美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H610

「その名は……」

「ええ、あなたが知ってる古龍の名前だと思いますよ」

「そうか、強大な力を感じていたが、アレか」

 アレとかズラララバライトの奴言われてるよ。実はそこまで尊敬とかされてない? いや、恐れられてれば、わたし的にはいいけどね。ソレだけでも効果はあるだろうし。なにせドラゴンというのはどいつもこいつも尊大な奴等なのだ。まあ分かるけどね。そうなるのもわかる。だってドラゴンというのはめっちゃ特別なのだ。大体ドラゴンに生を受ければ、大体の種族より強い。ドラゴンよりも強いのは神の中でも上位の神か、それか同じドラゴンでしかありえないと言われるほどだ。

 だからドラゴンを抑えるなら、ドラゴンが一番。それもズラララバライトのような明らかにドラゴンの中でも上位認定されてる古龍なら適任である。

「だが、アレがこんな存在にその名を明かすとはな。落ちたものだ」

 なんか馬鹿にされてる。私ではなくてズラララバライトがね。いや、私も矮小言われてるが、まあドラゴンから見たら私なんてのは矮小な存在だよね。けど普段古龍と宣って偉そうにしてるのに、あんまり尊敬されてないズラララバライトはウケる。

「名を明かすことは特別なの?」

「そうだな。そうそうない。というか、意味もない」

 どういうことだろうか? よくわからない。名前くらい別に……ともおもうし、まあ宇宙によっては名前には特別な意味があったりするかもしれない。ドラゴンにとっての名前もなにか特別な意味があるのかも? 

「それで、貴様に協力しなかったら、あの暴れん坊がこの宇宙も壊すか?」

「そうですね。ズラララバライトが暴れるかもしれません」

 実際、ズラララバライトがそんなことをするとは思えない。私が頼んでもやらないと思うし。けどここで重要なのはハッタリである。それになんかズラララバライトの名前そのものに意味があるみたいだし、このきれいなドラゴンから見たら私はズラララバライトが名前を教えた特別な存在……ということにその中でなってるはずだ。それを深読みしてくれれば……

「貴様の様な奴は虫唾が走る」

 その威圧感がめっちゃ重い。感覚だけではなく、物理的にだよ。なんか膝から崩れ落ちそう。なにせ魔法的な何かがやられてるってわけじゃないと思う。ただのプレッシャーだ。でもドラゴンのそれはそこらの存在のプレッシャーとは格が違うということだろう。けど……

「古龍には敵わないからな。まだ滅びるわけにはいかない。いいだろう。受け取れ」

 そういってなにかが私の中に入ってくる。どうやらこの宇宙の仕組の一端を教えてくれたらしい。やっぱり持つべきものは強い友達だねって思った。

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