美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H521

「意味がわからないわね」

「そうですか? 貴方が言った事ですよ。私は貴方に全てを託します。聖女という立場も、そして名誉も名声も全てです」

「それでそっちにはどんな得があるの」

「世界が平和になります。満たされたら、それをしてくれるんですよね?」

「あんた……私を馬鹿にしてるの!!」

 本気と思えないのだろう。ベルちゃんは自分本位な性格してるからね。それに人は大体そんな感じ……と思ってるだろう。聖女ちゃんにだって多少はそんなところがあると思ってる。けど……それは甘い……甘すぎるよベルちゃん。その子は聖女なのである。完全に聖女なのだ。誰もが思う、夢見るであろう理想の聖女だ。

 それを体現してる……と私は思ってる。だから、今の言葉聖女ちゃんは本気だ。

「バカになどしておりません。私は本気です」

 そう言って聖女ちゃんはまっすぐにベルちゃんをみる。そしてその目に何をベルちゃんはみたのか。きっと本気を感じたんだろう。その滾らせた怒りを静めて、力をおさえこ……むなんて事は彼女はしなかった。

「ふざけるな。言葉では何とでいえるわ」

 そのまま勿論攻撃をした。まあ……現実なんてのはそんな物だ。だってそれが本気かなんてのはやっぱりわかんないし。ベルちゃんは疑り深いのだ。ここでベルちゃんが素直にそれを信じたのなら、はっきりいってそれは聖女ちゃんの美談でもるあるしね。世界を屠れる力を有した彼女を聖女ちゃんがその聖なる心で浄化した――とか伝えられそうじゃん。

 てか聖騎士達がそんな事を言いふらしそうだし。そんなのベルちゃんにしたらはらわた煮えくり返るよね。だから彼女的には、綺麗に跡形もなく、聖女ちゃんに死んで貰うのが一番安心できるやり方なんだろう。

 面倒なんだろうけど、ここが一番面倒な場面だから、ある意味で頑張りどころでもある。でも……

「では言葉だけではない事を証明して見せます!」

 聖女ちゃんはその力で自分と天使騎士そして聖騎士達を護っていた。意思がはっきりとしてるからなのか、それともさっきの言葉にちょっとベルちゃんが揺らいだからなのか、どうやら聖女ちゃんの力が今回は強固に勝ったみたいだ。

「どうやって?」

 なんか厄介な火が付いてる……とベルちゃんは思ってとりあえず話だけは聞く事にしたみたいだ。それでも目玉の化け物達を聖女ちゃん達の周囲に配置していつでも殺せる様にその力を高めて行ってる。

 それに聖騎士とか天使騎士は警戒するが……聖女ちゃんはそんなそぶり全く見せない。それどころか、彼女はこう言った。

「私に呪いをかけてください」

 聖女ちゃんから出るとは思えないような、そんな言葉だね。

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