美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H643

 私は今、懐かしい星の上にいる。物理的に上……まあつまりは宇宙からその星を見てるわけだ。

「どう、懐かしい?」

「それなりに……」

 その星はかつて私が生きた星だ。覗いてみると、その星はなんか様変わりしてる。いや、違うか、私がかつて生きてた時代の姿になってると言って良い。だって確かここを離れるときって、アクトパラスとゼンマイがこの星を作り変えてた筈だ。世界樹の子供みたいなの一杯生やして、この星全体がなんか世界樹の養成所みたいになってた。世界樹の植林地みたいなさ……確かそんな風になってたはずだ。

 けど今はそんな風にはなってない。元の状態に戻ってるといっていい。世界樹で埋め尽くされてた大地はちゃんと山もあって川もあって起伏が激しくなってる。アクトパラスとゼンマイが支配してた時はどこまでも平面だったからね。

「ここは神を作るための星なの?」

「うーん、まあそういうところもあるよ」

 なんだか煮え切らない感じの答えを返すアーミュラ。なにか他に目的があるのだろうか? 見てみると生命体も見えるね。まだどこも文明……とまでは言わないけど、色んな生命が出来てた。

「あれって、私が時をもどしたら彼等って……」

「彼等は神ではなくて、時間軸上に生きてるからね。勿論、回帰を逃れるすべはないね」

「そっか」

「気になる?」

「別に、だって私に関わりがない人たちだし」

 私は冷めた感じでそう言うよ。まあ実際冷めてるからね。だって別に関わりもない様な人たちにまで、私は気を使ったりしないからね。ソレに実際、神の気まぐれに普通の人が巻き込まれるってしょうがないことじゃん。

 神々の遊びに、地上の人たちは振り回されるしか無いのだ。それが嫌なら、神に至るしか無い。私は神にまで至ったから、失ったものを取り戻すことができるわけだしね。これこそまさに神の特権だね。

「それよりも、ここまで戻してるのに、本当に良いんだよね?」

「いいよ。星の一つくらい私的にはどうってこと無いから。それよりもラーゼちゃんに貸しができる方が大きいよね」

「そんなに大きくない貸しにしといてあげる……」

 とりあえずそんな事を言っておく。なにせこいつに大きな貸しを作っておくと後々が怖い。だからとりあえずはそんな大きくないですよ~って感じにさせないとね。そもそもがアーミュラ自体、星1つなんてどうでもいいって思ってるみたいだし……それなら貸しとしても小さいよね!! そんな謎理論を展開するよ。

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