美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H655

「今更あの宇宙に……いやあの星になんの価値がある?」

 そんな事をアクトパラスは言ってきた。私は別にアクトパラスに変態性を目覚めさせるためにここに来たわけではない。そう、元々がタイムデスケーションを発動するために必要な物を得るために来たのである。

 踏んづけに来たわけじゃない。罵声を浴びせに来たわけでない。まあけど、交渉を有利に進めるカードを一つ得た……という意味では良かったけどね。

「別にアンタ達は価値なんて感じなくていいよ。私には価値があるってだけだもん」

「確かにあの星には変な魔法の名残があったな」

 ゼンマイはそんな風に考えながら言う。そして更に言ってきた。

「それをどうしようというのだ? 貴様は何をしたい。もしもその星の時間を戻したとして、そして歴史をやり直したとして、貴様とその助けた奴らではもう同じように歩けることはない。そもそもが別の宇宙の別の星。その星の生命体は、その星でしか生きれないぞ」

「そんなのわかってるわよ」

 別にその星の生命体がその星だけで生きれないってわけではないけどね。たしかに自身に合うマナはその星にしかないが、人種はそこまでマナに依存してないし、食料と水さえあれば、他の星でもいきれる。

 それにマナだって近くなるようにすればなんとか……マナの本質を変えることはできないが、操ることは多少は出来る。それこそ第1世代は無理でも世代を重ねていけば、肉体は進化を繰り返して適応したりするようになる。そういうものだ。

 まあけど私とあの星のみんなと同じように歩けないってのはそのとおりではある。神とは不老不死である。でも普通の生命体には寿命が存在してる。それに私が関わってのは人種たちだ。その寿命は長くて百年くらい。

 ハッキリ言って神ともなると、百年なんてのはあっという間である。アクトパラスやゼンマイが私のやろうとしてることを無駄だと感じるのは神の視点から見たらそのとおりなんだろう。でもそれは私には都合がいいよ。だってそれってつまりはなんの未練もこいつらはないわけで、私の思ってる通りにしてくれる可能性は高い。もうあの星に関心なんてこの二人はない。

「二人が興味ないならそれでいいわけ。私はあの星にやり残してきたことがある。それを回収して自己満足するんだからね」

「向こうの宇宙に移動するわけか?」

「どういう事?」

 なんかゼンマイがそんな事を言った。私は一瞬何を言ってるのか分かんなかった。だって……神が宇宙の所属を移動する……なんて出来るの? 私たちの様に一つの宇宙に神が複数体いる……ってなると、たしかにそんな事が起きてもおかしくないのかも? よくわかんない。

「美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く