……間に合うの?」


 俯くミセス・アンダーソンのそんな言葉が響く。そんな彼女に機長はこう答える。
「間に合うと……信じるしか我々には出来ません」
「いいえ……この船なら確実に間に合うのよ。確かに貴方の言葉は正しいわ。だけど――」


 その瞬間、護衛二人が動く。そして機長にその武器を突き立てた。


「な……何の真似ですかミセス・アンダーソン?」
「ミセス、私も同感ですね。思わず動きましたけど、これは確実に国際問題になりますよ」


 武器を突き立てられた機長は震える声を絞り出す。そして武器を突き立ててる側も「やっちまった」みたいな顔だ。
 だけどミセス・アンダーソンは強気に突っ走る。


「そんな事は今は微々たる問題よ。あの方を亡くす事は世界の危機よ! 命の価値が人それぞれなんて言う気はないけど、あの方はダメ。
 アルテミナスだってシスカ信仰やってるでしょ。これは宗教問題よ! よってこの行為は神の名の下に正当です。私の指示に従って貰います!」
「それは流石に無茶が……」


 護衛にまで突っ込まれるミセス・アンダーソン。確かにちょっと無茶な理屈だろう。そりゃあ世界最大宗派だし、その影響力は絶大なんだろうけど、その力を乱用しちゃいけないだろう。
 でも、そこまでやる程って事でもある。


「いいからやりなさい! 反転は中止。全速力で攻撃を受けてる船の救出に向かいます!」
「お、お待ちくださいミセス・アンダーソン!! 冷静になって!! この船で飛び込んでもどうにも出来ません! 死にに行くような物ですよ! そんな事……機長としてやらせられません!!」


 武器を突き立てられてるにも関わらず気丈にそう言い放った機長に、部下の船員達は感動してた。
「機長!!」「機長!!」
 と、部下達の涙混じりの声があふれ出す。だけどミセス・アンダーソンも引きはしない。このおばさん、とんでもない案出してきやがった。


「貴方達はこの船に戦力が無いから、だから救助にはいけないと?」
「そ、その通りです。このままみすみす救助に向かえば、こちらの船も危なくなります」


 するとミセス・アンダーソンは操舵室から外が見える位置に行く。そして甲板を見つめながら、不敵に笑ってこう言った。


「戦力なら足せるわよ。この船には冒険者がわんさか乗ってるじゃない」
「貴女は! ……ですが、それは向こうも同じだったはず。それでも……」
「モチベーションを上げればいいわ。私にはそれが出来る。進みなさい。反転は許さない。今この時より、私が緊急ミッションを告げます!!」


 ミセス・アンダーソンの決意の表情と言葉でイベントは終了した。そして直ちにその報せが入った。甲板に出た僕らだけじゃない、多分この飛空艇に乗り合わせたプレイヤー全員にその報せは行った。
 現に目に映る範囲のプレイヤーのウインドウも、全く同じタイミングで開いたんだ。


「おわ、なんすかいきなり? 緊急ミッションの通知? 目的はモンスターに襲われてるであろう飛空艇からの救助活動? えええ?」


 大概はこんなノウイみたいな反応してる。何がなんだかわからないって感じだな。だけど僕達は違う。


「周りまで巻き込むなんて、やるわねこのミッション」
「ななななんなんすか? 自分にも説明してくださいっすよ~セラ様~」


 面白そうな顔をしてるセラとは反対に、ノウイは情けない声を出してセラに近寄った。だけど直ぐに足蹴にされる。


「うるさい。アンタはミッション内容通りの事をやってなさい!」
「うえ~、自分戦うのは苦手っすよ。戦うんなら隠れときたいっす。強制参加型だけど、自分なら一回も戦闘をしないで乗り切る自身がありまっす!」
「アンタそれはどうよ……」


 残念そうな目でノウイを見るセラ。まあでもノウイはそういう奴だろ。寧ろそれがノウイのアドバンテージだ。誰にも捕らえられない回避能力。それが武器。
 まあ、それだと何も得れないんだけど、凄くはあるんだよ。それに一人だけ蚊帳の外じゃ可哀想だ。他の無関係な人達はどうでもいいけど、まがりなりにも協力してくれてるんだからな。


「ははっ……凄いじゃないかそれは。それにセラさん。あんまりノウイ君を無碍にしては駄目だよ」
「おお! そうっすよねテッケンさん! 流石貴方はわかってる!!」


 テッケンさんの優しい言葉に調子づくノウイ。そんなノウイに明らかにイラッとセラは来てるよ。


「どういう事ですか? そいつが役に立つ場面は限られてますよ」


 そいつ呼ばわりされてるノウイ。だけどノウイはそんな事には全然構わないようだ。神経が太いんだな。するとテッケンさんが爽やかな笑顔で言葉を紡ぐ。


「はは、だからこそ今やる気を削いじゃダメだよ。今回のミッションでは彼のスキルが役に立つ。だからおだててやる気にしよう。
 死ぬ気で働いて貰うんだ。逃げるなんてもってのほかだよ」
「テッケンさん!? 貴方は自分の味方じゃないんっすか?」


 テッケンさんの発言に一番驚愕したノウイが、勢い込んでそういった。まあ確かに驚く事言ってたけど……テッケンさんがあんな事言うなんて珍しい。


「はは、今回はそう……逃げちゃダメだ」


 親指を立ててそう言い切るテッケンさん。良い笑顔を作ってる。するとセラがノウイの肩をがしっと掴んで意地悪く微笑んだ。どうやらセラのSっ気に触れたようだ。


「そういう事なら、楽しそうじゃですね。ねえノウイ、騎士が敵に背中を向ける事はしないわよね?」
「ええと、でも誰にも得手不得手があるわけで……自分はただ単に戦闘タイプじゃないってだけっす。だから騎士の誇りも薄いっていうか~」


 必死に言い訳を考えてるノウイ。頑張るんじゃなかったのか? 初っぱなからこれじゃ、ちょっと考える必要があるんじゃないだろうか?
 すると無駄な抵抗をし続けるノウイに、セラが面白げにこう言った。


「誇りが薄い? なにそれ? 反逆? なんだかんだ言ってないで働きなさいよ。アンタが使える場面はそう何度もこないのよ。
 だから貴重な活躍の場を逃さない事。それともなに? 私の言うこと聞けないとか?」


 するとその言葉を聞いた瞬間、ノウイはセラの手を取って片膝をついていた。


「ノープロブレムですよ! まあ、セラ様の命令なら仕方ないですね。反逆なんてそんな……国に逆らっても、せ……セラ様にだけは……」


 なんだか途中から急にモジモジしだしたノウイ。早々にセラが手を振り解いたにも関わらず、同じ態勢のままでなにやら一人でやってるよ。
 端から見てると、心配しちゃう光景だ。大丈夫かあいつ? 主に頭のねじ部分。それにせめてどんな事させられるか位は聞こうよ。セラもセラで、死にものぐるいの所だけで乗り気に成ってて、肝心の内容は全然テッケンさんから聞いてないし。
 僕はたまらずその輪の中に加わるよ。


「まあノープロブレムなのは良いけどさ、何やるかは聞けよノウイ。で、実際どういう事なんですか? ノウイのスキルが今回のミッションの役に立つって?
 ノウイのスキルって言うと『ミラージュコロイド』ですよね?」


 僕は呆れた様な視線をノウイへ向けた後、真面目な顔してテッケンさんへと向き直った。ミラージュコロイドはノウイだけの特殊なスキルで、鏡間を超高速で移動出来るって代物だ(確かね)。
 あれは確か、鏡間なら空間を越える……とかじゃなかったよな? 前の戦いの時は結構助けられたけど、詳細はよくわからない。
 すると僕の質問に、頷きつつテッケンさんが質問の答えをくれる。
「そう、そのミラージュコロイドなんだよスオウ君。今回のミッションは人命救助だ。多分モンスターを倒しつつ、僕たちは落ちかけてる飛空艇に乗り込むことになる。
 そして見つけだしたNPCを片っ端からこの船まで安全に運ぶんだろう。だけど……それは普通に考えたらかなりハードルの高いミッションだ。
 時間制限もあるだろうし、何人いるかわからない人達を救助なんて……それに我々には見逃したらいけない一人がいる。
 だけど誰もその姿を知らないんだから、あくまで全員救助が目標なんだよ。船が地面に落ちかけてる間に、そんな状況でモンスター相手に一体一人何人確実に助けれるだろうか?
 考えてみてくれ」


 テッケンさんの言葉に、僕達はそれぞれ頭を抱え込む。確かに船が落ちる前にって事は、それがタイムリミットに成りそうだな。
 でも数は乗客リストとかあるだろし、ミッション自体が始まれば、全員の数と、助けた数が随時更新されるとかも考えられる。
 問題は何人確実に助けれるかって事だな。一人が一人助けるなんて限らない。大体モンスターがいるなら、パーティー組むのが普通だし、それなら一パーティーで守りきれると判断出来る数になるよな。
 一パーティーが五人(まあ、五人で組むかは人それぞれだろうけど)そして大体僕が見た限りでは二十人位のプレイヤーが居たはずだ。


 それなら僕達を入れて、最低五パーティーって事か。確かに安心できる数じゃない。何人の救助者が待ってるかはわからないけど、四・五人って事はきっとない。多分二桁の前半位は……そうなるとギリギリ? いやキツいな。


「かなり大変だろうね。それに結局僕達は誰一人見逃せない。その重要人物の名前はわかってるけど、次へ進む条件がミッションの完全クリアって可能性だって結局あるし。
 一人だけを優先的にってのは出来ないか。でも、ノウイが居ればそこを確実に持っていけるって事?」
「勿論」


 きっぱりと断言するテッケンさん。その顔は自信に満ち溢れてるよ。とうの一番大変に成りそうなノウイは既に青い顔してるけど、ここまでテッケンさんが断言するなら期待できる。
 テッケンさんは今までその期待を裏切った事がないからね。ノウイには早速だけど、頑張って貰う事にしよう。僕達がテッケンさんから端的な説明を受けてる間に、飛空挺は速度を上げて空を走っていた。
 多分あのおばさんが強引にまたやったんだろうな。そして物の数分でそれは見えてきた。やっぱり型はこの飛空挺と同じ……だけど今まさに廃船にされる様な勢いで攻撃を受けてる。


 元々の夜の冷たさ、でもそこに別の冷たさが混じってる。モンスターどもの冷たい殺気とでもいうのか、そんな物。一瞬黒い雲にでも覆われてるのかと思ったけど、違うんだ。
 あの船を包む黒いの全部がモンスター。辛うじてまだ飛んではいるけど、確実に高度は下がってる。船を近づける事も難しそうな状況。だけどその時、聞き覚えのある声が飛空挺に響きわたる。


【艦首主砲用意】


 その言葉に僕達は思わず船の先端へ駆け寄った。すると船の船首部分が開いてるじゃないか!


「スゲーなこれ」
「こんな武器があったとは……」
「私もこれは初めて見ます」


 僕だけじゃなくみんなが驚いてる。それに他のプレイヤー達も集まってるし――そして次に言われるであろう言葉が全員わかってるから、何の相談もなく僕達はLROというゲームで繋がった。
 そう、僕達はみんなで一斉にこう言ったんだ。光を溜に貯めたその砲台が一際輝いた瞬間に、その言葉は空に木霊する。




【「「「発射ああああああ!!」」」】




 金色の閃光が船の周りに集ってた敵を消し炭に変える。そしてその開いた部分に船体が入った。近づく二つの船、飛び移れるかどうかの距離で合図は出た。


『ミッションスタート』

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