美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H670

「さて、やりますか……」

 私はドキドキしてる。なんたって自分自身を真っ二つにしないと行けないんだよ? 縦に斬るか、横に斬るかで悩む……なんてアホな事を考えてる場合じゃない。実際横しかないけどね。流石に神の私でも縦に切って脳にダメージを受けるのはまずいような気がする。

 いや神は生物ではなくて存在なのだとわかってるけど、それは頭で理解してるだけである。私は強くなってることは自覚してるけど、実際今までと何が変わってるのか……そこはよくわかってない。

 強くなってる時間だけ、そして自分の中に超膨大なエネルギーがあるのはわかるってだけだ。私という存在のどこが中核なのか……神はそれこそ余裕あるエネルギーがあれば、それこそどんな状態からでも復活できるって聞いてるけどさ……それってそもそもがそういう力の使い方をしてるんだと思うんだよね。

 なにもしなかったらきっと何も出来ずに死ぬと思う。きっと復活できるような仕組みを神はそれぞれ自分にかけてるから、余裕があるエネルギーがあれば危ない時には勝手にそれが発動する……とかだと思う。

 それで言うなら、私はまだそれをやってない。だから回復魔法を自身で使わないといけないわけで、そうなると頭にダメージが有るのはやばい。まあここにはドラクも居るから回復はしてくれると思うけどね。

「こんなにきれいなのに自分で傷つけるなんて……」

 私は豪華な鏡を作り出して自分の姿を映してる。全身を映せる鏡で、枠は白く、宝石を埋め込んで綺羅びやかにしてる。私を映す鏡だからね。下手にみすぼらしい鏡で私を映すと鏡が申し訳無さで割れたりするじゃん。

 私は神々しい美しさをしてるから、それに耐えられるだけの鏡が必要なのだ。私は自身の完璧な体にうっとりするよ。白く健康的な肌に、完璧なプロポーション。勿論完璧なプロポーションの議論は色々とあると思う。

 好みは人それぞれだしね。でも私は完璧な比率だと思ってる。胸も括れも腰もそして脚の脚線美に体全体の肉付き……それら全部が合わさって印象と言うか美しさは決まると思う。私の体には一切の余分なところなど無い。手で触れば、ほんのり温かくて、程よい反発。そして滑るような滑らかな肌。

 誰もがずっと触っていたいと思うくらいに気持ちいい。そんな私の体を自分で傷つけないといけないというのが憂鬱なのだ。勿論あっという間に元通りだけど……

「よし」

 私は覚悟を決めたよ。右手の手を二本立てて、そこに力を集める。すると二本の指から光の刃が出てきた。私はそれをお腹のおへその当たりに狙いを定める。まだ当ててない。だってこれ凄いからね。その気になればこれで星を切れるよ。まあそこまでの出力にはしてないが、全ての防御能力を切った私なら簡単に切れる。

 勿論痛覚遮断とかしてるけど……変な汗が……

「ん!!」

 私は強く目を閉じて、光の刃を一思いに腹にあてた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品