美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H622

この宇宙でも聖杯システムを導入していいとの事。よしよし、これで私の目的にも一歩近づくことだろう。大丈夫大丈夫、ちゃんとアクトパラストとゼンマイの目的にだって近づくと思う。ただ私の方がいい思いするだけだ。

 実際、わたし的には中央とかどうでもいいし、まあ流石に全てを巻き込んで無に帰すのは困るといえば困る。過去に戻ってやり直すって事がほぼ神に近しい今、出来なくても私にもほぼ永遠みたいな時間があるからね。

 勿論、失敗した過去はやり直すつもりだけど、それで今の時間軸がなくなるわけではない。だから今の私も、そして今のアクトパラストとゼンマイも過去に戻るわけでもない。私たちがいたあの星を……あの星だけの時間をちょっちょいっと戻すだけ。

 それでやり直せるわけだけど、それにはちゃんとした手順がある。それは勿論あの星の神……というかあの宇宙の神にそれを認めさせないといけないっていうね。思ったけど星一個もらって神とか宣ってた奴いたじゃん……あいつは実は神でもなんでもなかったんだね。

 今思うと嘘言ってたんだなってわかる。

 星一個程度を管理するなんて神ではない。まあ実際、アクトパラストとゼンマイも最初は星をもらってそれを成長させて力をつけたみたいだからね。私が寝てる間にね。それでちゃんと力をつけて、神として独り立ち……うん? こいつらは二人だから二人立ち? して宇宙を作ったみたいだ。そのときに私も丁度利用されたみたいな? だからまあ私がこいつらを利用するのもいいでしょう。

 なにせ聖杯システムでは元のエネルギーが丸々増える訳で、そして二回目はその増えた分も含めて増える。ということは、どんどん消えて増えるを繰り返して行けば、通常では考えられないスピードで宇宙の総エネルギー量はとてつもなく増える。

 その間に私たちが使う分のエネルギーはどうするんだって話だが、そこら辺は大丈夫。聖杯システムもいつだって稼働してるわけじゃない。あの宇宙。聖杯システムを発明してたあの宇宙ではいろいろとセーフティがあって過剰にエネルギーを生み出さないようにしてあった。まああの宇宙は、別に中央を置き換えたいとかの野心があるわけじゃなかったからね。

 不便ないエネルギーとあそこの神は不感症だったから、その神が文句を言わない程度のエネルギーを生み出せてればよかったんだろう。

 けど私たちの宇宙は違うからね。なんか目標が今の中心を置き換える事がアクトパラストのゼンマイの目標らしく、そうなると常に聖杯システムを稼働させて置く必要がある。まあけどそれは私が予め想定してたことだ。ありがたい。だってたくさんの動いて途方もないエネルギーがあったほうが、些細な差には無頓着になるものだ。

「じゃあ早速、神としての許可を下して」

 私はそう言って二人から権限をもらうよ。そして用意してあった魔法を発動する。これは別宇宙の知識と、そして古龍であるズラララバライトの鱗を使って元の聖杯よりも高性能になった聖杯だ。なにせ古龍の素材を使った聖杯だからね。

 三つの聖杯をリンクさせて、更にはその宇宙のシステムと法則に割り込ませる。それによって聖杯にこの宇宙のエネルギーを注ぎ込む。まずはこの宇宙の全てのマナをこの聖杯に満たさないといけないね。軽く数百年かかるかもしれない。

 まあそんなの神にとっては一瞬である。

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