美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H628

「なかなか、いい宇宙じゃないですか」

「なかなかですけどね」

 私はそんなことを言うよ。美しいビーチでくつろぎながら、なんか勝手に私の飲み物に捺さってるストローがいつの間にかハートになって絡み合って口つける所が2つになってる。こんなところで宇宙の原理を曲げないでほしい。

 私はドラクに出してもらったジュースを吸うよ。するとそこに顔を近づけてきてそれもチューチューする。

「美味しいですね」

「本当に」

 ニコニコとしてる真っ白な少女。白髪のボブカットで、白い瞳。そして白い水着を着てる。下半身はパレオでちょっとした優雅さを演出してるよ。よく見ると胸を包んでる水着もとても細かく刺繍をしてあって、なかなかに実は凝ってる。年齢は私と同じくらいにみえる。

 でも勿論だけど、彼女は人間ではない。神だ。その背中には光の羽が小さくある。その気になれば、その羽をおおきくもできるんだろう。まあそもそもが羽があるから神ってわけでもないけど。それこそ多種多様な神がいるからね。

「なんか増えてませんか?」

「戻してませんよ?」

「それは流石にイヤすぎませかね?」

「どっちも美少女じゃないですか。お互いの体液交換しましょ」

「何を仕込まれるのかわからない体液交換はちょっと遠慮したいですね」

「ふふ、媚薬しか仕込みませんよ。好きでしょ?」

「好きですけど、それを本気にするほど、私はまだ心許してないです」

「私は自身の宇宙で生まれた子たちをこんなにも愛してるのに。それも神にまで至った子ならなおさらですよ?」

「私は自分の力で神に至ったわけじゃないですよ。負けましたし」

「一発逆転ホームランだったじゃないですか。そういうの好きですよ」

 そう言ってニッコニコの彼女。やけに好意的だね。まあ言葉とおりに受け取るなら、私は彼女の宇宙で生まれたから……子供だと思われてる可能性はある。でもそれなら……あんまり関わって来なかったよね。もうちょっとその姿を見せる……とかはなくても、宗教とかになっててもおかしくないのに、この神、自分の存在とことん消してるからね。

 言葉通りには受け取れないよ。この格好だって、本来の姿なのかどうか……どう考えても私好みすぎる。実際こうやって向かい合ってるだけで、食べたいちゃいって思うもん。

 けどそれがこの神の……私たちが元々いた宇宙の神の思惑だろう。

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