美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H575

「ラーゼ様はここのエネルギーは何か、わかりますか?」

 なにか不意にそんなことを彼は言ってきた。エネルギー? そんなのは決まってると思うんだけど……でも私を神と認識してる彼がわざわざそれを私に聞くって事は何かありそうだよね。ここで普通に「マナ」とか答えると、それはある意味で彼が想定してる答えであって、解答では無いようなさ……彼の期待に応えるためだけの解答になるような気がする。

 でも……

(まあいっか)

 可愛さを印象づけるためにも、そういうちょっと抜けた部分を見せるのも女の子には必要だしね。それに別に間違っても私の名誉が何か傷つくかというとそうでも無い。彼は別に「うっそー神なのにそんなこともわかんないんですか? ぷぷぷ」とか言ってくる奴では無い。

 流石にそんなことを口走られたら思わずこの場所を吹き飛ばしてしまうかもしれないよね。

「マナではないと?」

「マナは確かに万能で、根源です。ですが、マナは染まるものでしょう? その宇宙に、そしてその生命に染まります。そうしないと使えないからです」

 まあそうだね。私はこくこくと頷くよ。私は元々? というかもう長い期間、純なマナを触ってるからね。なんかその感覚が薄くなってきた気がするが……普通は彼が言ってるとおりである。

「この町もある程度見て貰いましたし、移動しましょうか?」

 そう言って彼は私達を誘導して、森の方へと行く。なに? もしかして、私が可愛すぎるから森に連れ込んでそこで押し倒そうとか……いや、まあそんなことを思ってるわけは無いとわかってるけどね。ズラララバライトだってドラクだっているのである。私に手を出せるわけはない。そもそもが神を知ってるからね。そして私を神とも思ってるし、手を出してくるはずは無い。

 そこまで知ってて手を出してくるってなると、相当な馬鹿である。

 なので安心してついて行くと、なんか柱が突っ立ってた。銀色の柱で、一つの青い宝石のようなものがある。それに彼が手を触れると、なんとその柱が崩壊した。いや、それは違うかもしれない。ただなんか沢山の欠片になったというか……そしてその欠片が、それぞれ光を発してる。

 その欠片達は上手く中心に空間を作ってるみたいだね。まずは彼がそのなかに入り、手招きをされる。そんなに広くもなさそうだけど……とりあえず私達は二人でその手招きにお招きされることに。するとふわっとした感覚と共に、私達の体が浮いた。おお! 流石はテクノロジーがかなり進んだ奴等だね。

 こんな風に移動するとは……グングンと上昇していく私達。ここの空は有限で天井がある。そこに向かって行ってるようだったけど、穴でも開いて更に内部に行くのかと想ってたら、なんか一瞬で私達の視界は切り替わった。

 そして強大なエネルギーを内包した空気が私の頬をなでる。どうやら私達はこの建造物の中枢部に案内されたらしい。良かったのかな? そこまで信用されてるの?

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