美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H669

「どうしたら『私』という存在を再現できる訳?」

『簡単な事だ。より多く、元の部分から利用する。そうすればよい』

「より多く……元の部分から? それって具体的には?」

 私はズラララバライトの言葉にそう返す。だってなんか嫌な予感しかしないっていうか……私の元の部分? その比率を多くするって……私のマナから作るって事じゃないよね? だって私が作った今の素体、いやこの体だって私のマナと集めた材料で作ってる。私のマナが馴染んだほぼ私の体だ。私の魂が入っても、拒絶反応とかない。いつもと違うからちょっと窮屈に感じるが、この体は私が自身で作っただけあって馴染みやすいんだ。でもそれでも……だよね。

 それでも、『私』という存在を完璧に再現はできてない。でもどうやらズラララバライトが示したやり方なら、『私』という存在を完璧に再現できるらしい。

『貴様は神だ。生物ではない。存在だ。だからこそ、その肉体はマナで出来ている。だからこそ問題はない。貴様を半分にして、そこから再生すれば二人になるだろう?』

「それって私を2つに分けて回復させるって事?」

『そういうことだな』

 なかなかにズラララバライトは猟奇的な事を言ってるよ。だってまずは私を真っ二つにしろってことだからね。たしかに私は神だ。でもかなりこの肉体に引っ張られてる所あるとおもってる。てかきっとそれが原因で私を再現できてない気がする。でもこの体は思い入れがあるからね。てか真っ二つって……確かに私は神でマナを供給できる限り死ぬことはない。肉体的な損傷というのはそこまで怖いことじゃない

 神の戦いの焦点はどうやって相手のマナを削り切るかになるらしいからね。いくらチリにしようと、マナが残ってるとそこから再生できるのが神という奴らである。実際塵になったこと無いからそこから再生できるかは知らないんだけどね。

 流石に塵になろうとは思えないし。

「ううーん……」

『どうした?』

「爪とかじゃ駄目?」

『それでは意味は無いとわかってるだろう。その比率では貴様を完全に再現することは出来ない。その体を元にしたいわけだからな』

「それはそうなんだけど……」

 やっぱり自分で自分の体を真っ二つにするって……なかなかに勇気がいるよ。てか普通にやりたくないし。でも爪とか指とか……それこそ腕一本とかでも多分足りないんだろうってのはわかる。この体だって、私的には渾身の出来なのに、私を再現はできてないのだ。なら、元の私の体をベースに複製したほうが良いってのは理屈的にはわかる。

 作るというよりも再生で行けるから多分その体の機能だって再生した両方の体に現れるはずだ。かなりの荒療治だけどね。こんなの体の再生能力に自信があるやつか、神にしかできないよ。まあ私は神だけど。

「こっちの体のままでいいかな?」

 元の体に入ってやるのはちょっと精神的にきついというか……なのでこっちの体から私の体を一刀両断すれば……とか思った。そっちのほうがまだ抵抗少ないと思う。

『それで問題なく再生できるのならそうすれば良いかもな。だがその体、神ほどの力はないぞ』

「そうだったぁ……」

 こっちの体は当時の私を再現してるから元の体ほどの力はない。となったらやっぱり一度戻るしか無いか。私は観念したよ。しょうがない、これも私という存在が特別な……いやスペシャルなせいだからね。

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