美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H590

ワープゲートに入ったら体が引っ張られる感覚とともに前に進む。いや実際は進んでるのか後退してるのか、それとも落ちてるのか上がってるのか……よくわかんない感覚だ。ワープゲートの中は三半規管がおかしくなる。だから自分がどうなってるのかわかんない。わかんないんだけど、そこはどうやら問題ではないらしい。

 ちゃんと制御されたワープゲートなら設定された場所に出口があってそこにしか排出されないからだって。でも自然に生まれたワープゲートとかに飲み込まれると、どこに行くのかわかんないということだ。

 それこそ場所もそうだけど、ワープゲートの中では時間という概念がないらしい。だからどうやらこれを使えば過去に行ける……というね。可能性を感じるね。神とかになるとワープゲートとかも制御できたりするんなら……タイムパラドックス的な事が起こりまくるような? いや、わざわざ自分が生み出した星ならこんなの使う必要はないのかもしれない。進めてうまくいかなかったら、見捨てて他の星を作るだけだしね。

 それに神とかになると時間は無限だし、わざわざ時間を逆行してまでやり直したいことなんてなくなるのかもしれないね。だから逆にこういうこの宇宙の彼らのように、その宇宙に根付いて文明を築くまでになってる生命体とかの方が時間めちゃくちゃにしそうではある。

 そこで私は気になることを聞いてみた。

「ねえ、時間って宇宙で共通なの?」

「お前がいう時間とは生命体の感じる命の期限のことだろう? 自分を中心とした時間の概念だ。だがそれはすべての生きとし生けるものにある。難しい話はお前はあまり理解できないだろうから端的にいってやろう。そもそもに時間というものはなく、全ては無限の成長の中にある」

 ふむ……なんだそれ? まあ確かにドラゴンや神、そして宇宙自体には時間なんてないのかもしれない。宇宙は広がり続けてるらしいからね。それぞれの宇宙がなのか、中心だけがそうなのかしらないけどね。まあズラララバライトの言う感じだと、きっとすべてのものは成長してるんだろう。でもそれって死という概念がないから言えることでは?

「成長ね。成長してるってことは時間が進んでるってことでは?」

「これだから星に引っ張られてる考えのやつは……」

 なんかやれやれという感じで肩をすくめられた。その仕草ムカつくな。

「時間というものがそもそも成長で、その言い方を変えただけみたいなものだな。星だけにあてはまる生命体ならその概念で刻むことができるかもしれないが、我らには無駄なことよ」

「時間なるものはそもそもないと……」

 誰もが常に成長してるんだろうか? っていう疑問はあるけどね。足踏みしてるやつだっているでしょう。けどきっとズラララバライトのいう成長ってそういうのじゃないんだろうね。まあそんな話をしつつ、私たちはワープゲートから目的の宇宙の座標に出た。

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