美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H675

「勝負って……」

『貴様が上下関係を最初から付けてないからそういうことになる。魂の格というのは重要だからな。そういう前提条件は魂を分ける前に予めやっておくべき安全策だ。魂を分けたからといって想定通りに行くわけではないからな』

(そういう事は早く言ってよ)

 遠くから高みの見物をしてるズラララバライトはある意味でこの状況を笑えるだろうが、こっちは面倒極まり無いよ。たしかに考えてみたらこんな自体になることはちょっと考えればわかったかもしれない。

 なにせ自分の魂から分割するのだ……それはそれは格が高くなるのはそのとおりだよね。でも私的には自分の思いとかそういう諸々を共有してるって勝手に思ってた。つまりは私と同じ思いの奴が出来るだけ……ってね。

『考えても見ろ。お前は本体だ』

(当たり前だね)

『だが貴様の考えの場合、お前が作ったやつも本体だと思ってる』

(そうなる……ね)

『その場合、貴様は貴様が作り出された存在だということを認められるか?』

(認めない……かもしれないね。なにか明確なそんな証拠とか、そういう元から私自身がそういう存在だとわかるように植え付けとかしとかないと……)

『そうだ。作られた存在は作られた存在だと自覚させとかないと、役目を終えた時に消えることを許容できないものだ。自身が本体だと思ってるならなおさらな……貴様はそいつをいつまでもそのままにしておく気はないのだろう?』

(そうだね……なにせ私となるか見てみただけだし……)

 ズラララバライトの言う通りにこの『私』はそんなに長く存在させておく気はなかった。けどそっか……こいつ的には『私』なんだよね。それなのに勝手に消されるかもしれない? そんなの確かに『私』なら絶対に受け入れられることはない。だって私はこんな可愛くても生き汚いからね。見た目は勿論スーパー可愛い私だが、生きるためには可愛くない事だってヤることはあるのだ。だからこそこうやって力だって求めるわけだからね。

 本当に可愛いだけで行けるのなら、実際力なんてのは必要ないんだし。この問題は、私が私に私が偽物――という植え付けをしてなかったからってのが納得できたよ。

『魂とはいくら自分から分けた自分の分身だとしても、体を得て、自分とは違う経験をそれなりの時を経ると変質していくものだ。なにせ魂とは柔軟なものだからな。だからこそ、生み出すものには様々な安全策をしておくものだ』

(もしかしてそれって……オリジナルが生み出した偽物? にでもなり変わられたりしたこと有るってこと?)

『そうだな……無いとはいえない』

 うわぁぁ……と私は思ったよ。

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