美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H537

「おおー!」

 私は今、古竜ズラララバライトの背中に乗ってる。そして色々な宇宙を我が物顔で回ってるのだ。事の発端は私が星の管理をしてたとき、なんかとてもお暇なのか、古竜ズラララバライトが私に小言をグチグチといって来るからだ。

 こいつは基本、私としか話さない。というか、アクトパラスとゼンマイの奴が、私に古竜ズラララバライトを押しつけてる感がある。まあ最初に積極的に私が古竜ズラララバライトに話しかけたせいというのもあると思う。けどそれは都合が良い。なにせこいつは絶大な力を持ってる。それこそアクトパラスやゼンマイよりも強い。それは確かだ。

 そんな存在がアクトパラスとゼンマイ側に付かれたから困る。とても個人的な問題だが、そうなのだから仕方ない。だからそれは良い。良いんだけど、問題なのはこの古竜案外おしゃべりだったと言うことだ。

 いや、もしかしたらそもそもがそんなに今まで話し相手って奴がいなかったのかもしれない。なにせ古竜とは孤独な存在だ。こいつの記憶を受け取ってみたとき、それを痛感した。なにせずっと世界を飛んでただけだったし……時々交流を持とうとする生命体が現れるが……それもこいつにとっては一瞬みたいな時間なのだ。最後には自身の手で彼らを滅ぼしてるし……まあ勝手に滅んでることも往々にしてあるけどさ。

 私とのこの時間も古竜にとってはそれこそ一瞬だと思うけど……久々に話ができる相手と出会えた事でテンションが上がってるみたい。でもだからって「これなにが悪い」とか「ここはもっとだな」「全く何もわらっとらん」――とかずっと言われるとイライラする訳よ。だから――

「ならアンタのもってる有益な知識を私にあたえなさいよ」

 ――と大胆に行ってみた。記憶を見せてくれたみたいに、知識を簡単にくれる方法があるのかと思ったけど、ズラララバライトが提案してきたのは、様々な世界をみる事だ。しかもこのアクトパラスとゼンマイの宇宙の世界では無い。それこそ無数の数多の宇宙の世界だ。

 それは普通の神にも出来ない事らしい。なんかゼンマイが慌ててたし。ある意味で別の宇宙の神……まあ私は神ではないが、その眷属的な存在がぶしつけに別の宇宙に行くとか問題なんだとか。下手すると宇宙を巡っての戦争……とか? も起こりえるかもしれない。でもそこは圧倒的な古竜であるズラララバライトがいる。

『心配するな、ただ通るだけだ』

 そんな事をいって私とドラクを背中に乗せて飛び立った。そして咆吼一発。宇宙に穴を開けて別の宇宙への道を作る。そうやって私たちは別の宇宙に来たというわけだ。これはなかなかに良い事だ。なにせ色々な宇宙の力を知ることができる。そしてどうやら古竜ズラララバライトは自身の宇宙から力を引っ張ってる。宇宙とはとても広大だ。そしてアクトパラスとゼンマイの宇宙は辺境であり、古竜ズラララバライトの本来の宇宙はきっと中心に近い。それってつまりは何万光年? それとも何億光年とかもっともっと離れてておかしくない。

 それなのにその距離を物ともしない力……知りたいじゃん。私が元にいた世界の記憶。それを集めるヒントになりそうだしね。観光旅行気分でもあるけど、ある意味これは修学旅行でも有るのだ。

「美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く