美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H665

私はとりあえず素体を一体作ってみた。人を一人作るくらいの素材はたくさんある。なので肉塊……ではないけど、私の力で必要な物を空中に集めて、力を注ぐことで強い光を放つ。ぐにゃぐにゃコネコネとして、人の形を作っていき、私は自分のスタイルを再現する。最初はなんか泥人形みたいな気持ち悪い色をしてたけど、力を通して行くと、肌色も私の色と同じになって、肌もザラザラだったのが滑らかになっていく。人としての機能を再現して、肉体的にはこれでちゃんと生命活動をしてるようになっただろう。

「私の体の機能をそのままコピーしてっと」

 あの頃の自分を再現しないといけないから、力も与えるよ。あとは魂を入れれば、この体は目覚めることだろう。

「全く同じ私を作るつもりでいいんだっけ?」

『それでは情報量が変わるだろう。過去の当時の記憶だけを移植するべきだぞ』

 ズラララバライトはそんな忠告をしてくる。まあそうなるよね。だって今の私とあの頃の私では持ってる知識がだいぶ違うし。けど今の知識って別に過去に活用できるかって言えばそうじゃないと思うんだよね。

 だって単純に神としての力を行使するには過去の力では足りないしさ、出来ることは無いと思う。

『貴様の場合はただ単純に面倒なだけ……ではないか?』

「うぐ……」

 その通りなんだけどね。わざわざ過去の記憶だけを選りすぐって渡すのが面倒なだけだ。だってもうそこそこ昔だし……実際あの頃の記憶ってどこまでだっけ? っていうね。そんなにおぼえてないのだ。

 

「私の記憶を一部封印した私って出来ないかな?」

『別にそれでも良いとは思うが……』

「だからこの子はまずは別人格でも入れてみようかな?」

 流石に勝手に輪廻から引っ張ってきて魂を入れるってのはやめておいた。その人にもその人の人生というか……生を選ぶ権利はあるだろう。ある意味私に遊ばれるのは魂にとっても幸運だと言えるかもしれないが……とりあえずは簡単な感情を乗せた疑似魂を体に与えてみる。浮いてる素っ裸かの私がゆっくりと目を見開く。

「おはよう」

「おはようございます。ご主人さま」

 私が私に向かってご主人さまとか……なんかとっても変な気分である。けどここで早くも気づいた。私をコピーして作ったはずのこの体だけど、魅了的な力なくないってね?

「美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く