美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H604

「なるほどなるほど、ズラララバライト様はあのヌーベに浸透させてた術式に興味があると」

「ああ、ヌーベの厄介なところはその存在の曖昧さだ。奴等には固定で特定の何かはない。奴等は個性を持っている」

「確かにそうですな」

 二人はなんかそんな話をしてる。忙しいからか、立ち話何だけどね。一応彼、このチームの隊長格であるちょび髭さんは座ることを提案したけど、それをズラララバライトが拒否したんだよね。そしてすぐに今の話を始めた。

 どうやらヌーベという宇宙の糞はなかなかに厄介な性質をしてるらしい。わたし的にはヌーベという種族? の中でちょっとした違いがあるのかな? 的な感じだったんだけど、なんか今のズラララバライトの言葉的にはそんなレベルではないのかな?

「そんなヌーベに対して、貴様たちはどうやって術式を組み上げている? ドラゴンだったとしてレベルの高いことをしていたぞ」

「それはそれは、お褒めのお言葉として受け取っておきます」

「実際褒めているからな」

 常に上から目線のズラララバライトだけど、誰もそのことに突っ込む――なんてことはしない。ズラララバライトはドラゴン……いや、そのくくりの中でも最上位らしい古龍らしいからね。まあきっとドラゴンというだけで皆さんへりくだるんだろうけどね。

「私たちはこれまで……いえ、勿論ズラララバライト様よりは全然でしょうが、ヌーベと戦いを繰り返してきました。そのたびにきちんとデータを取り、AIを使い色々と分析しています。そして幾千通りのパターンを想定して、予めいくつもの術式を組んであります。

 それを状況によって使い分けるようにしてるのです」

「貴様たちくらいのデータでそれが出来るのなら、遥かに長くヌーベと戦ってる我らが出来ないのは恥だな」

「いえいえ、そんな!! ドラゴン様たちは小細工などそもそもが必要ないということでしょう!!」

 ちょび髭さんは勢い込んでおべっかしてる。確かにドラゴンは圧倒的な力でヌーベなんて瞬殺できると思う。でもだからこそ、今も宇宙からヌーベを根絶できなくて、その後始末的なのをそれぞれの宇宙の生命体とかしてるわけでしょ? 

 私的には責任感じてほしいよね。だって、ヌーベに滅ぼされたりしてる星とかもあるわけだろうしね。もしもドラゴンが大雑把にヌーベに対応してなければ、もしかしたら既に根絶できたかもしれない。

 だって実際、この人達はとてもヌーベと交戦してるんだろうけど、それ以上にドラゴンたちやズラララバライトは戦ってるだろうからね。

「そんな気休めはいらない。お前たちの動きや発想には感心している」

「ありがとうございます」

 いや本当に偉そうだね。私だったら我慢できずに「何様だよ」とか言いそうだよ。いや、これがドラゴンだってわかってるけどね。

「全てとは言わないが、貴様たちの術式の一部でいいからみせてくれないか?」

「おお、ズラララバライト様に見てもらえるなんて光栄の極みです。今回の戦闘で使ったものなら問題ないので開示しましょう」

 へりくだってるけど、ちょび髭さんも全部を開示する……なんてことはしないんだね。ちゃんとしてる。なんか今までの態度から諸手を挙げてすべてを見せてきそうな感じあったのにね。ちょび髭さんはそう言うと私達を自分の席のところへと案内してくれる。この半円の空間で全てを見渡せるような場所に彼の場所はある。まさに司令官? 的なポジションだね。その椅子はとても座り午後地良さそうで、そして肘掛けのところがなんかモニターになってる。そこを操作すると、空中に複数のウインドウが出てきて、よくわからない文字が流れ出す。

 きっとこれが……そう……きっとあれだよあれ。

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