美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H679

私は星の直上にいる。そして傍らにはアーミュラの監視のもと、ついにタイムデスケーションを発動させるときがきた。そこそこ長い時を待たせてしまったね。タイムデスケーションも実は結構ぼろぼろである。その発動をいつまでも遅らせてると壊れそうな所まで引っ張ったね。

 とりあえず応急処置はしてたけど、間に合ったからタイムデスケーションも本望だろう。

「皆の思いを、今度こそ受け止めてあげるよ」

 もうこぼさない。その思いを私は胸に抱く。なにせ寝て起きたら全てが手遅れになってるなんて軽いトラウマだよ。あれに後悔がないなんていえないよ。さすがの私にもね。だからって訳じゃないけど、ちゃんとやり直す。私はこのまま神にとして生きていけば、それなりにいい感じに人生というか神生を謳歌できる気はする。

 でもずっと引っかかると思うんだ。なにせ今の私が居るのは、私だけの力ではない。それなのに私だけが幸せを謳歌してるのは……ね。

(私はわがままだから……わがままだから楽に死なせたままになんかさせてやらないよ。皆を迎えにいって、そして皆にはもっともっと苦労して貰わないとね)

 私の勝手な理論で生きながらせてあげよう。大きくなるタイムデスケーションの発動陣。それが星を包み込む。タイムデスケーションから溢れる光が星を包み込み、光に埋まっていく。それと同時に、アーミュラが星とその範囲の宇宙を封印処理をする。何故にこんな事をするかというと、過去に戻る対象を指定してるからだ。

 星だけで良いのかと思ったけど、アーミュラは星とその周囲の見える範囲の宇宙も巻き込んでくれるらしい。実際宇宙に出るって事はもう無いと思うけど……先に宇宙で色々とやってたから、それを再現するみたいだね。

 そこまでして……過去の私達の軌跡をちゃんと再現しないと過去に戻ることにならないから、私達が生きて影響を与えた範囲は封印指定くれるらしい。そして私たちは、完璧に隔絶させた小さな星と小さな宇宙でやり直す。

 過去へと星を戻さないといけないから、タイムデスケーションに記憶された記録を元に星の形を……姿を当時のものへと変えていく。これは私がやってる。いや、タイムデスケーションの機能としてあったけど、まあそれは神が作った魔法ではないからね。完璧ではない。そもそもがタイムデスケーションは未完成というか、賭けの様な魔法だった。タイムデスケーションは思いを集めて発動する。

 私の経験と思い、それらを食わせて星の記憶を上回った時、発動して過去へと戻る……という変な発想の元の魔法だ。曖昧と言って良い。これを作った奴は間違いなく天才だと思うけど、元々発動するかは賭けだったと思う。

 だからこうやって私が神として、足りない部分を補ってる。星をあの当時に戻して、そして世界樹がそびえ立つ。

「さあ、いきなさい」

 あの当時を再現した星へと、私は私とそしてアクトパラスとゼンマイの素体を送りこむ。さてと、リベンジマッチを始めよう。

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