美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H547

「ふう」

 色々となんとかなったと思う。因子……それはなかなかに使えそうな事だと思った。違う宇宙の因子は別の宇宙では不確定要素になる。だからこそ、それをばらまかれるのは神にとっては嫌らしい。

 なにが起きるかわかんないからね。とりあえず依頼されたというか、怒られた案件は出来たと思う。私も色々と力の使い方が上手くなったよ。ズラララバライトが的確なのか、そうじゃないのかわからない感覚的な物言いでしかアドバイスしてくれないのに、それに応える私。

 いや、私もどちらかというと感覚派だからね。ある意味で相性が良かったのかもしれない。

「どう?」

『ふむ……確かに貴様の因子は回収できたようだな』

 よしよし、ズラララバライトのお墨付きも出たし、大丈夫だね。まったく世界樹でも浄化できない因子を取り除くのは骨が折れたよ。けど、色々と役に立つ経験ではあったと思う。私はこの出来事を通じてレベルアップを痛感してる。

 結局私はフィルターではなくて、違うウイルスを撒いたのだ。世界樹の中心へときて、吸うのも限界というか、私という体ではこのどでかい星の全てのマナを一回まとめて取込んで因子を取り除く……というのは無理があった。なので逆転の発想だよ。ここは世界樹の中心なんだから、世界樹をちょっと弄って、私の因子に作用する力をばらまかせて貰った。それを世界に拡散させて、私の因子を宿してるマナと結びつけて中和する……と言うね。

 案外上手く言って良かったよ。さすが、私天才だね。それに……狙いはまだある。確かに私の因子は取り除いたが、この世界樹に一つだけ残ってる。もちろんこの後消すんだけど……消すんだけど、消す振りするだけだ。

 イヤ、極限まで消すけどね。そうしないとバレるし。けど、僅かにだけ残すのだ。そうして、私の糧にする。その為に、うっすい力の構築の方法をいろいろと考えた。それに案外この世界樹の中心に残しておくというのも良いと思う。世界に蔓延させたらすぐにバレるからね。現地の神に。でもたった一つ、うっすい力が、残ってるだけならバレないだろう。まあそれも私の因子だが……ちゃと拡散しないように手は打っておくよ。

「じゃあ、やることもやったし、さっさと別の所にいこうよ。もうここには用はないでしょ」

『そうだな』

 ズラララバライトはわかってるのかわかってないのか判断できないが、何も言わないし良いんだろう。この星を、いや、宇宙を離れるときもこの宇宙の神が何か言ってくることはなかった。私はしめしめと思いながらこの巨大な星がある宇宙から出て行った。

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