美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H518

「はっきりと言ってあげる。私はアンタが大嫌いなのよ!!」

 黒い力がベルちゃんからあふれ出る。怒りに対応して、その力が高まってるみたいだね。やっぱり怨念や憎しみとかを蓄えてきた力だからね。そういう負の感情にとても相性が良いんだと思う。

「死ねええええええええええええええええええええ!!」

 そんな物騒な言葉を叫びながら、腕を突き出したベルちゃんから黒い光が放たれる。聖女ちゃんは腕を組んで、更にその前に光の盾を作る。けど、それももったのは一瞬だった。一気に黒い光に飲まれた聖女ちゃんの姿が見えなくなる。

「「「聖女様!!」」」

 聖騎士達が慌てて戦ってた目玉の化け物に背を向ける。けど、そんな事をしたらその隙を突かれるというものだ。目玉の化け物の触手が、幾人かの聖騎士を捕らえる。そして聖騎士からも魔力というか、生気を吸い出してるみたいだ。

 けどそんな聖騎士達を天使騎士が助けた。そして、黒い光へと突っ込んでいく。そして天使騎士が入った部分が膨張して、黒い光が弾けた。どうやらその身を犠牲にして、今の攻撃を止めたらしい。なんとかまだ天使騎士は生きてるけど、その姿は輝きが落ちて、翼も結構ボロボロになってしまってる。

「うっ……あ……」

 その場に倒れるのは聖女ちゃんだ。どうやらまだ生きては居たらしい。あれを食らったから流石にヤバいかと思ったけど、どうやらなんとか自身をその力で守る事は出来たみたいだ。見た目的にはダメージを負ってるようには見えない。

「わかったでしょ? 私の殺意は本物よ。きれい事なんて抜かさずに、そっちも殺しに来なさいよ!」

 ベルちゃんはそう言って再びその手に黒い力を貯める。ベルちゃんにとってはさっきの攻撃は別に最大出力……何てことでもなかったみたいだ。その気になれば連続で撃つ事だって出来る……やっぱり奇跡でも起きないと、聖女ちゃん達にとってはこの戦いは厳しいかもしれないね。

 期待してるけど……でもここまでやられても……聖女ちゃんはその力を暴力的に向ける事はしないみたいだ。

「しません! 貴方のその力は、使い方によっては本当に、世界を救えると思うから……」

「私にはその気に何てないわよ」

「私が……いるからですか?」

「ええ、アンタが目障りだから。でもそれだけじゃない。私、崇められたいけど、面倒事は嫌いなのよ。楽したいの」

 崇められたいけど、楽もしたい……うん、ベルちゃんは本当に欲望に忠実だね。

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