美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H645

タイムデスケーションを私は観察して、どうにかこうにか持たせることにした。あんな複雑で大規模な魔法は実際の所、よくわからない。よくわからないから、私は外から見るだけじゃなく、中からも見ることにした。地上におりて、タイムデスケーションがどんな風に星に繋がってるのか……それを観察したのだ。その過程で色々と僅かながらも、新たなこの星の人達に接触したが……私は情とかそんな物が芽生えないように、ただただ、そっけなく対応したよ。まあまだこの新たな星の生命体はコミュニティとかも形成してない、ただの洞穴暮らしみたいな感じだからね。

「ウホウホ」

 

 とかいう言葉しか喋らなかったよ。てかまだ人間? 一歩手前みたいな? 世界樹が有るんだから人の形の存在を簡単に産み落として、そして記憶やら知識を有る程度与える……ということもできるはずだけど……そこら辺はアーミュラはしないらしい。そこまで急いでこの星を成長させようとは思ってないってことなんだろう。

 まあきっとこの星をまた成長させようと思ってたら、きっと私にタイムデスケーションを発動させることを許すなんてことないだろうしね。もしかしら意図的に成長を抑えてるってのは有るかもしれない。

 じゃあどうやってそんな未開の住人たちと意思疎通をしたのかというと、私は神だからね。思考を直接読み取る事ができる。それでも頭の中身は「おで、あれ、しってる」とかそんな感じだけどね。

 文章ではなく単語の連なりしかないみたいな。それでも私の知りたいことはしれたからね。いちおう新たなこの星の力をタイムデスケーションは取ってるが、やっぱりその力はアーミュラの力なんだよね。

 でもタイムデスケーションが対応してるのはアクトパラスとゼンマイである。そもそもの力が違うから、それがジワジワと術式に負荷をかけてる。だからタイムデスケーションと世界樹の間に私はアーミュラの力をゼンマイとアクトパラスに限りなく似せる術式を組み込むことにした。これで負荷が軽減されるはずだ。

 アーミュラの奴がタイムデスケーションを保つために前にこの星に生えてた養殖された世界樹。その一つを使ってたから、そこに残ってたアクトパラスとゼンマイの力の残滓を使う。アーミュラも使ってたけど、それがとても適当だったからね。それをもっとちゃんと組み込んで、世界樹によって、アーミュラの力をアクトパラスとゼンマイの力に変換させてタイムデスケーションへと流す。

 そして私の力でどうにかできそうな機能は私がやればいいから、壊れそうなところは切り離す。それによって宇宙に記憶をばらまくみたいなのは止まった。力だけではなく、タイムデスケーションには星の記憶が必要だ。アクトパラスとゼンマイが作り上げた時の星よりも多くそして濃い記憶で上書きするためにね。

 それももうある。だから後はバックアップ的にとどめておいてもらおう。そうしないとちゃんと過去に戻せない可能性がある。

 とりあえず神のレベルが上った私にはタイムデスケーションはどうにか出来た。さて、問題はアクトパラスとゼンマイだ。もうこの星にアイツ等は興味なんて一切ないだろう。だから過去に戻すとか聴いても「勝手にしろ」というかもしれない。

 でも神である二人は戻らない。でもあの時の星にはアクトパラスとゼンマイが居る。だから必要なんだよね。アイツラに頭を下げて貸しを作るなんて嫌なんだけど……必要だから仕方ない。

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