美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H621

「この聖杯システムで宇宙のエネルギーが増える仕組みというのは……大丈夫なのか?」

 一応宇宙の危機? 的なものは置いておいて、目の前の疑問を口にするゼンマイ。実際なんでこれでエネルギーが倍加するのか……ちょっと考えたら謎だからね。まあ私もそこら辺はよくわかってない。宇宙のバグみたいなものだからね。実際引っ張ってきてるのはそれこそ宇宙の中心のエネルギーみたいだし。

 バレたらそれこそ宇宙の中心を管理してる古龍に突撃されてもおかしくないかもしれない。そうなったらおしまいだね。それが実際ゼンマイは心配なのかもしれない。なにせ流石にアクトパラスとゼンマイでも、古龍には全然敵わないだろう。でもそこは……ね。

「大丈夫だ。それこそ、我は面白いと思ってる」

「全ての古龍が同じ思いならいいのですが……」

「必要かそれが? 全ての神が自身の宇宙の事しか考えてないぞ。宇宙の中心のエネルギーさえも使う……そして中心を超える。そのくらいの気概はないのか? 我ら古龍に怯えてるようでは、それは夢のまた夢だな。

 普通に宇宙を成長させてて、それで中心を超える宇宙になってるところは一つもないぞ」

 ズラララバライトの言葉にゼンマイは少し怒った? なんかそんなふうに思った。私にはアクトパラストとゼンマイの力も入ってきてるからね。多分その影響だろう。なんか感情が読めるようになってきた。

 実際は二人的には私への一方的なパスと思ってるかもしれないが、そこら辺も色々と下剋上を狙うために理解を深めてるからね。

「そうだぞゼンマイ。幾らやってもまともな方法では中心を超えるなんてことは出来ない……その結論は出てたはずだ。その解決策を、奇しくもこいつが持ってきた。それを利用しない手はねーだろ」

 アクトパラストもゼンマイもそこら辺はちゃんとわかってたみたいだね。だって私たちのこの宇宙よりもずっと古い……それこそ、古龍にも引けをとらないくらいに成長してる神だっているだろう。そんな宇宙を育てたとしても、それでも中心の宇宙を飲み込むほどに……それこそ置き換わってる訳じゃない。

 だからこそ、まともな方法でこの宇宙が中心を飲み込むなんて、それこそ夢物語っていうね。それはゼンマイだってわかってるだろう。それに対して、聖杯システムなら、それこそズラララバライトいわく、消失させたエネルギーを中央からぶんどってるらしいからね。

 どうやら宇宙の仕組み? を逆手に取ってるみたいだけど、そこら辺は私はよくわかってないが、わずかでも中央のエネルギーを奪って自分たちの宇宙を成長させるって、どう考えても一石二鳥なんだよね。

 だって中央の肥大化を抑えられ……るかはよく分かんないけど、それでも中央からエネルギーを抜けるのを多分ズラララバライトは気に入ったんだと思う。だから協力してくれてると思うし。そしてアクトパラストとゼンマイ的にはそれで宇宙も飛躍的に成長できる。いいことしかない。

「わかった。もろもろのリスクはあるが……それでもこれをやらない事には我らの目的には近づかないからな」

 私は心のなかで「よし」と拳を握りしめた。

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