美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H671

ブシャー!!

 とあふれる血。何かが体から抜けていく感覚。まあ血なんだけど……それ以外には考えられないからね。でももしかしたら魂とかも抜けていこうとしてるのかもしれない。普通ならこんな下半身と上半身を真っ二つにされたら死ぬしか無いからね。

 そういう常識が私に死をもたらそうとしてきてるのかもしれない。神なんだから死ぬ訳なんて無いのに、こういう生命体だった時の名残というか、常識が神を殺す……ことだってあるかもしれない。

 実際あるとズラララバライトは言っていた。だから速く生命体だった時の常識は捨てたほうが良いらしい。本当ならこんな傷、神にとってはどうってこと無い。肉体が受けるダメージなんて、エネルギーが潤沢にあれば気にする必要なんてないからだ。

 でもこんなに血が出てたらついついね。思わず上半身も下半身もドサッと転がりそうになる。いや、分かれてるのにどっちも立ったまま……てのはおかしいけどね。

「こうなっちゃうと美しさはないね」

 てかグロい。私は自分の下半身を見てそう思う。内蔵とかも勿論バッサリいってるからね。そして真っ赤に染まった自分の下半身はとてもグロかった。いつもなら惚れ惚れする自分の体なんだが……自分から離れるとこんなに愛着がなくなるとは。そんなふうに観察してる上半身の自分はふわふわと浮いてるよ。内蔵が下にそれこそドバドバとぶちまけないように力で覆って飛んでる。

 まあ飛んでるというよりも浮いてるというような表現がしっくり来ると思うけどね。

「ラーゼ様、その姿はおいたわしい。出来るなら早く回復を」

 そんな事をドラクが涙ながらに訴えてくる。イケメン状態のドラクにそんな涙目で訴えられたらこの面白い状態を堪能してらんないね。いや斬るまでは恐ろしかったんだけどね。やってみたら案外……って感じだった。まあ痛みを消してるってのも有ると思う。

 でもこの状態で平然としてるって人間だったら考えれないことだろう。本当にどうやらもう、私は遠くに来てしまったらしい。今実感したよ。

「私もこの状態だと美しくないからね。よっ!」

 私はエネルギーを集めるよ。そして光に包まれて体を再生した。実際エネルギーを消費する量的には、切った下半身とつなげるのが一番楽なんだ。けどそんな事をしたら自分の体を2つにした意味がない。とりあえずメインの方を先に再生して、次に下半身から上半身を生やすようにして、もう一人の私……というかもう一人の私の体を作り出した。元の自分の体の細胞を増やすようにして上半身を再生させたんだから、この体は全くもって私と齟齬がないはずだ。

 こんな美少女の体が2つもあるなんてね。どっかに飾っておいてもいいかもしれない。勿論裸ではなく、お気に入りの服を着せて展示するってのもありか? そんな感じに考えてしまうよ。これも全て私が美少女すぎるのが原因だね。

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