美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H535

空気が凍った……みたいに感じたけど、古竜ズラララバライトはそんなの気にしてないみたいだ。いや、なんか食いたくなるとか言ってたから、案外私は危ない橋を渡ってたのかもしれない。なにせ相手は圧倒的な力を持つ古竜という存在だ。そこらに飛んでるドラゴンよりも格上の存在。

 そいつを怒らせたら私なんかひとたまりも無い。それはわかってるんだけどね。下手にビクビクするような小心者でも私はないのだ。これでも沢山の修羅場をくぐってきたという自負もある。まあけど匂いってデリケートな問題だからね。別に古竜ズラララバライトが臭いって訳では無い。別に匂いがするわけでもないし。けどこの巨体でフローラルな匂いをさせてても違うよね。それはそれで古竜という威厳が低下しそうな気もする。じゃあ力強い匂いってなにかというと……私にはわかんない。

 汗臭いのは違うだろうし……

『まあお前は変な匂いかするからな』

「はぁ!? 良い匂いですけど!? 私から変な匂いなんてするわけないじゃない!!」

 さっき「まずっ」って思ったはずなのに、私激高である。だってね……私って臭いって言われたことないし? そもそも臭いなんて許せないじゃん。いや、くさいなんて言われてないけどね。言われてないけどね!! 

『いや、貴様は不思議な匂いがするぞ。色々な物が混ざってるような……雑多では無いかな。寧ろ、奇跡のバランスをしてるぞ』

「どういうこと?」

『みたことも、感じたことも無いと言うことだ。それに我が言う匂いは普通にその体から匂ってる様な物では無い。魂のあり方というか、そう言う物だ』

「はあ……」

 この古竜が何を言ってるのか正直よくわからない。存在か上過ぎる。多分私たちとは見えてる世界が違うね。いや、一応ズラララバライトの過去を見せて貰ったからこいつが見てる景色も知ってるけど……その経験に伴って考えると、古竜とかいう存在は多分私たちよりも感度が高い。いや、エロい意味じゃ無くてね。

 性感の方じゃ無くて、世界に関する感度である。まあ周囲に関する……とかいってもいい。つまり存在的に、古竜は私たちでは普段は感じ得ない物を感じることができてる……と思う。それを全て受け取ろうとしたから、あのとき私の頭は悲鳴を上げたと思うんだ。

「まあ私の体は神の器らしいからね」

『神と至るものたちなら、沢山知ってる。確かに奴等は特別な力を宿してるが、魂は元の世界に染まってる物だ。だが、貴様はどうだ? 一つの世界に染まってるようには見えないな』

「そんなことを言われてもね……」

 よくわからない。それは私が目覚めた世界とは別の世界の記憶をもってたことと関係があるのかもしれない。そもそも体は用意されてたけど、私という魂はどこから来たのか……良くわかんないからね。

「それって何か問題なの?」

『いや、珍しいだけだ。不思議な魂にそいつも惹かれてるのかもしれないな』

 そういって古竜ズラララバライトはドラクをみる。さっきから私の背中に隠れてるドラクはとても古竜ズラララバライトを怖がってる。うちの子を怖がらせないでもらえるかな?

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