美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H614

今なら……今の私ならタイムディスケーションを発動できる感覚が何となくある。そこで私はズラララバライトにちょっと曖昧に聞いてみた。

「ねえ、時間を遡るってこと出来るのかな?」

「そんなことか。簡単だな」

 簡単なんだ。どうやら神やらドラゴンにとってはそんな難しいことじゃないらしい。

「時間を気にするのは、そのルールに縛られてる奴等だけだからな。我らはその範囲外にいる。そもそもが戻るという感覚がわからんな。我らにとっては今が続くものだ」

 ふむ……なんかよくわかんなくなってきた。時間がないから神やズラララバライトにとってはいつまでも今でしか無いってこと? でも過去と未来ってこの瞬間にも生まれてるよね? 私がさっきの発言をした過去とズラララバライトがそれに返答した未来って感じでさ。それがもう、時間軸上の考え方なのかもしれない。

「こうやって会話してても発した言葉は過去になっていくじゃん?」

「なくせばいいことだろう」

「うん?」

 そう思った瞬間、なんかさっきの会話というか、ズラララバライトの発言が思い出せない。なにやったこいつ?

「感じてみろ」

 またそれですか。こいつは私をどうしたいのか……色々と教えてくれて、どうやらドラゴンがこんなにも親身になって世話を焼いてくれるのはとてもめずらしいことらしい。普通はありえない。それにそれが古龍ともなるともう絶対ありえないレベルらしい。

 けど私には例外というのはよく起こるからね。別に驚きはない。なにせ私は可愛い。宇宙一かわいい。なのでどんな奴等も私に構いたくなるのだ。とりあえず言われたとおりに感じてみる。ふむ……なんかズラララバライトの力の残滓を感じるね。

「もしかして力を使って言葉を取り消したの?」

「なかったことにすることなど、簡単だということだ」

「それって誰に対しても出来るの?」

「誰ということはない。宇宙に対してやっている。我の場合はそれぞれの宇宙ではなく、もっと上位の宇宙に介入して行ってるがな」

「つまりは私達みたいな神になりたてのひよっこは自分の宇宙でしか出来ないと?」

『そういうことだな」

 宇宙は色々と難しい。むしろ……だ。むしろ、神へと至って、やれることがいろいろと飛躍的に増えたからこそ、その力の影響力? に戦慄するよね。だって前は精々自分と、自分の周囲にしか力を使っても影響なんてなかったし、世界樹の巫女だったとしても、それはその星一つだけだった。

 まあ星1つってかなりでかいなってかつては思ってたけど、今や私も複数の星を育てる神である。星1つくらい……という感じなんだよね。意識の変化とは恐ろしい。でも強くなると、更に先の強さが出てくるからね……終わりがないよ。宇宙は途方もなくて広いはずなのに、その宇宙を更に包み込む宇宙があるのだ。

 そしてズラララバライトを見る限り、なんか出来ないことなんてないんだなって思える。

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