美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H591

宇宙に出た。ワープゲートは宇宙の中、明るい渦のように口を開いてる。けど私達が出たら閉じた。まあそっか。もしも敵であるヌーベなる存在が逆にワープゲートを使ってあの場所へとやってくる可能性があるもんね。それは最悪なシナリオだろう。

 彼らの本拠地であるあの建造物に侵入される可能性もあるから、ワープゲートはすぐに閉じるようになってるみたい。宇宙空間は静かなものだ。まあ無重力だからね。空気がないと音とか伝わらないからね。

 すでに戦闘は始まってはいる。彼らが乗り込んだ丸い戦闘機みたいなのは、細い光を放ってる。

「あれがヌーベ?」

 彼らが攻撃してる先にそれはいた。なんかドロドロとした変な存在がいる。けどでかいね。小惑星を包み込んでる泥みたいな……そんな感じのがヌーベらしい。たしかに糞っぽくもある。ヌーベはさっきから集中砲火されてる。これは簡単に終わるやつではないだろうか? そもそも小惑星とかに張り付いてるあれは方向転換とかできるの?

 それに反撃とかは一体? でも警戒はしてたし、なにかやってはくるんだろうね。ぱっと見はただの小惑星チックだ。さっきまで外がどろどろしてたけど、今は時々ドロっとしたのがみえる感じになってる。攻撃されすぎてて、どうやら小惑星の内部に入ったようだね。けどどうやらそれも対策済みらしい。

 丸い戦闘機みたいなのは攻撃をためてさっきよりも強い光を放つ。すると今度は小惑星を貫通した。なるほど……あれなら内部に入られても問題ない。さっきまでは表面で消えてたのに、今は小惑星を貫通するほどの威力の光を撃ちまくってる。

「これは楽勝では?」

 負ける要素が見当たらないんだけど……宇宙空間に生身で出てる私たちは高みの見物だよ。なにかやることがあるのかも……てかもっと激しい戦闘を期待してた。でも全然そんなことはない。一方的にボコってるだけじゃん。糞なんてそんなものか……とも思えるけど、あれって古龍的なやつの忘れ形見であるわけでしょ? そう考えると弱すぎるような……そんなことを思ってるとついに小惑星がぶっ壊れた。すると中身が出てくるわけだけど、その中身はなんか小惑星の数十倍はデカかった。

(いやいやい、どれだけ詰まってたのよ)

 と私は思った。そしてどうやら本番はここかららしい。ヌーベは一斉に全周囲に体の一部を飛ばしだす。

「うわ!? ばっちい!!」

 と私は叫ぶ。だって糞だし。

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