美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H633

「と、とりあえず魔法はそっちの星で発動していいんでしょ……」

「それはいいけど……でも今のままじゃダメだね」

「どっちよ」

「魔法はいいよ。でも、今のままでやっても彼等に勝つ目はまったくないと思うよ」

 むむむ……夕暮れの海岸でなんか辛辣なことを言われてる。でも私には切り札がある。そうズラララバライトだ。

「私には切り札があるし」

「古龍は駄目だよ。戻った星の過去には干渉させない。改めて言うけど、過去に干渉できるのは、その時にその星にいた存在だけだよ。それが条件」

「そんな後出し……」

「幾らでも後出しできるのが神なんだよ? それが嫌なら、たくさんのこと出来るようにならないとね」

 

そう言ってアーミュラはこっちに来て、私のことをなでなでする。なんか妹扱いされてない? 私はそんなアーミュラの手を振り払おうとする。けど……なんかびくともしないよ。それになんか元気になってきた。

 ナデナデされて元気になるってそんな幼女じゃあるまいし……

「なにかした?」

「疲れてたみたいだからね」

「ありがと……」

 ぼそっと私はそんな風にいうよ。本当は言いたくないが……私はちゃんとお礼が言える女なのだ。

「でもなんでラーゼちゃんは疲れちゃうの?」

「はい? 普通力使ったら疲れちゃうでしょ?」

「疲れないよ」

「うん?」

「神なら疲れたりはしないよ」

「いや……私は神未満だし……」

「ラーゼちゃんは神たり得る力は持ってるよ。一気に最近力増えてるじゃん」

 こいつ……一体どこから私のことを見てるの? 私のこと好きか? 確かに今はドラクが聖杯を稼働してるから私の力がゴリゴリ増えてる。そのおかけで沢山の星を育てることができてるからね。消失しても星があるおかけでどうにでもなる。そしてめっちゃ増えるから、聖杯様々だよ。

「ラーゼちゃんは生命活動と肉体を結びつけてるからつかれるんだよ。神であるなら、マナさえあれば生きていけるし、どれだけ力を使ってもその影響は枯渇するまでは影響なんて出ないよ。神にはあるか……ないかしかないんだよ」

「でもそれって、美味しいものが感じなくなったり、楽しみがなくなったりするやつでしょ?」

 体から何も感じなくなったら、ソレこそ楽しみがなくなってしまう。だってマナだけで生きていけるのなら、美味しいものを求めたりしなくなりそうじゃん。それって人生の楽しみが……ね。私は楽しく生きていたい。いつまでも美しく綺麗で、そして楽しく! が私の理想だからね。人間離れしすぎると、つまんない人生になりそう。

「それは最初から何も知らないからだよ。私は疲れたりなんか全くしないし、マナだけでも生きていれるけど、色々と楽しめてるよ。さっきのお菓子も美味しかったしね。ラーゼちゃんも神なら否定するんじゃなく、神らしく全部を取るくらい欲張らないとね」

 なんかそういうアーミュラがちょっとかっこよく見えて思わず「お姉さま……」とか言いそうになったけど、やめた。絶対にお姉さまとか言わないから。

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