美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H658

「それじゃあ、二人の力の一部を頂戴。ほんのちょっとでいいわ。その因子がほしいから」

「因子?」

「あっ、気にしなくてもいいよ。ただそれで巻き戻したあの星にあの時のあんたたちを再現するだけだから」

「貴様が再現するのか?」

「アーミュラでも別に良いけど……あいつはやってくれないと思うし……」

 アーミュラなら私よりも上手くそこら辺出来ると思う。けどあいつはそこまで干渉する気はないだろう。だから私がやるしかない。全く面倒だけどしょうがないよね。面倒だけどね。

「まて、貴様はどれくらい我々を再現できると思ってる?」

 なんかゼンマイが面倒な事を言ってきたな。気づいたか? アクトパラスは脳筋だから面倒な事を自分がやらないとわかったらさっさと渡してくるのに……ゼンマイがそこら辺バランス取ってるんだろう。

「どれくらいっていわれてもね。力なら、あの当時を再現するのは難しくないし」

 今の私は星に居たときよりも圧倒的に力がある。だから当時のアクトパラスとゼンマイを同時に再現するくらいはどうってこと無い。けどゼンマイが危惧してるのはそんなことではないだろう。

「さっき因子とか言ってたな」

 そういうゼンマイのやつはその試験管を逆さにしたような容器の中の大量の目がぐるぐる廻ってる。そして一斉にこっちをみた。その目止めてくれない? 気持ち悪いから。けどとりあえずなんでもないような平静を装って私は答える。

「それが?」

「貴様は今、我々を再現すると言っていた。だが貴様は我々の戦いを見たくらいでしかないだろう。それで我々の力をどこまで再現できる? 不完全な筈だ。それで過去に影響がないのか不透明。それをクリアできるのが因子というものだとするなら……我らの秘匿する情報がその因子というやつに含まれてる……それかそれから読み取ることが出来るのではないか?」

 ドキン……とちょっと心臓が跳ねた。こいつ……本当に下手に頭いいやつはイヤだね。みんなアクトパラスくらいがちょうどいいのに。因子はその者の情報を持ってるからね。だからこそその因子に影響された要因が宇宙に広がるとイレギュラーが生まれるのだ。

 つまりはどんな小さな因子でも情報がとれる。勿論小さな因子ではそこまでの情報はないだろうけどね。けど、私も長くこの二人とともにいるが、二人の力の一部しか本当にしらない。てかゼンマイにいたってはほとんど今てもわかってない。だからこそ因子を得られれば多少でもゼンマイの情報が得られる――と思ってたのも事実だ。

「過去に送り込む自分は我々で用意してやろう」

「そんなお手を煩わせること無いって」

「貴様が再現するよりもより完璧な状態になるぞ? そっちの方が過去に不都合がないはずだが? なにか都合が悪い事でもあるのか?」

 ぐぬぬ……こいつ……そう言われたら受けるしか無いじゃん。私はせめての反撃にとびきりの笑顔て「ううん! ありがとー!!」とキュピキュピな声で言ってあげた。

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