美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H631

「せっかくきれいな海があるんだから遊ぼうよ!」

 そんなことをアーミュラが言うから私達は波打ち際でキャッキャウフフすることになった。二人で水をかけあったり……

「えーい」

 そんな可愛らしい声で、なんかずぼぼほぼぼと渦巻いた水が数十メートルほど立ち上り私に迫ってくる。

「ちょっとおおおお!」

 私は手を掲げて防御するよ。滝のような衝撃が体に走って脚が砂に埋まっていく。こ……これが神々の遊び……キャッキャウフフするのかと思ってたら、そのレベルが違ったよ。

「おおーよく耐えたね」

「なにするのよ!!」

 流石に私だって怒るよ。温厚な私でもいきなりあんなことされるとね。だって女の子が海で遊ぶってなったら、もっとキラキラしてるでしょ。しかも私もアーミュラもめっちゃ美少女である。それこそ宇宙二大美女を名乗っても違和感ないくらいには私達は美女だよ。そんな二人が波打ち際でキラキラしないなんてことある? さっきののせいで私はなんか海の水とは違う嫌な汗出てるよ。

 まあ他人から見たら私が濡れてれば海水だろうと汗だろうと同じだとは思うけどね。

「だってこのままじゃラーゼちゃん危なっかしいからね。そこらへんで観てる彼は教えられないだろうし。ドラゴンは個体によって術式が全く違うんだよね」

 ギクッと思った。アーミュラの奴、ズラララバライトに監視させてるのに気づいてる? まっさかぁ……だってズラララバライトは数万光年は離れてるよ。いや、なにか種があるのか……私には全くわかんないけど……そもそもがアーミュラは自然体過ぎて、どういう風に力を使ってるのか見えない。

 なんかいつの間にかアーミュラの周囲には水でできた魚や、鳥や、そんなのが周囲を飛び回ってる。なにそれ……キラキラしてるよ。

「えい」

「ちょっとおおお!!」

 なんか飛んでる魚や鳥が襲ってきた。チクチクと私の体を突き出した。ちょっと、へんな所突かないでよ。てか地味に痛いし。そしてそれを見て「あはははは」と笑ってるアーミュラ。私こいつ、嫌いかもしれない。

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